2014年12月21日日曜日

「大金持ちの教科書」加谷珪一著 を読んで



大金持ちの教科書
大金持ちの教科書
著者:加谷珪一
価格:1,620円(税込、送料込)
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お金持ちの教科書」という本を、書店で少し立ち読みしたことがあって、なかなか面白い本だな、と思ったのだが、買うには至らなかった、という経緯がありました。

今般、「大金持ちの教科書」という新本が、隣り合わせで販売されていて、今度は買ってみよう、と思って読みました。

かなりおもしろかったです。私は、気に入った本は何度でも繰り返して読みます。この「大金持ちの教科書」は2週間で3回読みました。

加谷珪一氏とは
加谷氏は、経済出版社から投資ファンドに転職するという変わった経歴の持ち主で、その後独立してコンサルタントを今もやっておられます。

ご自身がいうように、今や働かなくても暮らせる資産があるそうですが、そういったノウハウをサラリーマン時代に吸収したそうです。

彼は、仕事の性格上、富裕層と接する機会が多かったようです。富裕層(基本的には成功した起業オーナーだと思います。H元総理大臣のような、財産相続の結果お金持ちになった人はあまりこの本の富裕層の対象になっていない)がなぜ成功したのかというのを研究して、自分で実践して「お金持ち」になったようです。

本の概要
彼の現在の本職はコンサルタントですので、彼の著書は、彼がお金持ちになった軌跡を描くのではなく、「お金持ちになるための普遍的な考えか方や、時代を見る目の養い方について解説したもの」とのことです。

「お金持ち」を構造的に普遍化して、そういったエッセンスを吸収し、自分で実践できれば、あなたもお金持ちになれます、というお金持ちコンサルタントが書いた本です。

人間だれしも抱く、「お金持ちになりたい」という願望を手助してくれる(可能性を秘めた)本です。

山崎元氏以来の鋭い人の発見
少し話が変わりますが、私は30代で何度か転職を重ねています。その時に参考にした人に、今は経済・金融評論家としてご活躍されている楽天経済研究所の山崎元氏がいらっしゃいます(山崎氏は転職を12回?13回?繰り返した転職のプロ)。

彼の転職本を最初に読んだとき、その鋭い着眼点に、感嘆した思いですが(今でも彼のダイヤモンド社でやっている「マルチスコープ」は鋭い)、加谷氏の本はそれに匹敵する鋭さを感じました(切り口は山崎氏より柔らかそうですけど)。

本の内容
さて、何が書いてあるのかはあまりネタバレさせてもいけないのですが、
まず、彼が定義する「お金持ち」とは
年収3000万円以上、または純金融資産総額1億円以上、と言っています。理由は本を読んでいただくとして、この域に達するには、基本的には自分で何がしかの事業オーナーになるべし、と言っています。

どうやってお金持ちになるかと言えば、正しい時代に、しっかりしたセンスを持って、やり抜くメンタリティをもって、人より半歩先に動いてイノベーションの果実を得なさいという感じです。

もっとも、定性的な側面だけだと、話が抽象的なので、これからの日本で、イノベーションが起こる可能性があるのは、どういったところか、という将来予見も入っています。それを生かして、お金持ちを目指しましょう、という感じでしょうか。


アメリカ型経済とロシア型経済

具体的に面白かった着眼点は、アメリカ型経済とロシア型経済に分けて、2つのお金持ちを比較しており、アメリカ型経済の方が繁栄している点を指摘していて、個人もアメリカ型人間になった方がお金持ちになりやすい、と分析しているようなところです。

アメリカというのは元来、移民の国で、移民を取り入れることで発達した歴史があります。したがって、いいものは、比較的先入観なくどんどん取り入れていき、国益としてきました。また、自由と平等を標ぼうしていますので、アメリカンドリームが生まれやすい土壌があります。

また、アメリカでお金持ちになった人は、ビル・ゲイツでもウォーレン・バフェットでも、アメリカ人のみならず、世界中の人の役に立ったような功績がある働きをして、(一応基本的には)世間から尊敬されています。

一方、ロシアでは、ロシア帝国、ソ連の時代から一部の政治家やそれと連なった経済人だけがお金持ちになって、そうでない人は下剋上が難しい世界にあります。また、ロシアのお金持ちは外部から排他的で、庶民から財を搾取するような形で、自らの立場を守っています。

プーチンやガスプロムのCEOへは別に誰も尊敬のまなざしで見ていないと思います。西側のマスコミの先入観もありますが、むしろ「汚いやつ」というイメージがはびこっています。

本当にお金持ちになりたかったら、アメリカ型とロシア型のどちらが有利か、を考えた場合、やっぱりアメリカ型の方が有利になります。グーグルなんて企業は典型的ですね。ユーザーからはストレージの利用料以外のお金をほとんど取っていないのですが、あれだけ稼げる会社って、不思議ですよね(企業の広告宣伝費が収入源だから)。それでいて、多くのユーザーの役に立っていますね。

さて、日本という国は、アメリカ型かロシア型か? 答えは言わずもがな。。。
日本で世界的なイノベーションが起きない理由がよくわかったような気がします。


私もアメリカ型を目指すとします。


加谷氏への異論
さて、このような良書なのですが、加谷氏のすべての意見に賛成しているわけでもありません。

これからの日本で、インフレ経済が前提だ、と言っていますが、私は日銀の言う2%インフレが持続的に可能か否かについてまだまだ懐疑的です。

(なぜなら、世界的にディスインフレ傾向が強い点と、日銀総裁も日本政府も安倍さんが総理を辞めた後、どうなるか分かったものではない。日本人は自分たちの利権を守ることだけに関心が高いようだから。日銀法の改正を安倍さんはやらないだろう)

また、彼は「お金持ち」の定義で、純金融資産(住宅ローン0などの負債を控除した後)が1億円から2億円としていますが、なんとなく株式投資を長く継続していれば、手が届きそうな気がしないでもない。一方、彼が紙面を割いて説いているお金持ちになるためのスキルは、純金融資産10億円以上クラスを狙っているような人向けで、ややギャップがあるような気がする。

1億円なら、ここまでやらなくても貯まるんじゃないか(甘いかな)?

それでもこの本をお勧めします
しかし、ビットコインやソフトバンクのロボット戦略などに対する洞察は鋭く、読む価値は十分あると思います。

個人的には、先入観を捨てて、合理的に物事を判断する、というくだりを実践していこうと思います。

現在、同時期に発売された、加谷氏の別本「あなたの財布に奇跡が起こるお金の習慣」かんき出版を読んでいるところです。「大金持ちの教科書」とセットで読むと、より分かりやすいかも?



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2 件のコメント:

  1. すみません。勝手にリンクを張らせて頂きました。
    いつも楽しみに拝見させて頂いています。

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  2. laboさん、ありがとうございます。
    私もリンクを張っておきます。今後ともよろしく。

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