JPX日経400がROE重視の銘柄選定とする、ということで、日本でも本格的にROE向上の兆しが見えているような印象を受けます。
私の投資先銘柄で、従来だともっともROE議論に遠かったと想定されるNTTもROEの向上を意識しているようです。
確かに、私が非常に参考にした書籍「千年投資の公理」(パンローリング)
(本についてはこちらの記事をご参照)
においても、ROE15%超(できれば20%超)を10年間の間で安定的に出している企業はEconomic Moatがある、とみなせそうだ、という判断基準になっているので、アメリカ企業の銘柄選定の際にも重要視される指標です。
したがって、従来からもROEは投資指標として重要性は高かったと思います。しかし、私は投資銘柄選択にそれほどROEを重視してきませんでした(だからNTTなんて買っちゃうんですね)。
フィリップモリスの株を買ったときにROEなんて見ていませんでした(今は会計上の株主資本の部がマイナスなので、ROEは異常値になっている)。
私は財務分析が苦手ではありません。むしろ平均的な投資家より得意だと自負しています。それは私のサラリーマンキャリアがそうだったからです。
しかし、投資判断には、むしろ企業の成長ストーリー(経営ストーリー)が自分の投資基準に合っていそうか、それを第一に考えています。
ストーリーがイケそうだったら、事業環境をさらに調べて、最後に財務を確認する、という感じです。投資してから財務を見ていることもありますね(失笑)。その時にROEに気が付いたりする。
なぜなら、持続的な増配(当面5年から10年程度に多少の配当据え置きは許容するが、年平均5%~10%の増配が期待できそうな銘柄)ができるか否か、という一点で投資判断しているからです。
ROEはその時、あまり見ていません。
ただし、しっかり配当(増配)する企業は、基本的に①利益が成長している、②株数が増えない、むしろ減っている(増資なんてもってのほか、自社株買いを積極的に)、③(当然)しっかり配当する、などの特性があると思いますので、株主資本がそんなに増えません。一方で利益は堅実である。したがって、ROEはよい数値になる傾向があると思われます。
フィリップモリスやIBMのROEなんて異常値のような数値ですし、比較的新興企業のBlack RockやMasterCardのROEはさっき初めて調べたぐらいです。あんまり気にしていません。
各社のROE
フィリップモリス 会計的に株主資本がマイナスなので算出不能
IBM 93%(半導体工場の売却で特損が出たことも影響)
Black Rock 12.3%
MasterCard 48.4%
(Black
Rockは15%切っていますが、Economic MoatはWide指定されていますね)
もちろん、キャピタルゲイン中心の投資の場合は大いに参考になる指標なので、分析はやったほうがいいと思います。しかし、あまり投資尺度をあっちこっち広げずに、自分が何を大事にしているのかをはっきりさせたうえで、分析に臨まれることをお勧めします。
戦略をしっかり定め、規律を守って、視点をシンプルに持って、メリハリのある投資判断がいいような気がします。
ROEを見る際に留意する点は、投資対象企業の長期的なROEの推移を見たほうがいいような気がしますねえ。今は景気がいいですからROEも高めに出やすい。
特に、リーマンショック時に大きな赤字を出したがゆえに、株主資本が「スリム」になった企業のROEなんていうのも気を付けたほうがいいかもしれない。配当や自社株買いで株主還元に熱心な企業の株主資本とは全く性格が違いますので。
持続的な利益成長ができそうな企業のROEに注目することでしょうかね(その「持続的利益成長ができそうか否か」を見極めるのが難しいんですけど)。
0 件のコメント:
コメントを投稿