2021年9月8日水曜日

「住宅神話」の転換期か?

 賃貸と持ち家でどちらがいいのか? もう神学論争になっています。この議論が成立する前提は、「新築住宅は買った後は(20年近く)下がるだけ」というデフレ時代の「新神話」?があると思います(バブルまでは、住宅価格は必ず上がるという神話でした)。

しかし、足元の現象はこの前提が覆る可能性があります。

実際、私が買った家(分譲マンション)は、買値を10数%上がっていると推測(同じマンションでも間取りや位置次第では20%以上も)されます。

私の住むマンションのすぐ向かいに大規模新築マンションが分譲中で、私の部屋と同じ専有面積の部屋を買おうと思えば、4割近くも高くなっています(当然設備もグレードアップされていますけど、4割って「老後に必要な資金」並みですから)。


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HOMES住まいインデックスより「新浦安駅の中古マンション」)

70㎡で4000万円、坪当たり121万円程度でしょうか?(うちの近所は多分160万円程度はあると思うけど) 震災で液状化現象が騒がれて、大きく価格を落としましたが、ズンズンと上昇傾向にあります。

中古マンションが値上がり傾向にあるのは、当然新築マンションが値上がり傾向にあるからです。

長谷工住宅研究所によると、直近の首都圏(一都三県)の新築マンション供給価格の平均値がなんと約6400万円(平均面積66.65㎡)で面積単価は91年バブル並みに戻っているようです。

平均年収が頭打ちなのに、住宅価格が上昇する怪? は金利低下だ、と言われていましたが、検証したこともなく、モヤモヤ感がありましたが、今回、唸ってしまうようなデータを見ました。


(出所;長谷工アーベスト「首都圏新築分譲マンション市場」より引用)

これは1995年から2021年上半期までの首都圏新築マンションの平均価格(折れ線右目盛り)と供給戸数(棒グラフ左メモリ)の推移表です。グラフの上の黄色の折れ線はその時点における住宅金融公庫あるいはフラット35の金利ということのようです。

このグラフが言いたいことは、「マンション価格が上昇しても購入者の負担が変わっていない」ということです。総返済額ベースではマンションの価格は変わっていないということでしょう(銀行に金利を払うか、デベロッパーに払うかの違い)。

2000年、2008年、2021年上半期、それぞれ8割をローンで調達した場合の月々支払金額を示しています。

ただ頭金2割の前提なので、価格が上昇すれば頭金を用意する額は当然増えますね。

平均価格は1995年の4148万円から2021年の6414万円まで上昇し、特にアベノミクス以降は上昇に拍車がかかっているように思います。

一方、供給戸数は2000年の95,635戸をピークに3万戸程度に下落し、コロナ以降は3万戸割れです。人口動態以上に減少しています(ワンルームなどの投機的な物件の減少、適切な立地の減少、あるいはデベロッパー数が減っているのか不明)。

新築が高すぎたり、立地優先だったり、「リノベ」を楽しみたい人は中古に流れるのでしょう。それが中古価格を押し上げている可能性がありますね。

うちの近所も新築マンションの価格と築10年前後の中古マンションの価格を比較すれば、はっきり差が出ていますから。

 

不動研住宅価格指数(中古マンションの取引実績を2000=100として指数化)で見ても長期下落傾向から回復傾向にあります。


個人的には、この指数化で見るより、実売価格(チラシの売り価格でもいいと思う)の推移の方に実感があります。特に近所でマンション分譲が盛んな地域だと、頻繁にチラシが入ってきますので、嫌でも意識してしまいます。 

今後の価格は金融政策や所得政策(最低賃金アップ等)などに影響を受けると思いますが、少なくともマンションに関しては、従来のような下落局面を繰り返す可能性は小さいと思います。さすがに自民党も資産価格の下落は国家経済に百害あって一利なしと悟っているでしょうから(経済の安定成長が政権維持のカギ)。

需要と供給の関係で言えば、供給が需要以上に減っている(と思う)ので、価格が上昇している可能性もありますね。これも空室率が空前の上昇というイメージとは違いますね。家賃を払い続けるか、資産形成も兼ねた住宅購入を目指すか(私は結果論ですが)、損得勘定が変わってきますね。







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