セブン&アイへの買収提案、クシュタールが撤回-真偽確認で売買停止(7月17日ブルームバーグ)
かねてから、買収提案を行っていたカナダのアリタンマション・クシュタールはセブンアンドアイHDへの1株2600円(と言われている)買収提案を撤回したそうです。
クシュタール側のコメントとして、「建設的な協議にセブンが応じなかったことが理由」だそうです。
2024年8月ごろに公になり始めたこのニュース。約1年で幕が閉じました。
何をもって正解なのか難しいのですが、独立経営を保持したいセブン経営陣の立場に立てば、「粘り勝ち」でしょう。
コーポレートガバナンス的に言えば、「そんなことでいいの?」となるでしょうか?
日本全体感でいえば、難しいですね。株式市場やマクロ投資の観点から言えば、残念でしょうね。これで、日本企業を買収する意欲がぐっと冷えなければいいのでしょうが(少なくとも、意欲が湧かないですね)。
セブンアンドアイの株主構成から見て、「同意なき買収提案、TOB」は難しい、とクシュタール側は考えて、経営陣の同意を取り付けようとしたのだと思います。
そうした観点から考えると、依然、持ち合い構造は生きているかもしれません。
同社の大株主構成を見て、ブルーでハイライトした部分は、敵対的にTOBした場合、応募が難しい、あるいは読めない、先だとクシュタール側は判断していた可能性があります。
かつ日系のカストディアンの保有株数が増えています(買収防衛のようなもの)。もちろんこの中にアクティビストのような人たちが入っていないとは言い切れませんが。
ちなみに、25年4月に「野村證券」が5%超えの大量保有報告書を提出したようです。これもブルーハイライトに入りますよね? 野村さんですから。
ただ、現経営陣は、可及的速やかに全社の企業価値を引き上げ、株価2600円を超える会社にふさわしい経営を実現しなければ、存在価値を疑われるのでしょう。
また、これを他山の石、としてはいけないでしょう。セブンはかつてから、株主に選択と集中を迫られていました。コンビニ以外の事業を見直せ、と。
経営陣は少しずつ、百貨店他を整理してきましたが、スピード感が問われていました。
他の企業も、株主の目から見て、不採算な事業を抱えていては、同じような「提案」を受けかねません。
こうした買収提案を受けた、と公になった段階で、経営者として恥のはずです(社長、あなた、経営者失格です、と言われるようなもの)。
したがって、日本企業の選択と集中は益々進むと思います。
どこかの工作機械メーカーのように、TOBされて、「あいつらに我々の業界はわかっていない」というような間の抜けたコメントを発するようでは、恥を晒しているようなものです。
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