2013年10月25日金曜日

内部留保で、賃上げを?


(ロイター)

参議院の予算委員会で、企業の内部留保金を活用して賃上げさせるように国会議員からの質問に、首相は「これからもお願いする」と回答したというもの。

このブログをお読みの株式投資家同様、私は、ひっくり返りそうになりました。

ただ、もっと前から政治家は先頭にたって言っていたようですね。

小宮一慶氏

いろんな解説があります。
内部留保は余剰金であり、現金で眠っているわけではないから、活用できない
とか、小宮氏の様な会計的な解釈が多いように思います。

しかし、内部留保って、たまたま会社にあるだけで、株主に帰属するものって理解がゼロなのかい???

企業の稼いだ当期純利益は、原則株主に帰属する利益であり、だからこそ、一株当たり当期利益って概念が米国では重要視されているはず。

とはいっても、株主も企業に長期的に持続的な成長を期待するので、ある程度の内部留保を認めているのが実態。

PBR1倍割れは解散価値以下だ、って騒いだのは、どういう理屈からだったのだろう?政治家からも、PBR1倍割れはあきらかに割安とか言う声もあったように記憶している(純資産は全て株主に帰属するものって前提でしょ?)。

ウォ―レン・バフェットさんが、この論争が国会で勃発したことを知ったら、なんて言うだろう(未だに、直接日本株を買っていませんね)。彼は利益処分の使用に厳しい意見を持っている。

そもそも、賃金の支払いは、基本的に企業の給与規程や賞与規程で定められているので、経営者もそれを歪曲してベアするのも苦労しそうだ。

しかし、アベノミクスで業績が回復した企業は、金融緩和や法人税率見直しの見返りに、政治側の期待にこたえようとしているのは、ちょっと立派に思った(世論を敵に回すと、自社のレピュテーションリスクにもなるでしょうし)。

ただ、これを安倍さんや甘利さんが率先して言っているのがショックだった(まあ後者はそんな程度かもしれないけど)。

賃上げすると、国家には個人と法人が負担する社会保険料収入が増えるので、財政赤字削減の補助になるし、インフレを起こしやすい、だからお願いしている、というのは理解しますけど。

やっぱり、2006年ごろからにぎわせた 「会社は誰のもの」 って解釈が玉虫色だったことがこういった解釈がまかり通ってしまうのか?

テクニカルなことかもしれないが、この程度の前提がすっ飛ばされて、議論されているところが大きくショックだった。
私に専門性のない、他の議論も、大前提が間違っていながら、詳細を議論しているのか、と思うと、やはり日本の将来を案じざるを得ない・・・。

しかし、そういった 「経済・金融音痴」 を選んだのは私たち…。
自己嫌悪ですね。


今日は愚痴っちゃいました。すみません。

しかし、こういった誤った理解が広がってしまうと、企業の経営者が、「内部留保にしていると何を言われるかわからない。株主なら言い訳も出来るけど、政治家や世論からも悪者にされたらたまったものではない と言って、株主還元や自社株買いに積極的になってくれると、配当投資家としては、「棚からボタ餅」 でラッキーでもありますが…。

(私の保有する銘柄企業は、まあまあ株主還元に積極的なので、こんな心配もなくて良いかも知れないが)


ただ、マッカーシズムじゃありませんが、何かをスケープゴートの様に突いていく今の日本の世論のあり方って好きになれませんね(ブラック企業がダメとか)。



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3 件のコメント:

  1. お久しぶりです こっそりと毎日更新がないか伺っちゃってますが
    そうですね 個人投資家として聞いてしまうとなんとも言えない気持ちになります
    個人的には企業は資本出資者(株主など)・従業員・地域社会のために存在するっていう考え方が好きなんですが、自社株買いや配当は結局のところ今の経済に直接影響は与えてくれないような気がするんですよね
    実際に個人で投資をしている人間は少数派で内部留保を使って所得をあげることで地域経済や日本・世界経済に影響をあたえるってのも多少なりとも意味があるように思います

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    1. 人生逆転ゲーム様
      コメントありがとうございます。

      地域やマクロ経済に影響を与えるために、賃上げが有効か否か、といえば、かなりたくさんの企業が一斉に挙げると有効だと思います。そうすれば株主の利益にもなりますから。

      しかし、それを政治家が口に出していうことではないはずです。特に今の日本では。

      政治家は、企業が事業を自由にやりやすいように、規制緩和や税制の改正をやることが仕事で、岩盤規制に食い込めずに、経営者に株主の金を使って賃上げしろとは、自分の仕事をないがしろにして、何を言ってるんだって気になりますね。

      そういった本質的な点を無視して、誤った前提の問題意識を社会に植え付けるようなことが好きではありません。

      資本主義の最終リスクを取っているのが株主である、という大前提が本質的に浸透していないところで、本当の意味の資本主義は生まれないでしょうね。

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    2. 人生逆転ゲーム2013年10月29日 0:26

      なるほど そうですね
      そのあたりは経営者・政治家のみならず一般市民も含めて「日本では」あまり重要視されていない部分だからですかね
      バフェットが日本に投資しない理由とかぶってるってのも納得です

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