2016年9月28日水曜日

「総理」山口敬之著 を読んで お勧めします。

話題の本、一気読みしました。



山口敬之氏は元TBSの政治記者。「元」とついているのは、例の従軍慰安婦問題で、ベトナム戦争に従事した韓国軍にベトナム人慰安婦がいた、というネタを放送局が放送を拒否したことが直接の原因で、報道すべきことができないのなら、という理由で2016年5月に退社されたらしい。

ジャーナリストとしてのポリシーを貫かれたのですね。日経新聞の元記者だった牧野洋氏も社の上層部がやはり、きわどい報道を避ける風潮があって、嫌気になって、フリージャーナリストになってしまった。

優秀な人ほど、会社を辞める典型的な例かと。

さて、この本は山口氏によれば、

2000年以降の安倍晋三氏を取り巻く人間関係を事実で書いた本、であり、彼の著書の目的は

①:取材で目撃した安倍氏と安倍政権のキーマンたちの発言をつまびらかにし、読者に「宰相とはどんな仕事か」「安倍晋三とはどのような人物か」「安倍政権はどのように運営されているのか」を広く知ってもらうこと。さらに、「宰相にはどのような人物がふさわしいのか」「ポスト安倍を誰に選ぶべきか」

と言ったことと、

②:ジャーナリズムの果たすべき役割と考える材料を提供すること。一般の人が容易に立ち入りできないエリアにジャーナリストが入って、その様子を記録して伝えること。
政治家に肉薄した記者が政治中枢における体験を公開することで、政治のリアリティを国民に伝えること。

この2つだと言っています。

こういった内容を取材するためには、政治家と信頼関係を築かなければ最前線を陣取れない。時には酒を飲みかわし、休日を一緒に過ごしたりして理解し合わなければならない。ただし、特定の政治家の応援団に成り下がってはダメだ、とも。

主な内容は、

  • 20079月に第一次安倍政権において、安倍氏が病気で辞任した時をスクープした前後のこと、
  • 急死した中川昭一氏(酔っぱらって記者会見をして、大バッシングを受けた)のこと
  • 2012年における安倍氏の自民党総裁返り咲きの過程
  • 財務省との消費税引き上げ延期の駆け引き(8%10%の時)
  • 日米外交についての安倍政権のスタンス

などで、その時安倍総理が誰とどのような会話を交わして、どういう意図で政治判断を行ったのかを山口氏の視点(彼が実際に安倍総理やその側近から聞いた言葉で)で描かれている。

安倍さんを支える人は、ここでは麻生財務大臣と菅官房長官の2人がクローズアップされている。

個人的感想
今まで政治の裏舞台を書いた本を何冊か読んだが、この本は今現役で政権に入る人物について書いてあるという点ですごく興味をひかれた。政治のリアリティはものすごくよく伝わってきた。

安倍さんの会見や演説をTVからみていると、何となく真剣さが伝わってきたし、この本を読んで、実際そうだったんだ、と感じた。「本気度」ですね。

企業の経営戦略ではありませんが、国家全体の目指すべきコンセプトを持った人物が宰相にふさわしいし、それを本気で実行して行ける人物がやはり総理にふさわしい、と我々国民は、漠然と思っていると思うし、私もそう思っている。やはり基本理念や哲学と言ったものは大事で、TVに映ってへらへらしている政治家はイマイチ信頼できないなあと改めて思った。

麻生さん、菅さんなどマスコミを通じてしか、その人なりや政治観がわからなかったが、見直してしまった、というか、自分もマスコミのゆがんだ情報に汚染されていたのか、と思うと悔しいと同時に恥ずかしくなった。特に麻生さんのような人が支えてくれると、安倍さんは本当に助かるんだろうなあ、と思った。

最後に、やっぱり安倍さんがそれだけしっかりした政治家だから、周りの人も支援しよう、ということになったんだと思う。

一方、なぜ原発再稼働なのか?とかなぜ憲法改正なのか?とか、反安倍派が突っつきそうなネタについての解説が物足りなかった(山口氏は多分知っているはず)。

それでも、政治リアリティがものすごく、お勧めの一冊です


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