2024年1月28日日曜日

積水ハウスの米住宅事業者買収とアメリカ住宅市場

 


少し前(118日)ですが、積水ハウスがアメリカのホームビルダーであるM.D.Cホールディングスを買収すると発表しました。

これで、積水ハウスは、全米で第5位のホームビルダーとなるようです。

 

私はアメリカの住宅産業はまだまだソリッドな成長市場にあると思っていて、住友林業と積水ハウスの2社に投資していますが、どちらかといえば住友林業に比重を置いていました。住友林業の方が米国市場に食い込んでいるし、売上高・利益に占める米国比率が高いからです。

 

しかし、今回のM&Aで立場は一転し、米国市場で「も」積水ハウスが住友林業を逆転してしまいました。ちょっと計算外でした。

 

簡単に言えば、国内市場の安定性+米国市場の成長性というのが好みなら積水ハウス、より米国市場の成長を株価に取り入れたいなら住友林業、ということになるでしょう(アメリカのホームビルダー株に直接投資するというのもある)。


  • 米国住宅市場


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以前にも一度述べましたが、再度考えてみましょう。今でも見方は変わっていません。

202257日 アメリカの住宅市場を考えてみる アメリカの住宅投資の妄想)こちらも併せてお読みください。

出所:Investing.com

アメリカの新築住宅着工件数の長期の推移です。2023年は約141万戸だったようです。

ちなみに統計が取れる1959年からの年平均の新規住宅着工件数は約143万戸で、過年度平均並みです。


2000年代のサブプライムバブルでの反動がリーマンショック後に大きく落ち込み、その後やっと立ち直って来たというのが見て取れます。


一方、アメリカの人口は着実に増加しており、特にミレニアム世代が30代~40代に差し掛かっており、住宅取得意欲が高いと言われています。


リモートワークも根強く(商業ビルの空室率が高止まりしているのが問題化)、既存住宅所有者は今住んでいる家のローン金利が低いので、住み替えに躊躇しているなど供給市場は圧迫しています。

出所:住友林業のIR資料


  • 積水ハウスの米国での競争力

出所:積水ハウスIR資料

とはいっても、140万戸のうちの1.5万戸なので、非常にフラグメンタルな市場であることには変わりないし、1位は8万戸と差は大きいです。

ちなみに住友林業は約1万戸です。


  • 住友林業の利益の海外比率

出所:住友林業HP

経常利益の82が海外事業です。為替リスク大ですね()

 

  • 積水ハウスの営業利益の海外比率


出所:積水ハウスIR資料

231月期の2614億円の営業利益のうち、海外は738億円でした。単純合算すると、1821億円(738+786)÷3,697億円=49.3になります。

 

少し前まで知らなかったのですが、ドメスティック産業だと思っていた住宅企業があっという間にグローバル企業(米国が大半ですが)に変身していました。

最近では日本製鐵がUSスチールを買収するなど、「やっぱりアメリカ」という動きが見えつつあります。

米国は経済が成長すれば、(為替レートが安定している限り)投資しやすい国はないでしょうね。中国で「政治リスク」を思い知ったのも大きいですね。

 

電気産業が斜陽化した日本ですが、くら寿司のアメリカ子会社の快進撃(スシローも頑張っている)、ユニクロや無印良品の海外進出など、新たな産業のグローバル化も面白そうです。

「輸出」じゃなく、海外進出ですね。海外現地法人の円換算の損益が、大きくなり、さらに円安で膨大しています。しかし、着実に海外事業は成長しています。海外現法の配当金を国内に還元した場合はざっくりと益金不算入です(詳しくは税理士にでも聞いてください)。配当投資に向いています。

 

一方、ますます、日本企業の為替リスク割合が大きくなってきましたね。

なお株式投資はご自分の判断でお願いします。積水ハウスは今回の買収で、借入金を予定していますが、一時的なものかもしれません(転換社債か増資の可能性は否定できない)。


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