私は持ち家、分譲マンション住まいです。マンションの郵便ボックスには毎日のように近隣不動産の売買案内のチラシが舞い込んできて、嫌でも自分のマンションの時価を想像します。
明らかに、購入(契約)時点(2006年)と現在では20%は確実に価格が上昇しています。
「新築不動産は買った瞬間、2割は価格が落ちる。なぜなら業者の利益が剥落するから」なんてのは今は昔です。自分の年収分くらいは価格が上がっていると思います。
しかし、アメリカの住宅価格はもっとすごい(いや、住宅価格だけだとカナダやオーストラリアの方がすごいはずだ。これらの国はリーマンショック後の下落を経験していない‼)。
コロナ禍以降、さらに価格が急上昇しているアメリカの住宅市場を自分なりにざっくり分析してみました。
素人の私の予想では、今後も上昇は継続する。上昇スピードはちょっと読めないけど、それなりに上昇するだろう。
したがって、今回のインフレの出発点(住宅資材が足りない云々)で、まだ供給不足が少しあるような気がするので、中期的にインフレ率が2%は超えてくるのでは?(とはいえ7%とかはないと思うが、4%~5%ぐらいはあるかもしれない、という頼りない予想ですが)。
まず、新規住宅着工件数の長期トレンド
データが取れる目一杯(1959年)からです。
1959年から2021年までの単純平均の年あたり新規住宅着工件数は143万件です。ちなみにリーマンショック前まで(2007年)だと155万件です。
リーマンショックで55万件と約3分の1まで下がりました。仮に2021年まで平均143万件まで推移していたら、緑の部分が供給不足と言える部分になります。この緑は計算すると580万件になります。
一方、では住宅バブルで作った過剰部分を仮に2001年~2007年とするとその部分は231万件となり、差し引き350万件がまだ供給不足になります(取り壊しとかもあるので、もう少しあると思う)。350万件といえば、約2.5年分です。
リーマンショック後のアメリカの住宅産業の傷の深さを物語りますね。140万件必要な市場で50万~60万件まで供給が落ち込んで、景気が回復してくると、そりゃ、足りませんよね。
「しかし、アメリカ人も家は『所有から賃貸』に進んだんじゃなかったの?」
という声も私は過去に聞いたことがありました。事実は、
持ち家比率は回復・ちょっと高原状態、にあります。さすがに住宅ローン審査も「まとも」になっているので、住宅バブルの67%~69%まで回復することはないと思いますが、65%まで来ています。
これはミレニアム世代(今のアメリカの35歳~40歳代)が持ち家志向になっているとか、リモートワークで郊外に家を持つ、とかそういうトレンドだと言われています。金利は低いけど家賃が高いとかもあるかもしれません。
つまり、需要と供給の関係から住宅市場はStill、タイトじゃないか、と思うわけです。
中古住宅に関しては、そもそも新築住宅が出てこないと、中古に回ってこないので、新築の方がパラメータとしては重要だと判断し、割愛しています。
有名なケースシラー住宅価格指数です。1987年からの長期トレンドで、CAGR4.4%の上昇を続けています(黄色の矢印トレンド)。リーマンショック後の2009年以降は同5.1%と加速しています(赤色の矢印トレンド)。
毎年住宅価格が4%~5%も上昇するのなら、ローンで買って賃貸に回す不動産投資王国ですね。
三井住友銀行の資料から |
ちょっと簡易に試算
結論としては、アメリカの住宅に投資すれば、10年後は年率14%のリターンが得られるということになりました。
前提
- 住宅価格は毎年4.5%で上昇する。すると10年後は約1.5倍149となり、その価格で売却する。
- 家賃利回りは4%とする。家賃は年率2%で上昇する(その場合、10年後の家賃利回りが3.2%まで下落するが、保守的に無視する)。
- その他経費は考慮に入れない。
- 購入の際、自己資金20、ローンを80組む。金利は5%。ただし便宜的に元本据置とする。
- ざっくり、家賃で金利を払うようなシミュレーションですね。
- 税金とか不動産関連コスト(仲介費用とかその他手続き費用)は除外する。
- したがって、149(住宅価格)-80(ローン元金)+10年目の家賃-金利の差額=69が手残りになる。
多分、不動産ファンドの目標IRR15%にいい線いっていると思います。
S&P500の期待リターン7%~9%よりは上です。
ちょっと前提が甘いかな?(投資不動産融資の金利はもっと高いとか、自己資金比率はもっと高くなるとか)
不動産のいい点
- レバレッジがかかっているので、動かす金額も大きくなります。したがって、リターンの絶対額も大きくなります。
- 株価のように毎日の相場ニュースに惑わされる心理的負担は軽いです。
- 自らの交渉力次第で、買値や売値他は工夫できる余地があります。
留意点
- レバレッジかかかっているので、万が一返済できない場合も想定する必要性があります(アメリカの場合、州によってはノンリコース;デフォルト時は担保不動産の売却だけで済む場合もある)
- 不測の事態はやっぱりあります(住民とのトラブルとか)
- 地域差がある(カリフォルニアは規制が厳しくて人口動態が良くないとか、あの地域は治安が悪いとか)
ピーターリンチがかつて、株を買うより家を買え、と言ったのは名言だと思いました。
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