私の保有するPFでエネルギー関連株はすべて原油と天然ガスにかかわっています。
Kinder Morgan Inc. ポートフォリオ1位
Chevron 同5位
Enbridge 同12位
ポートフォリオ全体の約18%を占めています(12月末現在)
これらについて、当面の株価上昇を見込んでいないのは言うまでもありませんが、当面の業績が気になります。
いろんな(タダで読める)調査書などを見たところ、
l WTI50ドルレベルならシェールオイルは採算に乗っているリグが半分ちょっとありそうだ。
l 一方、在来型はその半分程度ではないか(ロシアでは一部4ドル台というすごい数字もあった)。
l 採算とは損益分岐点で、損益分岐点とは、企業として利益が取れる水準。
l シェールオイルは、リグの設置が承認されてから実際の生産まで5か月ほどタイムラグがある。アメリカでリグの数が減ってきたのは10月ごろ。したがって、実際の生産に影響が出始めるのは、2015年第二四半期だろう。
l しかしながら、リグの数が3割ほど減っても、生産量は契約もあるので10%程度の減少にとどまるだろう。
l これが30ドルを切るようなことがあると、世界的にリセッションになる。
l ロシアもOPECも50~60ドルレベルなら当面の減産の必要性がない。
l 一方、石油サービス関連のコストは確実に下がるので、悪い話ばかりでもない。
l シェールオイルの採掘に使うケミカルや水の利用が高度化・効率化できれば、採掘コストはまだ下がるだろう(アメリカではこの頁岩を割くための化学品とリグから流す水の確保がコストのボトルネックとなっているので、改善のための対策が練られている)。
l 当面、石油関連投資は3割ほどカットが見込まれそうだ。このカットは今の生産には影響がないが、数年先(2018年ごろ?)には、供給量の低下となって表れてくるだろう。
l したがって、劇的に原油価格が回復するとは見込みにくいが、シェールオイルの生産量がピークアウトし始める第2四半期あたり(以前にも書きましたが、アメリカのドライブシーズンに当たる)で、原油価格がボトムアウトあるいは底をつける形になるのではないか。
l その後は、今投資を削った分が(埋蔵量の)ツケとなって、2017年~2019年ごろに顕在化し、70~80ドルぐらいの価格を形成するのではないか。
マイナス面として
l 石油関連投資で雇用されていた人に、一定のリストラ圧力がかかってくる。
l また、シェールガスの生産で、Liquid Richと言われる水分が多いガス田では、従来から天然ガスと天然ガス液【Natural Gas Liquid: NGL】を分離し、NGLからブタン、コンデンセートなどを更に分離して転売していた。これらブタン他は石油からも一定量が取れるが、石油より天然ガスの方が圧倒的にコストが安く生産出来ていたので、石油由来のものより価格競争力があった。
l しかしながら、原油価格が大幅下落したので、これらの成分の価格競争力が失われ、シェールの天然ガス田も採算割れが出る可能性もある。
以下は私見
技術の進歩とは恐ろしいですね。シェールオイルの採算ポイントは60ドルとも70ドルともいわれていましたが、さらに20から30ドル以上も削減余地がありそうです。そんなに下がると、供給過剰の状況が修正されないんじゃないか? と思ってしまいました。
もっとも、もっと石油をガブ飲みするような方向性になれば別でしょうが、世界的に二酸化酸素排出抑制の動きがありますので、原油を非効率にじゃんじゃん使うってのは難しそう。新興国の経済成長による需要増に限定されそう。
一昔前まで、忌み嫌われていた中国の存在感がまたクローズアップされるかもしれませんね(ベネズエラなどの資源があっても、金がない国などに中国が援助を申し出て、政治力もコントロールするのではないかなど言われています)。
これは、天然ガスにも影響が及ぶような気がしました。原油価格連動性の今のLNG価格体系だと、LNGコストも大幅に下がってくるので、シェールガス由来のLNGを輸入するのと、従来通りカタール辺りから輸入するLNGも差がない(どころか、従来LNGのほうが面倒な投資も手続きもいらない)ので、またいろいろ変化がありそうです(すでに契約した分は引き取らざるを得ないけど)。
ロシアからの天然ガス輸入も、パイプラインは魅力が薄くなったかもしれない。
上記ポートフォリオの当面の不透明感としては、
カナダのオイルサンド由来の原油の動向。シェールオイルについては情報量も多いですが、オイルサンドはそれよりコスト高だったはず(これも最近、露天掘りから地上から水圧をかけて絞り出すような工法が主で、こっちの方がコストは安いそうだが)。
したがって、Enbridgeの業績が気になる。同社のビジネスはパイプライン通行料をもらうフィー・ビジネスなので価格とは連動しませんが、生産者が経営破たんするとかのリスク(そうすれば必然的に「通行量」が減るのでフィーも減る)。
さらに、Kinder Morganも基本的にフィー・ビジネスなので、資源価格が直接業績に影響を与えないが、現在投資が決まっているプロジェクトが本当に実行されるのか、という将来の成長リスクは拭えません(これも天然ガスプロジェクトが多いけど、1件デカいオイルサンドのカナダ西海岸への運搬というのがある)。
1月21日のテレカンでは、2015年については、DPS$2ドルの原資を確保しているといっていました。その後、2016年~2020年までは、1バレル70ドルの前提で、毎年10%の増配は大丈夫だといっていました。
また、上述の様に、シェールガス田の採算悪化が及ぼす悪い意味での波及効果は気になります。
Richard Kinderさんの原油価格のイメージも、2016年以降は、60~70ドルレベルに戻る、という楽観的なもの。
ちなみに、一部油田を持っていて、石油の生産もやっていますが、2015年は80%分価格をヘッジしているとのこと。
この原油安に、Bakkenで買収なんてやるもんだから、投資家は不安になりますね。
Chevronについては、前回見ました。
まあ、向こう数年の配当成長率の鈍化はやむないですね。
肝いりの巨大プロジェクト、西豪州のLNGプロジェクトである、GorgonとWheatstoneが、高値掴みになる懸念が残念ですねえ。しかし、キャッシュフローの増加には確実に寄与するようですので、あとはじっくり配当をいただくこととする。
当面保有株を売却する予定はありませんが、WTI100ドルってのは、需要と供給と技術革新などを考えると、夢物語かもしれません。
(穿った見方をすれば、オバマさんの後の大統領が共和党出身者で、また中東で軍事行動を起こせば、ギュッと原油価格が上がりそうですが、イランはおとなしくなっているので、「敵」もいない)
願わくは、私もみなさんがおっしゃるように60ドル~70ドルぐらいに回復すれば、まあ、ナントカやっていけると思います。
サブプライムも、最初は皆楽観していたのですが、ふたを開けるとひどいことになっていたので、油断は禁物ですが、、、。
但し、東アジアを中心としたガスの需要増加路線は間違いないトレンドだと思っていますので(これらの国の成長率が鈍化したので、ちょっと落ち込むかもしれませんが)、天然ガス関連には依然強気です。
1年以上前から、原油価格は長期的に80ドル~90ドルぐらいかなあ、と思っていました(やや供給過剰)ので、100ドルは高いと感じていましたが、40ドル台まで下がるとは思っていませんでした。しかし、投資家が思っていないことが起こるのが、マーケットである、と改めて感じてしまいました。
しかし、想定外のことを想定して、用意するってのは、どうやってやるんだ?
石油、天然ガスセクターは依然ホールド路線を貫く予定です。長期投資は我慢の連続ですね。
0 件のコメント:
コメントを投稿