楽天セミナー、備忘録その2
窪田氏は昨年から楽天のチーフストラテジストとして、大和証券から移籍された方。
夏も講演があったようだが、その時は聞いていなかった。秋に別の楽天のセミナーがあって、話を聞くと、ためになりそうだったので、楽天証券のHPでアップされる「3分でわかる今日の投資戦略」を欠かさず見るようになった。
ストラテジスト、エコノミストあるいはアナリストなど「~スト」と呼ばれるスペシャリストの人のいうことは当てにならない、というのが個人投資家の間では、通説のようになっている。
しかし、彼らは基本的に過去の事実を振り返って、その延長線上で物事を推測するのが生業である。
想定外のことを想定するのも無理ですからね。
言い換えれば、過去の事実の整理整頓は聞いていて、必ず役に立つはずだ。
あっちこっちでいろんなことが毎日のように起こって、それを体系的に頭に整理するのは大事なことではないかと思う。
(しかし、過去の事実の整理が非常に上手なので、聞いていると将来もそうなるのかなあ、と引き寄せられていく点をどうやってコントロールするかが、難しい)
窪田氏のセミナーは、ちょっと面白い大学教授の講義のようでした。系統立てた金融市場知識と証券マン的な営業サービス精神が入り混じっている。
2015年末の日経平均を2万円と予測。これが結論。
しかし、リスク要因は多く、ボラティリティも大きい1年になると。
リスク要因として
1. 米金利上げ
2. 逆オイルショック (ロシア・ブラジル経済の不振)
3. EUの不安 (ギリシア)
4. 地政学的リスク (中東、ウクライナ、その他いつでもどこでも)
しかし、1月から、ギリシア不安と逆オイルショックの一部が顕在化したので、ある程度マーケットは織り込みにかかっているはずだ、と言及。
原油相場の下落については、あまりにも急落したので、原油安で恩恵を被るプラスの側面よりも、「なぜそんなに下がるんだ。あれはどう2なる、これは大丈夫か」といった不安が先走って、マインドが低下したのだろう、と分析。
1980年代にも、70年代のオイルショックの後に逆オイルショックというのがあった。中東のプラント受注がキャンセルになった、とかそんな話で関連銘柄が売られた、とのこと。
市場では、不透明な点はまず売りから入って、徐々に「思い過ごしだった」とわかると、買いに転じるものだ。
原油相場の下落は、あきらかにOver Supplyが要因で、突き止めればシェールオイルだ、との認識でした。需要サイドは変わっていない。
原油安でメリットを受ける国として、米国、日本、ドイツ、インド、中国、トルコを挙げています。
逆にデメリットを受ける国としては、ロシア、ブラジル、豪州、ベネズエラ、ナイジェリア、OPEC諸国を挙げています。テロとかそんなやつを。
原油安は原油だけでもなく、鉱物資源にも及んでいるので(銅の急落)、ブラジルは注意とのこと。
EUについては、突き止めるとギリシアがEUを脱退するか、残存するかだが、現時点では残存見通しが大きい、との様子。EUについては、ギリシアがダメでも、今回はスペインやイタリアは比較的おとなしいので、波及リスクも小さく、あくまでギリシアの問題であり、騒ぎは大きくならないのではないか、とのこと。
日本の株式相場はどうなる?
日経平均が調整するときは、必ず先にダウ平均(米国株)の調整が起こっている。米国株の動きは、FRBの金融政策の一点に集約される。日本市場はヘッジファンドのリスク調整弁のようなところがあって、資金の流動性が大きいので、ボラティリティが米国株より大きくなっている、との分析。
⇒これは米国株をやっていると、全くその通りと思う(というかいつもそう感じている)。
時折日本初の市場かく乱要因もあるが、株式市場の動きはサッカーに例えると、基本的には、ニューヨークがJ1で、東京はJ2といったイメージで、残念ながら正しいと思う。
但し、年末の日経平均予想は、彼らの予想企業収益に基づいたボトムアップ的なものになっている。2015年3期は対前年比+9%で16年3期末は同+11%と予想している。
一方、現時点では15年3期には+3%というのが企業の自己申告なので、そのギャップが6%程度あり、年末の日経平均から+17%程度を加算するとおおむね2万円に到達するはずだ、という感じでした。
年末の日経平均 17450円×1.17=20,416円
たぶんこんな感じのことを言いたかったのでしょう。
円安、アメリカ景気便乗、原油急落でメリットをテーマに株を選別しよう、という提案がありました。具体的な銘柄はHPをご参照ください。私はこの銘柄にそれほど興味がなかったので(商社とかタイヤとか言っていました)。
円安がメリットなのかでメリットなのか、について。
メリットがあるのは、輸出競争力、設備投資の国内回帰、外国人観光客の増加の3点を、デメリットは原材料の輸入であるが、一次エネルギー類の市況急落で、それほどでもない、とコメント。
アメリカの金利引き上げが最大のテーマだ、という見方は、2015年のマーケットの最大のテーマであることは間違いないでしょうね。スイスの事例を見てもはっきりしましたね。しかし、サプライズはいけないですね。
さて、冒頭に戻って、年末日経平均2万円が、当たるのか、外れるのかについては、わかりません。確かFEB利上げもセオリー通り年央と言っていました。したがって、ファンダメンタル的にはそうかな、と思います。それ以上を予測するのは無理ってもんでしょ。どうせいろんな事件が起こりそうですし。
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