仕事が一段落しました。若手中国の政治経済専門家で、前回の楽天セミナーですっかりお気に入りの人になったので、今回もヒアリングしました。
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中国に限ったことではないが、専門家・評論家と言っても、彼自身のバイアスから逃れることはできないと思います。
日本でも、中国悲観論者が多かったり、中国擁護者がいたりしますが、彼自身のバックグラウンドなども勘案する必要があったりします。
特に、日本人は中国に羨望感や嫉妬感が潜在的にあります(経済成長がうらやましい等)ので、現在の中国の状況が「ほれ見たことか」的な意識から出る意見も見受けられるかもしれません(中国バブルは必ず破たんする様な意見)。
そういった前提を持ってみれば、高卒と共に中国でどっぷり大学生生活以降を生活してきた加藤氏は親中派かもしれません。
その彼の意見である、という点を割り引く必要性があります。
前回のブログ記事でも書いていると思いますが、彼の中国経済政策の評価の根幹には、中国政府は人民を満足させなければ共産党王朝?は人民の手によって政権転覆されてしまうので、人民の生活安定をさせるためには、どんな手段でも使うだろう、というもの。
中国政府が中国経済をコントロールするのは、共産党政権の死活問題だから、何とかするのではないか、というもの。
基本理念は「成長なければ、安定なし。安定なければ政権なし」ということのようです。習近平政権は2020年に2010年と比べて、一人当たりGDPを倍にすると公約しているそうなので、それに向けて、必達するであろうと。(今の成長率ではややきつくなっている)
結論を言えば、彼自身は中国経済に対し、慎重ながらも楽観的でした。
ただし、今の中国経済が直面している課題は大きく、舵取りが簡単ではないことも政府は理解しているとのこと。「構造改革」が必要だと。
(世界中で「構造改革」ブームですな)
過剰生産の解消、不動産在庫の解消、脱レバレッジ化、企業コストの引き下げ(規制緩和・減税等)、民間企業の活性化、有効供給の拡大(農民、低所得者層の引き上げ、未開拓な地域がまだある等)
これらが改革すべき内容。
政府は「労働者と家族は救うが、企業は救わない」と言っているらしいです。過剰生産(鉄鋼、建材等不動産系)の企業はガンガン再編させられるようです。
また、有効供給の拡大は、そもそもまだ2.6億人の人々が住む地域では、沿岸部のような都市化が進んでいないので、そういった地域のインフラや生活基盤の改善を興す投資を行えば、成長余地があるだろう、という発想のようです。
恐ろしいのは、その発想を海外に広げている点です。中国の辺境地のような国々(東南アジアから東アフリカ)は海外にあり、過剰生産となっている産業を「輸出」しよう、ということのようです。
ただし、ODAとかでやるよりも、AIIB(中国アジアインフラ銀行)を梃に、広げよう、という点がみそ。
彼が中国に比較的楽観的なもう一つの考えは、国民性の違いのようです。Brexitの時、日本に帰ってきたら、「EUはどうなる」「日本経済に大きなダメージが」など悲観的な報道ばかりだったという印象を持っているようです。
しかし、中国人のメンタリティーだと、確かに同じような報道も見られましたが、同時に、「この機会をどうやって生かして中国にとってプラスにするのか」という発想がすぐに起こるようです。
例えば、これを機に英国に全面的に支援をして、ロンドンを中心に人民元を国際通貨にするためにはどうすべきか? とか、中国の市場経済をロンドンを通じて世界に認めさせる、とか、シティーを攻めるぞと考えるらしいです(さすが!!!)。
現在、中国は一人当たりGDPが8000ドルらしいのですが、全く満足しておらず、もっとお金持ちになりたいと大半の国民が思っている(平たく国民性を表現したのだと思いますが)、とか、中国人の問題解決能力は歴史的にも高いので、今の課題も時間をかけても確実に処理するだろう(確かに日本人より、手段はともかく、結果は出ていると思う)、したがって、最終的には乗り越えられない課題ではない、
そんな内容でした。
AIIBをバブル崩壊を食い止める手段として活用している、なんて、頭はいいけど、やっぱり中華思想だよなあ。
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