久々の配当貴族シリーズですが、のこりわずかの社数となっています。今回はエアープロダクトアンドケミカルズ;APD という工業用ガスの供給がコアビジネスのファインケミカルの化学企業です。
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早速財務です。
連続増配は34年目。過去の増配率も2ケタ前後と堅調です。
株価はMorningStar社ではFair Vale という位置づけですが、なんとなくやや割高な個人的な印象(PEが18倍だとS&P500の中ぐらいですけど、それ自体に割高感を感じている)。
この会社も事業ポートフォリオを入れ替えていますので、財務の連続性がイマイチわかりにくくなっています(財務データはすべてMorningStar社からのもので、基本的にGAAPベース)。
会社は産業用ガスなどのコアビジネス(水素の供給者として世界40%のシェアを持っており、ダントツで1位のようです)にフォーカスしようとしており、パフォーマンスマテリアル事業(どちらかといえばコモディティな化学品事業)をドイツの名門Evonic社に38億ドルで売却を決めています。
同事業は約10億ドルの売上高と2.4億ドルのEBITDAを生んでいたようです。
さらに、Electronic Materials Division(電子材料事業)をスピンオフで株式公開させるべく準備をすすめています。
こちらの事業も年商10億ドル、EBITDAはなんと3.5億ドルもあるようです。
2事業合わせて20億ドルの売上高と6億ドル近いEBITDAがなくなります(最も電子事業部門はスピンオフですから、株を持ち続ける限り、株主には価値に影響はない)。
これらの事業整理で生んだキャッシュは借入金の返済などを想定している模様です。
残る産業ガス事業は、シュエールガスの開発により、より安価な原材料が入手できる米国メキシコ湾の石油化学事業や中東(サウジなど)や中国などの新しい顧客に向けた投資に向ける、と言っています。
工業ガスの供給は10年から20年の長期契約で顧客と契約できる点、これらガス関連のメンテナンス事業なども請け負う模様でよりハイマージンで、安定的なキャッシュフローが生み出せる事業への生まれ変わりを考えているようです。
やはり、ITバブル崩壊とリーマンショックで、化学業界に対する投資家の目線がシクリカルビジネス、という画一的な見方が支配していて、そういったボラタイルな要素をなくして、強い分野に特化することで、安定的なCFを生む会社になるべきだ、と経営陣は判断したようで、その判断を実行に移せるのが、アメリカ企業の強さだなあ、と改めて思う次第です。
日本企業ですと、「そりゃわかっているけどねえ。そんな簡単にいかなんだよ、投資家さん」と言って、結局何も手を付けない、という会社が多いように思われます。
日本企業ですと、「そりゃわかっているけどねえ。そんな簡単にいかなんだよ、投資家さん」と言って、結局何も手を付けない、という会社が多いように思われます。
株価は現時点だと割高に見えますが、ウオッチして、チャンスがあれば買ってみたいなあ、と思った企業です。
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