2018年1月24日水曜日

金融政策 煽るマスコミ論調と本筋のギャップ




金融政策始まった先取りドルは3年ぶり安値に (日経電子版 1/16)
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以下抜粋
日欧の金融緩和の「出口」はいつか。世界の投資家の間で、利上げ時期の探り合いが始まった。好調な世界経済を背景に、米国から周回遅れだった欧州中央銀行(ECB)や日銀も想定より早く利上げに動くとの見方がくすぶる。
(中略) 
今回のドル安は円も絡む。日銀は金融正常化で世界から1周も2周も遅れているが、投資家は堅調な国内経済などを背景に出口に足を踏み入れるとの思惑を強めている。
以上抜粋終わり

記事では、日本は金融正常化に対し、世界から「周回遅れ」であるということを強調している。これは今回の記事に限ったことではなく、時折目に触れるフレーズとなっている。


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そもそも日銀が金融を大幅に緩和したのは、デフレを脱却し、インフレターゲット2%を達成するためであった。もちろん、日本より大きい米国やEUも緩和しているから、さらにもっと緩和しないと、デフレの脱却には無理がある、いうのはある。

金融緩和のKPIがインフレ率(今や2%は難しいが)であり、「お隣がやったからうちもやる」ような話ではない。金融緩和という手段はインフレ率の定着という目的を達成していないのである(ただし、主要先進国のなんとなく平均インフレ率並みのインフレ率を達成しないと、実質金利等で益々円高になってしまうという現実はある)。

周回遅れという言葉の可笑しさは、アメリカはリーマンショック直後の2009年にはすでに大幅に緩和に踏み切っている。日本では、白川前総裁は申し訳ない程度の緩和しかしておらず、本格的な金融緩和は2013年の黒田総裁の誕生からであった。

したがって、実際は金融緩和の「出口」が周回遅れなのではなく、金融緩和の「入口」が周回遅れだったのだ。

今回の記事に限らないが、マスコミの論調(日経新聞社さん他)は、読者を煽りたいらしい。いや、「金融は早く正常化すべき」とご親切に警笛を鳴らしてくれているのかもしれない。しかし、ロジックが単純であり、性質が良くないと思います。

こういったあおり論調になっているのは、


  • 本質を理解しているにもかかわらず、PVアップや読者数アップを狙って、意図的にあおっている。
   または、
  • あおれば、PVが増えるから本質を理解しないまま、とにかく書いている。

前者の場合、マスコミとして、少なくとも高級日刊紙としては、サイテーの行為だと思う。

後者の場合、プロ意識に欠けた、能力の低い記者・編集者であり、やっぱり高級日刊紙として、いかがなものか、と思う。

なお、私はマクロ経済に関しては、完全に門前の小僧以下の者であり、私の意見が間違っている可能性もある。

しかし、「アメリカが金融正常化しているんだから、日本も正常化しなければならない」というロジックはおかしい。金融に限らず、政策は国の状況に応じてやるべきでしょ。

こんな記事を書いていたら、「日経新聞さんの記事って、某紙が書いているからうちも書かなきゃ」的な横並び主義的な新聞社なんだろうなって、勘繰ってしまいます。

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