2018年2月14日水曜日

債権者(金融庁) 対 株主 東芝メモリ売却再考論が顕在化しつつある



ブルームバーグの記事です。
東芝メモリ売却、最高益記録の中、株主からは見直し待望論も浮上

(参考記事)

東芝再建 予想通り迷走中? しかし、アクティビストと東芝経営陣は息が合っているかも



スポンサーリンク

東芝のゴタゴタ。ここまでとこれから。

様々な会計不祥事を起こしてしまった東芝は財務的に危機に陥り、虎の子?の半導体メモリ事業の売却を余儀なくされてしまいました。

東芝メモリの売却理由に今年の3月末までに売却を完了させないと、債務超過のまま2会計期間連続で経過してしまうことから、東証の上場企業退場ルールに抵触し、自動的に非公開企業に転落することになります。

また、金融機関の査定上も2期連続で会計上の債務超過が続くとなると、債務者格付けも大きく影響が出てしまう可能性がさらに高くなります(要注意先とか要管理先とかにランクされて、金融機関が貸し倒れ引当金を積まざるを得ない状況になる。地銀とかはこれで大きな減益要因となって、経営陣の責任問題に発展しかねない)。

そうなると、地銀は貸出金を引き上げる(貸付期限が来てもロールオーバーしなくなる)事態が顕著になり、東芝の資金繰りが悪化する、そうすればメインバンクも支えきれなくなる、という悪循環が予想されます(貸した瞬間、貸付金の10%以上が引当金になるようなことできません)。

3月末までの売却完了に必要なのは、海外の公正取引委員会などの審査です。現在半導体メモリ事業(NANDフラッシュ)は、ざっくり韓国のサムソン、SKハイニックス(現代とLGの半導体事業が合体したものらしい)、そして東芝の3社で寡占状態です。

サムソン(DRAMもやっていますが)は、同事業で営業利益率が50%近いなど、ウハウハ事業です。

東芝メモリの売却契約の資金提供者(確か融資だった)にSKハイニックスが入っているので、これが独占に抵触するのでは、ということをこじつけて中国が申請を簡単に通さないようです。
(中国では半導体を鉄鋼・繊維といった産業に次ぐ国策産業に育成したいようです。したがって、あまりにも強敵が出来るのを嫌がっている)

したがって、上場廃止を回避したい東芝は背に腹変えられず、東芝は昨年12月に、物言う株主やヘッジファンドなどから総額6000億円もの第三者割当増資を受けました。

そしたら、案の定、物言う株主は、「東芝メモリの売却を辞めたらどう?又はもっと高く売れるんじゃない?」等とモノを言ってきた、

こういう流れです。

一方、株主サイドから見れば、東芝メモリが東芝の利益の大半を稼ぎ出すものを売るのはおかしい、という意見のようです。

東芝連結の2017年3月期の営業利益予想は4300億円のようです。そのうち東芝メモリが稼ぎ出す営業利益は4194億円で98%を占めるそうです。

産経ニュース 経済インサイド 18年1月9日 東芝再建 今年どうなる…「物言う株主」圧力で波乱も 

債務超過をどのように考えるべきか、日本の不動産バブルが崩壊したときに形成された金融コンセンサスの見直し(金融庁の金融検査マニュアル)をするべきか否か、という課題になりますね。

会計上は債務超過でも、含み資産として2兆円のメモリ事業がある以上、解消する必要性が果たしてあるのか? 現実問題債務超過でも、キャッシュフローが回っていれば事業は継続できるので、影響ないのではないか、などの意見もあります。

一方、米国でも債務者格付けで「投機的水準」(債務超過よりももっと厳しい上の位の水準)とされるとCEO失格に近いインパクトがあるので、経営者は資金集めに奔走します。

半導体産業は典型的な資本集約型で景気敏感産業なので、銀行としては景気のいいうちに売却して、東芝の財務体質を安定化させたい、という思いがあるのだと思います。
(しかし、メモリ事業を除くと営業利益がたった100億円の企業の方がいい、という銀行側のロジックも理解しがたいものがある)

株主側はメモリ事業を売却しない方が、東芝の株価は上がるはず(現在の株価はおそらく東芝メモリを売却した後の東芝の業績を睨んだものになっていると考えられている)なので、都合がいい。

ソニー対サードポイント、富士フイルムHDとアイカーン等、物言う株主が東芝・富士フイルムなどの日本の大企業と直接「対決」する状況になってきました(10年前の村上ファンドやスティールパートナーズは中小型企業が多かった)。

アベノミクスのいう、コーポレートガバナンス改革も本格化してきたかもしれませんね。

応援お願いします。
にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ

スポンサーリンク








0 件のコメント:

コメントを投稿