2020年5月6日水曜日

経営破綻しても、破産するとは限らない 倒産、破綻、再生、破産など






新型コロナのために、休業を余儀なくされるサービス業の中で、経営破綻を生じる会社が出始めました。

ニュースを読んでいると、書いている記者本人(編集している編集者も)が、意味をよくわからず書いていると思われるケースが目立ちます。


最近でも
新型コロナ関連破たんで最大 WBFホテル&リゾーツが破産 (4/28 M&A Online)
米本社破産「ゴールドジム」の日本運営社長が激白「(億単位損失でも)潰れないし潰さない。政府はジムを活用すべき」 (The Page)

というニュースが目を引きました。


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後者は記事の出所がそもそも週刊誌っぽいのと、言いたいことは米本社が経営破綻した、ということよりも、「過剰自粛」の犠牲者が広がりつつある、ということのようではあります。

前者は、M&Aニュースを選んで配信するサイトだが、仮にもM&Aを生業とするなら、しっかり把握してほしい、と思いました。経営破綻とM&Aは密接に関係がありますので。

そもそも倒産も経営破綻も法律で決められた定義もなく、なんとなく習慣的に、経営が行き詰まって、「支払不能」状態になった時で、何らかの法律で以降の手続きを行う場合に用いられているような感じです。

具体的には、支払手形を発行している会社がその手形期日に資金を用意できない(不渡りといいます)場合がかつてはトップだった。

個人で切ったクレジットカードの決済日に銀行預金残高がどうしても埋まらないような感じです。

ホテルやスポーツジムは現金商売(ホテルはカード決済が主流だが、ジムは前金じゃないか?)で、自らの業者に手形を発行することはないので、多分家賃の賃貸とか新規施設の建設代金の支払いとかで行き詰まったのでは、と勝手に推測します。

そういう場合、経営者は「頼む。ちょっとだけ支払いを待ってくれ」とお願いしたいところですが、誰か特定の債権者にだけお願いしたことがバレると、他の債権者は怒りますよね。

例えば、ジムの債権者(例:筋トレのマシンの納入業者とかで新規店舗への納入代金が未回収であれば)で、某ジムがやばいとなれば、すでに納入済みのマシンを取り返す(物理的にできるのか、という疑問は置いといて)とかの騒ぎに発展します(取り付け騒ぎ)。

そこで、例えば民事再生法とか会社更生法とかを用いて、法律の力でそういうのを一旦、棚上げして、債務の支払いを再設計しましょう、というのが民事再生法申請、とか、会社更生法申請とかでニュースになるパターンです。

この段階では、経営は破綻した、倒産したと一般的な概念では言われますが、申請した債務者企業は、文字通り、事業の再生・更生を望んでいるので、営業は継続できるのが通常です。その法人も存続は一応できます。

今はコロナ自粛で、休業していますが、かつてGMSのマイカル(旧ニチイ)が会社更生法を適用した際も、申請後はマイカルの店舗は営業していたでしょ(と言ってももう20年ぐらい前の話で、若い人はわかんないでしょうね)。

(なお、マイカルは会社更生法適用後にイオンが買収しています)

営業を継続しながら、膨れ上がった債務整理を法律の下で行うのが通常です。ちなみに債務整理というのは債権を放棄してね、という交渉になります。ヘアカットですね。

対して債権者側(例:銀行)から見れば、こういった先の債権は文字通り「不良債権」になります。

民事再生はその後の営業を、債務者企業の経営者が引き続き行う事ができる点が特徴的です。

会社更生法は、裁判所が指名した事業管財人が経営を承継します(事実上のM&Aの買収者になるケースが多い)。申請した会社の経営者は責任とってクビです。

したがって、経営者からみれば民事再生法にインセンティブがあります(他にも違いはありますが、専門的すぎるので、割愛します)。

話を戻すと、WBFホテルは民事再生法の適用を申請した(民事再生法をやりたい、と言っているだけで、裁判所はまだ許可したというニュースは聞いていませんが)段階、米ゴールドジム本社はチャプターイレブン(民事再生法の原型のようなもの。当然アメリカが先輩)を申請した段階で、両社とも、「やり直ししたい」と言っています。

一方、破産は法律では、破産法というのがあります。これは、適用されると、原則として営業の継続はできなくなり、経営は裁判所が選任した破産管財人(弁護士)に委ねられ、同管財人は金目のものを売却して、現金化して債権者に分配して終わりです。再生ではありません。法人は清算され、存続できません。
(もちろん、立地の良いホテルやジムの店舗資産だけが欲しいという人には、個別交渉で売却もしますし、やり残しの事業などがあり、最後までやったほうが債権者への分配が増えるとかがあれば、裁判所は事業の継続を許可することもあるようです)

破産法が適用されるのは、裁判所が「再生の見込がない」と判断した時にくだされることが多いようです。

つまり、民事再生で再起を図ろうとしたけど、やっぱりだめだった、というパターン(いきなり破産するケースは自己破産とか言っています。資金繰りがカツカツ過ぎて、税金も払えない、とかそんなケースです)。

したがって、経営破綻した段階で、破産した、と誤解を与えるのは少なくとも記事を書くことを商売とする人には区別して使ってほしいな、と思います。

読み手は、書き手が正しいということは「暗黙の了解」として情報を入れてしまうので、誤った知識が独り歩きしかねません(コロナ治療でも年金問題でも投資でも同じような感じがする。要は書き手の専門知識が乏しい)。

日本のゴールドジムは、フランチャイジーの会社さんは、アメリカの影響は受けない、と言っていますが、FC本部が経営破綻となると、傘下のフランチャイジーへの様々な支援の変更などが気になりますね。

(本部が破綻しているので、リストラとかキャンペーンの見直しとか、そもそも経営支配が現経営者から新しいスポンサー企業に移ると、やり方も変わるかもしれませんね)

ただ、そんなことより、対面サービス業者の資金繰りはやっぱりなんとかしないとやばいですね。緊急融資だと、どっかで返済しないと行けないので、元々借金体質でCFが薄い会社が返せるのかって気がします。

どっかで優先株とかに転換してあげるなど長期戦になればいいけど。
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