2017年10月9日月曜日

保有銘柄の定期点検 その5 Enbridge Inc.(ENB) 21年連続増配継続中




カナダ最大のパイプライン会社で、米国のSpectra Energy(SE)を吸収合併したことで、Kinder Morganを抜いて、北米ナンバーワンのパイプライン会社となりました。
ENBに関する記事はしばし取り上げています。

過去記事はこちらをご参照ください







会社概要

(いつも同じですが)かなりざっくり言うと、カナダで採掘されるオイルサンドをアメリカに送るパイプライン(ENB社が管理しているものをMain Lineと呼んでいる)のアセットマネジメント会社です(パイプラインの保有もしている)。

Kinder Morgan他と違う点は、パイプラインの大半が、石油製品などの流体物である点です(Kinder Morganはガスという気体)。

ただし、近年、オイルサンド以外に太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギー資産の保有、運営や(SEの買収により)天然ガスパイプラインの拡充など事業ポートフォリオを多角化しています。


上記左図はSE買収後のEBIT(ざっくり営業利益と言っていいでしょう)の内訳です。


  • 黄色のLiquids Pipelineは石油製品関連の収益です。半分くらいあります。
  • 青色が、Gas Transmission&Midstreamで、天然ガスの精製とパイプラインを指します。35%程度あります。
  • グレーの、Gas Utilitiesは、オンタリオ州、ケベック州でいわゆる都市ガス業をやっています。小口の家庭までガス管を敷設、販売しています。カナダ最大手業者のようです。
  • 緑色が、風力などの再生可能エネルギーです。


右の円グラフは2020年までの受注プロジェクトのうち、許認可、資金調達など事業化が決定しているものを指します。色の面積からわかる通り、石油製品関連プロジェクトの依存割合を減少させ、事業ポートフォリオの多様化を目指しています。

株価推移(ニューヨーク市場、ドル建て)

当社はカナダ企業なので、トロント証券取引所での上場が取引量も多いと思われますが、我々が売買するのはNYSE市場の上場分です。

変動要因がたくさんあるので、説明がむつかしいです。業績、原油価格や金利、そして外為市場が複雑に絡み合います。ただし、近年の下落は原油相場、米ドル高とそれに伴う業績懸念だと思います。実際の業績は堅調です。
Main Lineはカナダアルバータから米ミネアポリスを通って、五大湖に伸びるパイプライン

当社の最大の強みは、カナダのオイルサンドの60%~70%をMain Lineと言われる巨大パイプラインで牛耳っている点でしょう。カナダは現在、ベネズエラ、サウジアラビアに次いで世界3位の石油埋蔵量を誇っていますが、作っても運ぶ手段がありません。

生産地は大半がカナダ中央のアルバータ州で産出されますが、出荷の大半はアメリカ市場です。アメリカへはパイプラインを使いますが、いろいろあって、ENBのMain Lineを活用するのが大半となっています。

アルバータからバンクーバーを抜けて太平洋を伝って、中国などのアジア市場に抜けるパイプラインの強化はバンクーバーを所管するブリティッシュコロンビア州が猛反対しています。
一方、東のケベック州を抜けて大西洋岸から欧州などへ輸出するルートも許認可で難癖がついてうまくいっていないようです。

カナダも、米国一辺倒のエネルギー産業ではリスクが高いので、多角化したいのですが、国民感情が邪魔をして、なかなか計画通りに進まないようです。しかし、計画時期がずれることがあっても、たぶん実現すると思います(事業者のコストが膨らむので株主にはよくない話ですが)。

したがって、当社最大の強みであるMail Lineを脅かす他のパイプラインが躓いていているため、当面オイルサンド事業者はENBに依存せざるを得ないのです。
(最も、他の計画構想中のパイプラインが完成しても、オイルサンドが占める米国内石油消費量が増えるだけで、ENBの取扱高が減るということもない)


話しが長くなりそうなので、財務的なことはまた次回。

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