2016年6月12日日曜日

医療関連報道に思う

投資の話ではありませんが、医療関連報道は各マスコミで専門部署のチェックをしたうえで掲載してほしいものですね。知っている人と知らない人が書くと内容が180度違ってしまいますね。
普通の会社(銀行でも製造業でも)は対外文書を出すときに必ず、どこかの部署が内容をチェックしているはずなんですけどね。


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芸能人の方ががんになった、という報道が相次いでいる。
こういった報道が続くと、何かと考えさせるものがあるが、典型的な結末に、「がん検診は早くから受けたほうがいい、とか、受診率が低いのは問題だ」などと無責任に締めくくるマスコミ記事だ。


この記事の最後に

以下抜粋
3040%」。これは、日本におけるがん検診受診率の数字です。実は、日本のがん検診受診率は、OECD(経済協力開発機構)に加盟している先進国の中で最低レベル。これだけ身近な病気にもかかわらず、検診対象者の半数以上が検診を受けていないのが現状なのです。 あらためて、早期発見と予防の重要性を痛感するとともに、小林さんそしてご家族にとって最良の治療法が見つかることを願っています。
抜粋終わり

と記載がある(ここでは小林さんの話には踏み込まない)。

他国でがん検診受診率が高いから、もっと受けたほうがいいという結論と、その前提に、早期に発見できたがんは治癒できる(可能性が高い)、という隠れた前提がある(クリティカルシンキング的な発想ですが)。

しかし、これは一概に言えないし、事実でもない。現在の一般的な回答はがん検診が有効ながんもあるし、そうでもないがんもある。がんによっては早期発見で治癒できるがんもあるが、早期に発見できたからと言って、完全に治癒が期待できるかどうかわからないがんもある、また早期発見しても治療しなくてもいいがんもある・しかしどれが治療しなくてよいのか・どれが治療すべきがんかまでははっきりとわからない、というものだといわれている。

こちらの国立がんセンター(上の記事も国立がんセンターの言葉を引用していますけど、結論ありきで書くとこのようになりますね)、のウェブサイトにもがん検診のメリットデメリットが並列で書かれていて、受診目的をはっきり持って受けましょう、というような結論となっている。



  1. 検診を受けても100%見つかる保障がないこと(北斗晶さんはそうでしたね)。
  2. 過剰診断のリスクがあること(進行しないだろうと思われるがんを見つけてしまうこと)
  3. 心理的影響があること(例えば上の様ながんが見つかった場合、受信者の精神状態は、たとえ「あなたのがんは大丈夫」と言われても落ち着かないはずだ)

といったこともあるし、アメリカでは乳がん検診は50歳まで受ける必要性がないというアドバイスになっている。これは、過剰診断からくる擬陽性を回避するためと言われている。

早く受けて、早く見つければいいというものではない、ということ。東洋経済は日刊新聞なんかと違って、結構信頼していたので、残念な結論となっているといわざるを得ない。

もちろん、がん検診の受診そのものの是非を問う他社の記事もある。
日刊新聞の方がしっかりしていましたね(失礼)。

バランスをとって記事を読み比べ、自分でその情報の有効性を判断するよりほかはないだろう。
マスコミ情報は受け身になって読んでいるだけだと、ほんと危なっかしいですね。

なお、医療機関の中には、高額な診断機器(億単位は平気でしますからねえ)に投資してしまったばかりに、投資回収を目当てにがん検診を呼びかける場合もある、と聞いたことがあるので、「医者の話」も注意深く聞いたほうが良いと思う。


結局自分でリテラシーを磨く以外にない。

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