2019年12月10日火曜日

「楽しくなければ仕事じゃない」干場 弓子著 を読んで





ちょっと刺激的なタイトルで買って読んでしまいた。感銘を受けた個所が多かったのでブログに感想を書いてみることにしました。

著者の干場弓子氏は、かなり有名な人らしい。恥ずかしながら、今回初めて知りました。

ディスカバートゥエンティワンという出版社の社長だそうで、あの勝間和代さんを出版の世界から世に送り出したそうな。

私よりたぶん一回りぐらい年上の方です。 ディスカバー社の社長に1985年に就任しているそうで、社長業歴34年になりますね。


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閉鎖的な出版業界で、会社をそれなりの規模に育て上げただけあって、書いてある内容は「腹が座っている」という印象を持ちました。

ご本人は苦労と感じていないのか?(そんなことはないと思うけど)わかりませんが、経験し、修羅場を経ていないと言えないセリフがバンバン出てきます。

この本にも他の自己啓発系の本にも共通して書かれていることは、周りで何が起こっていても、そのことに対処するのは私であり、あなたであるから、どのように考えてどのように取り組むのかも私たち次第である、という考え方です。

「楽しくなければ仕事じゃない」という「仕事を楽しむ」ことの本質は、仕事自体が楽しいかどうかではなく、仕事を楽しむと決めて、楽しめるように練習し、視点を変えて物事を見るなどで身に着ける能力だ(訓練すればできる能力で、干場氏自身も最初から楽しかったわけではなかったらしい)、と言っています。

ただし、本田宗一郎の言葉を引用し、「楽しい仕事はあるが、楽な仕事はない」とも(この辺が社長34年の言葉の重みかもしれない)。

また、ディスカバー社の企業理念に「視点を変える、明日を変える」というのがあり、仕事に対しても、キャリア志向の人たちの正しい価値観(と考えられている概念)に対し、「そんなこと言ってんじゃねーよ、四の五の言わずに目の前の仕事を目いっぱい「楽しんで」やれよ」(これは私の解釈です)というメッセージを送っています。

どんな人がこの本を読むのに向いているか?
キャリアで迷っている30代半ば以上ぐらいの人がこの本を読むとモヤモヤがスッキリするかもしれません。

50を過ぎたおじさんは、まだこの世代観にありますので、言われると、はっとする気付きがたくさんありました。若い人はどうだろうか?

「働く人を惑わす10の言葉」として以下の10個を掲げ、干場流の解釈がされています。

ゴールを決めて、逆算して、「戦略的に」物事に取り組もう、というのが、ロジカルシンキング的(MBA的)な考え方ですが、がむしゃらに打ち込んでその中で仕事にミッションを見出して社会に貢献していくことが何より大事だ、というのが主張の根底にありそうです。


  1. キャリアプラン → プラン通りにいかないのが人生。今のスキルが10年、20年後に必要とされるかなんてわからない
  2. 効率 → 一直線に目的にたどり着くことなんてまずない。回り道だらけ。その回り道の中に人生の楽しみや成長のきっかけがあったりする。コスパばかり追求するな。
  3. 好きを仕事にする → 若いうちは好きなことや得意なことがわからないケースの方が多い。目の前のことをとことんやっているうちに好きになるコツがある。
  4. 夢をかなえる → 自分の夢をかなえるより、他人の貢献することに集中すること。それがあなたに給料を払う理由(いかにも社長らしい)
  5. ロールモデル → ロールモデルがいない、と嘆く前に自分がロールモデルになれ。いろいろ障害を乗り越えて新しい生き方を作れ(主に女性の「ガラスの天井」的なことへの干場流の回答)
  6. ワークライフバランス → 夢中になることを恐れないで、なりうる最高の自分になればいい。
  7. 嫌われてはいけない → 誰からも嫌われないのは誰からも好かれないのと同じ。
  8. リーダーシップ → みんなリーダーになる必要はない。いいリーダーにはいいフォロワーがいてこそ。
  9. 自己責任 → あんまりこれを強調すると、ブーメランになって自分に返ってくる。いいことも悪いことも5対5で相手にも責任がある。
  10. 自己成長 → 成長は目的ではない。結果だ。自分の成長よりも、仕事を通じて社会の役に立ち、社会に付加価値を与えることに集中しよう。それができれば結果的に成長している。


などなどです。事実は変えられないが、解釈は変えられるし、視点を変える、という点は頭に刷り込んでおきます。

自分で自分のお尻をたたいて、前進したいときに読む本

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