2013年5月4日土曜日

4月の投資状況



 


4月のS&P500はプラスで終わっています。今月の集計は雇用統計終了後のものです(日本時間深夜2時ごろの暫定値ですけど)。

雇用統計はなんとか16万人プラスとこれまでのペースに回復しましたが、それ以外の経済指標が落ち込んでいるのは明らかなような気がします。FRBが金融緩和の継続にためらわない程度にゆっくり回復している感じで、やっぱりソフトパッチ感がぬぐえません。しかし、これが金融相場を引き延ばしていますね。

ちなみに米国債10年物金利は去年とほぼ同水準まで下がっています。

EUが予想通り利下げを行いましたが、1回程度の利下げで十分なのかを見極めるのでしょうか?個人的には第4四半期か来年の1月ぐらいからボチボチ前年比がプラスに転換するかもしれない、と期待を抱かせますが、どうでしょう?米企業のCEOの話を聞いていると英国とロシア・東ヨーロッパはそんなに悪くなく、スペイン、ギリシャ、イタリアが悪く、フランス、ドイツは微減という印象ですね。

日本の方は、黒田バズーカのおかげで同じ数だけ販売しても、軒並み2ケタ増益が期待されるような感じでしょうか。その黒田バズーカは本当にざっくりですけど、決算を読む限り、米国企業の連結売上高を1%程下げる威力があるようです。もちろん企業によって影響度はマチマチですけど、各CEO・CFOは円安を理由に売上高の見通しを慎重においています(IBM、P&G、フィリップモリス、アボット、JNJ等)。

不気味なのは相変わらず中国ですね。経営者が未熟なのか雇用を維持するための国の圧力なのか、需要がないのに、生産調整がうまくいっていないような記事をよく見かけます。コモディティの暴落の引き金を引かなきゃいいのですけど。一説ではGDPはゼロ成長だとかも言われています。

4月の売買

売り:プレミア投資法人(残りすべて)、ピジョン

買い:NTT、プラネット

プレミア投資法人は結局残り単位も売却。投資期間4年弱で約3倍のリターンでした。戦闘力の弱いREITはこの辺が潮時かなと思いました。アドバンスレジデンスとユナイテッドアーバンは引き続き保有方針。REITは2銘柄になってしまった。

ピジョンは、株価の上昇が激しく、今この時点で8,000円は高すぎると判断し、売却。投資期間3年程度で3倍のリターン。その売却代金で、倍近い配当が得られる株数が確保できるだろうと判断。つまり、より配当利回りが良い銘柄に変えようと。業績も投資ストーリーに沿った形で進んでいるため、その辺は安心できるのですが、なにぶん適正価格の上限を超えているのではないかと思った。

プレミア投資法人(NTT都市開発がスポンサー)を売却し、NTTを買っているので、意味不明な印象を持たれる可能性がありますが、プレミアとNTTの配当利回りが同じかNTTの方が少し上だったので、中長期的な配当(増配)の安定性から考えて、NTTに切り替え。

通信会社のキャッシュフローと不動産賃貸業のキャッシュフローとどちらがより安定性が高いのか、ということですね。前者の方がより小口分散されていて、なおかつ不況抵抗力が強い。また、デフレ経済にあっても、スマホとかLTEとか言う理由で、通信代が値上がっても消費者の抵抗は少ない。あとはNTTデータのグローバルクラウド戦略に少し期待。

プラネットは子供名義で3年近く保有していて、自分も3年前には一時期保有していたことのある銘柄で、Economic MoatはWideなんじゃないかと思います。創業経緯もあって主要顧客が軒並み大株主である点と、流動性の点は留意しなければいけませんが、顧客基盤がしっかりしていて、ネットワーク効果が大きいので、長期で配当を狙う分には適した銘柄だと思います。

予想受取配当金増加率



7年程度で倍のペースを考えていましたが、2年半で達成しました。円安が大きく効いています。これを利用して、あまり長期保有に自信のなかったREITの個別銘柄をを売却することができました。

今月の増配発表:4月は例年増配発表が多い。

Cisco Systems:+21.5%これは3月の終わりごろに発表されていますが、先月見落としていたらしい。増配ペースが思ったよりも早い。

沖縄セルラー電話:+2円増配(+2.6%)。来期あたりからもう少し増配ペースが上がるんじゃないかと思います。

Procter & Gamble:+7%増配。57年連続増配中。但し、そのペースはやや落ちてきている。欧米の消費回復が遅いのが要因だが、ユニリーバ辺りに少し苦戦している。一方、株価は今年に入り、跳ねあがった。

Chevron:+11.1%増配。27年連続増配。毎年3兆円以上の設備投資を実施しても、しっかり増配するところはさすが。ダウ平均採用銘柄で、経営力はさすがです。これも天然ガス関連銘柄(但しLNG)と言ってよいと思う。もう少し安くならないかな?

Kinder Morgan Inc.:+2.7%。毎4半期ごと少しずつ増配しますね。天然ガスの価格が上がると、石炭の競争力が上がるので、米国で火力発電に石炭を使うか天然ガスを使うのかは、やや微妙になってきた(しかし、旧式の石炭火力が新式のガスタービン火力にスイッチする流れは環境問題もあるので継続すると期待はしている)。

Johnson & Johnson:+8%増配。52年連続増配だったか?やっと増配率が回復傾向を見せ始めた。医療機器部門の単価引き下げ圧力が心残り。医薬品事業と消費者向け事業は好調。株価的にもやっと報われ始めた。平均買い付け単価は$60を切っています。

JT 日本たばこ産業:+32% またまた増配。年92円まで引き上げ。メビウス(旧マイルドセブン)を値上げするのかな?値上げするとインパクト大きいと思う。もうしばらく+5%~+8%のマイルドな増配が期待できそう。早く赤字の医薬品と旧加ト吉事業を処分して欲しい。

I.B.M.:+12% 17年かな、連続は。2ケタ増配が確実だと思われる銘柄。第2四半期の決算で不安な点を一掃してくれると思います。


日銀、米決算、ECB利下げ、米雇用統計、ときました。よい材料は何が残っているのでしょうか?FRBが緩和策を継続するという予想だけ? よくない材料は現状、あまり織り込まれていないようですが、結構出ていますね。
 
 

応援よろしくお願いします!


2013年4月28日日曜日

創業経営者の功罪


上場企業の、いわゆる創業者(オーナー経営者)は、それはもう神格化といえば大げさ(西の方のエレクトロニクス関連企業はそんな感じになっている)かもしれませんが、その会社の全てを表している、といっても過言ではありません(未上場企業でも同じことは言えますが)。

一代で企業帝国を築いたその能力、リーダーシップ、ガッツなどどれをとっても尊敬に値すると素直に思います。

私も一時期、創業社長がいた上場企業に在籍していたことがありますが、社長=会社のようになっていました。ご本人はそうならないように色々気遣っていましたが(注:家業から社業にするために経営企画スタッフとして雇われていました)、結局はオレ=会社みたいな感じになってしまうんです。それが従業員も含めて楽だから(経営で最も重要な判断業務を一人にお任せしますし、幹部社員同士の議論も発生し得ない)。

もちろん、優れた参謀がいて、色々忠告・お諌めが出来るケースもありますが、三国志を見ても、曹操、劉備、孫権の3人とも権力のトップに立って安定してしまうと、部下の諌めを聞きませんでしたね(曹操は荀彧の進言を無視して王位に就き、劉備は趙雲らの反対を押し切って結局孫権に戦を挑んで大敗し、孫権も末期の世継ぎで乱心して陸遜が死んでしまった。そしてその後、この3家は勢いが衰えていきますね)。三国志の英傑ですら、こうですから、「水魚の交わり」のような番頭格のいる会社は非常に恵まれていると思います(しかし、「水」だった諸葛亮も結局劉備を止められなかった…)。

西洋社会においても「裸の王様」の童話がありますね。

権力の座に長く居座ると、「ワンマン病」になってしまうケースが多い。

創業社長のいる会社のよい点は、スピーディーな意思決定が出来て、時代の流れをうまく捕まえることが出来るため、先行者利益を得やすい点でしょうか?

そりゃ、「オレがやる」、と言えば、それを反対する人は皆無でしょう。上の3人の様にたとえ反対されても押し切ってしまうでしょう(成長期だと、まだ自信が完全に身についていないので、耳を傾けるのですけど、成熟期になると過信するのでしょうかね)。

他にもあると思いますが、これが一番大きいような気がします。

しかし、良い面があれば悪い面もあります。一代で上場まで持って行くためには、創業者の事業アイディア、時代の背景などが味方していることに違いはないと思います。したがって、創業からほぼ一貫して、基本的には「攻めの経営」で良かったはずです。中にはユニクロの様に、たとえ踊り場だと思われても、あえて攻めまくってその壁を乗り越えた例もあります。

したがって、仮に守勢に回るケースや潮流が変わり始めた場合に弱みを露呈する可能性が大きい。そういう時は、それまでやってきたことを一度自己否定して基盤を再構築しなければならないので、なかなか取り組みにくいことになります(サラリーマン企業でも簡単ではないですが)。ダイエー、西武などを見て思いました。

さらに2代目からがもっとも大変になります。攻めの経営のままで2代目(又は後継者)を迎えればよいのですが、高度経済成長から90年代ぐらいまでは一応何とか切り盛り出来ても、2000年代となると、国内市場の成熟化、グローバル化、円高など困難が出現し、「守り」に入らざるを得ない業界が多いように思います。そういったときこそ、創業時代のスピリッツが求められますが、そのスピリッツ(要するにワンマンでバシバシ意思決定して手を打って行く)は創業者だからこそできることで、ご本人以外は合議でやっていかざるを得ないというケースが多いのではないでしょうか?(中には某巨大小売業の様に2代目でも、絶大なる権力をお持ちの会社もありますけど)

しかし、いざ合議といっても、それまで「Yes」と言っていればよかった幹部社員に、考えろ・決めろ、といっても、元々そういったマインド設計になっていないと、ギアチェンジが難しくなります。

大経営者の後で「決められない経営」に陥ってしまったパナソニックやソニーを見ていると、そんな感じがします。早くから経営の一線から身を引いていたホンダとは違いますね。トヨタは創業家出身ですが、ああなってしまうと、ワンマンって感じでもなく、盛りたてるって感じ。自動車メーカーは多角化しづらいので、総合電機よりコアコンピタンスがブレないのでしょうね。

京都のメーカーには神様のように思われている創業者が何人かいますが、大阪の3大電機メーカー(パナ、シャープ、三洋)の失墜を反面教師化されるのか注目に値しますね。

サントリーなんかは比較的うまくいっているように見える。

権限委譲をスムースに行うのは創業社長の務めで、多くの心ある創業社長はそれに腐心されていると思います。しかし、「なんで俺に出来てお前に出来ないんだ」という感じになるケースも多く(そりゃ創業者だから出来るんでしょ、って部下は思いますが)、うまくいかないケースが散見されます(ユニクロなんてそうじゃない?柳井さんって、「俺の分身」の様な人か子息じゃないと結局任せられないんでしょう。バフェットもそれに近い)。

私のいた某企業(今は後継者を見つけて引退されています)も、「こんなリーダーが望ましい」という持論を散々聞かされましたが、当時の上司と「結局、俺のような社長をもう一人見つけろってことじゃない?」と話し合っていました。

出来る人ほど「任せる」がうまくできない(ロックフェラーは任せるのがうまかった)。

多くの創業者は、「もう一人の自分」が見つからず、結局子息に後継ぎをさせるのかもしれません(こういう弱みに付け込んで、財務省や日銀がオーナー系の地銀に公的資金の注入と引き換えに天下りポストを確保したりするケースもある)。

したがって、うまくいっている間はそれで良いけど、環境変化や組織の成熟度(ガバナンス、コンプライアンスとかを含め)が気になります。

そういった企業への投資がなかなか気乗りしないのはそういった理由からです。何となく「こんな感じの会社じゃないの?」と連想してしまって、気乗りしません。これまで散々オーナー企業をいろんな角度で見ている経験もあるかもしれません。成功すればするほど、それはワンマンだから…。

 
「騎手ではなく、馬に賭ける」(パットドーシー)、「船長ではなく、船の性能を見て投資する」(バフェット)を出来るだけ守るように心掛けています。素晴らしいビジネスモデルがあれば、創業者でも投資しうる。

創業者と言えば、アップルが今後、どういった経路をたどるのか、今後もアップルらしい商品が出てくれば、素晴らしいケースになりうる(しかし、今それが揺らぎ始めていますね)。

日本だと、小売業のしまむらの様な会社だと個人的にはいいですね(しかし、ウォルグリーンとかウォルマートの様な会社と比較すると配当利回りや配当性向が低くて、少し考えてしまう)。

創業者が経営する企業への投資は、その影響力をうまく見極めて投資する必要性がありますが、それが容易でないので、個人的にはあまり気乗りしないケースが多いです。

現在のポートフォリオではKinder Morgan 1社となっています(Fordは会長として君臨している。経営は基本的にCEOにお任せ)。


応援よろしくお願いします!

2013年4月20日土曜日

どんな投資本を読むのか お勧め書籍 その3 投資家に大切なたった3つの疑問 行動ファイナンスで市場と心理を科学する方法(ウィザードブックシリーズ)


いやあ、アベノミクス円安でフィリップモリスとIBMは決算が不調で、この1週間はちょっとスローでした。この2社の日本での利益がかなりのものであったことを改めて思い知らされました。
投資家が大切にしたいたった3つの疑問
投資家が大切にしたいたった3つの疑問
著者:ケネス・L.フィッシャー
価格:3,990円(税込、送料込)
楽天ブックスで詳細を見る

これをお勧めしているブロガーはかなり少数ではないかと思います(旧ブログで自分で一度お薦めしたことがあります。「投資家が大切にしたいたった3つの疑問」by ケン・フィッシャー 2011/9/25」 )
この本を推奨する序文を書いているのは、あの、ジム・クレイマーです。

著者は、成長株投資で有名なフィリップ・フィッシャーの末っ子、ケン・フィッシャーという人です。日本ではそれほど名前は知られていませんが、彼はForbes誌のアメリカ資産家ランキングTop400に30年近くずっと名前を連ねる筋金入りのビリオネアです(ちなみに2012年は271位で18億ドルの純資産を保有するとのこと!!!)。
 
About Ken Fisher and Other Authors


「そりゃ、お父さんがお金持だったからでしょ?」 と思っている人は、甘い! ケンの分析によれば、1982年から2005年の23年間に同誌のTop400位に居座り続けるためには、資産を年率11.5%で増やし続けなければならない、と分析されている。

1982年の400位だった人の資産総額は7500万ドルで、2005年の400位の人は9億ドルとなっているそうです。23年間Top400位であり続けるには年率11.5%の自分の純資産を増加させなければならず、アメリカでトップクラスの大富豪であり続けるためには、自分の全財産をS&P500よりアウトパフォームさせなければだめだったことになります。アメリカでずっと大富豪であり続けることは、非常に難しいのです(ウォルマートの創業者、サム・ウォルトンの子息は別格かな?同社株を保有し続けるだけでトップビリオネアの地位をキープできそう)。

かれは自分の運用会社Fisher Asset Management を経営していますが、タネ銭はお父さん譲りだったかはちょっとわかりません。100名以上のスタッフを抱え、運用資産額 Asset Under Management は360億ドル(3.5兆円)ともいわれています。  

 
 そして、その投資哲学はウォ―レン・バフェットにも大きな影響を与えたお父さんとは、まったく違っています。彼の考え方は、(相場の)歴史は繰り返す、という点が前提になっている可能性があります。過去に起こった経済事象と相場との相関性を徹底的に分析し、それに行動経済学的な考えを取り入れ、皆が気付かない相場の裏を先回りして資本投下を行い、市場平均に打ち勝つ、というのがスタイルであると思います。

アメリカの金持ちが読む雑誌「Forbes」で「Portfolio Strategy」というコラムをもう25年以上継続して掲載しています。同じ雑誌で同じコラムを長年続けることは並大抵ではありません。多分同雑誌の看板記事になっていると思います。Webでも掲載されており、私のブログにリンクしています。毎月欠かさず読んでいます。

したがって、彼から学ぶべきことは、相場の大局観だと私は思います。著書では「他人が知らないことで自分が知っていることは何か?」を自分で考えることが、市場に打ち勝つために必要で、それを知るためには、徹底的なリサーチが必要と説いています。

サラリーマン投資家にこれをすることは容易ではないので、彼の著書で考え方を学び、彼のコラムを読むことで、今、彼が何を考えているのかを知り、自分の投資に生かす、ということがボトムラインではないかと思います。

ただし、彼自身100%言い当てることは不可能であると言っており、70%~80%程度の見通しで当たっていればOKぐらいの気持ちでいる点で、外す時もあります。それでも長期のリターンには目を見張るものがあり、ピーター・リンチやビル・ミラーといった面々とはまた違ったエッセンスを得られます。

ストック・ピッカーの達人である父フィリップ・フィッシャー、ウォーレン・バフェット、ピーター・リンチあるいはビル・ミラー氏とは違い、彼自身の主張で一見びっくりするのは、

「銘柄選には大した影響力はない」
「PERが割高だからと言って、株価が上がらないわけではない・・・・・」

という2点です。著書にはしっかりエビデンスと共に、上記を証明しています。バリュー投資家には一瞬びっくりしてしまうようなことが書いてあります。
(注:上記Portfolio Strategyで彼は概ね毎月5銘柄の推奨銘柄を挙げています。推奨銘柄は1996年~2005年の10年間の間、S&P500の平均年率リターンが6.8%に対し、11.7%と大きくアウトパフォームしているので、銘柄選択が下手ではない点を言っておく。むしろ銘柄選択はうまい方。時々日本株も推奨していますよ!)
 
効率的市場仮説の支持者は「確実に儲けられる投資ロジックがあれば、即市場に知れ渡るので、結局そのような投資方法は存在しないことになる」と言います。ケンは入念な分析の結果、「ほとんどの人が知らないけど、XXX」なものを次々と見つけ出し、大衆と反対の方に賭けて勝利を収めています。そしてその発見事項はケンがインタビューや著書で公にしているにもかかわらず、10年程度は使えるのだ、と言っています(したがって、市場は効率的ではないと言います)。
 
代表的な例は、彼の初期のベストセラー「ケン・フィッシャーのPSR株分析」における売上高と株価の関係です。今でこそPSRという投資指標は広まりましたが、当時は誰もその関係を知らなかったようです。ケンは株価と売上高の相関性を調べ上げ、この指標を使って運用を行って大成功を収めたそうです。本を出版してもしばらくは相場に勝てたそうです。したがって、効率的市場仮説は当てはまらない。
 
さらに先進国のマクロ経済で大流行の「財政赤字」です。「財政赤字は悪」というのが、先進各国では考えられています。マーケットでもアメリカの財政赤字がヒドイ、となればダウ平均は軟調になります。そして、債券は堅調になり、債券ファンドのボスともいえるビル・グロス辺りが、もっともらしいことを言って、皆を委縮させます。

しかし、ケンは財政赤字とは国家経済へのレバレッジ投資であり、経済に良い影響を与えるため、買いであり、逆に財政黒字はレバレッジの縮小を意味するので、売りである、と見抜いています。

マクロ経済的には、不景気な時の財政政策はマネーの波及効果を生みますので、経済効果があるというのが定石になっているようです。しかし、どこの国のマスコミも、「赤字で大変だ」と騒ぎたてるので、市場心理が冷え込むのです(経済指標や企業業績も下降線をたどる。しかし、だからこそ財政で下支えするという因果関係があるのですね)。
 
もし仮に、効率的市場仮説が作用する場合、「アメリカの財政赤字、史上最悪を更新」という記事が出れば、ダウ平均は上昇するはずでしょう。日経平均でも同じでしょうね。

したがって、2009年ごろからは盛んに買いを述べていました。今はまだ強気相場の5合目ぐらいだ、と大統領選直前ごろは言っていました。
 そして、今、2009年の財政政策が金融政策と少しずつ実を結び始めようとしていますね。

と、まあ、こんな内容が事例を使って色々と述べられている本です。日本ではあまり有名ではない人なので、前置きが長くなりました。

彼のこの本を読んでから、Forbes誌のPortfolio Strategy を毎月欠かさず読むようになりました。私が読み始めてから、2年ちょっと、実際彼の大局観は当たっています。

もっともアメリカ株のS&P500の年間リターンは、1926~2005年までの80年間、57年(約72%)でアップしており、23年(約28%)はマイナスリターンでした。しかし、マイナスリターンのうち、▲10%以下の年は13年(16%)、▲10%超の年は10年(12.5%)しかありません。さらに▲20%超の年は5年しかなく、できるだけ相場にいた方が儲けやすいことを示唆しています。ちなみに20%超のプラスリターンの年は31年(39%)もあります。

2008年のようなすさまじい下げ(確か▲37%)は過去に2度(うち一度は世界大恐慌、もう一度はたぶんオイルショックだと思う)しかありません。

かなり分厚い本で、ケンもやや斜に構えたような書き方をしていて、少し骨のある本ですけど、事実に基づいた分析ですので、説得力があります。銘柄選び以外で、自分で考え抜いて投資したい人には、そのための材料が転がっていますのでお勧め。

また、Forbes誌のPortfolio Strategyも一読の価値があると思います(このブログの右下にリンクがあります)。

応援よろしくお願いします!

2013年4月16日火曜日

中国は世界の経済大国なのか? GDPは名目で見るの実質で見るのか?





中国のGDP成長率がエコノミスト予想を下回った、ということで、市場のリスクオフ材料になっているようです。

どなたの本か忘れてしまいましたが(岩田日銀副総裁か、高橋洋一教授だと思う)、中国は実質ベースでみたGDPは日本より低い、とおっしゃっていました。

世界経済ネタ帳さんで、測定してみることにしました(以下データは全て「世界経済ネタ帳」より)。

中国のGDPの推移(名目ベース)
2012年は52,184十億元とのこと(1元15円とざっくり仮定すると782兆円となりますかね)。
日本はざっくり480兆円であることと、1元も円安になったこともあって、思いっきり追い抜かれましたね。





中国のGDP実質ベースの推移
わかりやすくするために、名目と実質を同じグラフで比較してみました。
91年ごろまでは名目<実質だったんですね。今の日本のようです。なんでだろ?元レートを高く設定しすぎたのかもしれません。為替レートが文化大革命後の弱体化した中国経済を反映していなかったのかな(単なる推測です)?当時はデフレだったのかな?

91年と言えば、80年代後半に、ソ連のペレストロイカの影響を受け、中国も「開放路線」を歩み出したさ中、反動的な天安門事件が終わったころでした。そして、危機感を募らせた鄧小平氏による、「黒ネコでも白ネコでも、ネズミを捕るネコは良い猫だ」という南方講話が始まって、中国では外資誘致ブームがスタートする直前だったと思う。外資を誘致することで地方政府が中央政府に手柄をPRしたような時期(この前後の時期に中国に進出した企業は今頃大きな恩恵を受けている。ケンタッキーフライドチキンも含めて)。
そして上海市長が最高責任者に上り詰めるのですね。
一方、アメリカも湾岸戦争で財政が疲弊し、80年代の景気拡大路線が循環期に差し掛かり(また日本の電子部品、半導体攻勢に痛めつけられ)、景気が下火で、パパ・ブッシュ大統領は日本や中国に米企業のCEOをひきつれて、トップセールスを行っていましたね。パパ・ブッシュは日本で晩さん会を行った際、けいれんを起こして倒れてしまった。

当時、外資を誘致したい中国側と、とにかく新しい市場(初めは製造拠点だったと思うが)を見つける必要性があったアメリカの利害関係がこの時は一致していたのですね。日本は、Japan as NO.1と言っていたような…。

しかし、このころを起点に中国経済は大躍進を遂げたことは間違いありません。97年アジア通貨危機後は大幅に元安へ誘導したとも聞きます。

ちょっと前置きを長くとりましたが、これが中国の実質と名目のGDPの推移です。驚愕の事実が・・・。







さて、2012年の「実質GDP」は16,657十億元です(ざっくり250兆円で日本の1/2???)。

経済学を学んだわけではないので(法学部卒です。しかし、法律もまじめに学ばなかった…。当時は何をしてたんだろう?)、名目と実質のどちらがより大事なのか正直わかりません。

ただし、中国が世界第二の経済大国である、というのは世界中で既定路線のように語られていますので、経済規模を表すのに名目でもいいのかもしれません(しかし、名目の1/3しか実質が無い、というのも日本に住んでいると、どういう状態なのかよくわかりません)。

私が社会人になったころはいつも実質ベースで語られていた記憶があり、実質が正しいのだ、という先入観があります。
今、アベノミクスで名目成長率を増やす必然性がやっと実行に移されたように思います(国の社会保険構想は名目成長率を前提にシミュレートされている。一般財政最大の支出項目ですね)。

けど、インフレで成長した分は、水ぶくれ的な発想もわからないこともない。
実質と名目のバランスが取れていることが、大事だと言えそうかな?

一人当たりGDPで比較しろ、って言われても、中国の富裕層の絶対数と日本のそれが接近しているのと、日本に伝わってくる中国人像ってバブっているケースが多いから、どうしても隣の芝生が青く見えてしまう(日本と密接にかかわりのある知り合いの中国人も、向こうの基準では高所得者な人が多そう)。

さて、最後に世界主要国のGDPを比較してみました。この結果、中国が世界第2位の経済大国だという事実にどのように思われるでしょうか(ちょっと誘導尋問かな?)。
ブラジルは過去にハイパーインフレを経験したことがあるので、こんな結果になったんだろう(しかし、ロシアでも90年代に国債大暴落とかあったよなあ)。

名目と実質の差がこのように大きいと、しかも、名目-実質の絶対額の差(533兆円)で、日本一国のGDP額と同じぐらいの差(ドイツと英国の実質GDPを合わせても足りないんですよ!!!)があるのですから、私にはどのように評価すべきかさっぱりわかりません。

但し、中国の名誉?のために言っておくと、1991年から2012年までの実質GDPの年平均成長率は、それでも10.3%と高成長だった。一方、名目GDP成長率は16.3%だった。高成長だったことは、この数値が正しければ、正しい、ということだろう。

名実約6%の差ですが、改めて複利の原則って怖いですね。



コンマのところが兆円になります。
 
応援よろしくお願いします!