2017年2月22日水曜日

東芝の不正会計問題と従業員の心の中

投資家目線で見た東芝は語るに値しない。

労働者・従業員目線で見た東芝は、同情の余地が残る。もちろん、従業員の中にも不正会計に加担した(せざるを得なかった)人たちもいるだろうが、大半の従業員は自分の役割を発揮するために四苦八苦していたのだと思う。


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私が昔在籍していた銀行でも、「不祥事」があり、その不祥事のおかげで世間から大バッシングを受け、当時営業マン(融資)だった私はショックというより、やりきれない思いだった(詳しく書くと銀行の固有名詞が分かってしまうけど、勘のいい人ならわかるかも)。

不祥事の本質も、取締役層の人事権が絡むなど東芝と何となく似ていたかもしれない。

特に、「こんな悪い銀行に預金するなんて」という人が多く、大口預金の解約が相次いで、本部も青ざめていたようだ。

幸い、私は本部がある東京ではなく大阪に赴任していたので、東京ほど解約はひどくなかったので、現場の臨場感は小さいかもしれない。

しかし、担当していた医者の奥さんから、こっぴどくブツブツ言われ、平謝りを繰り返した記憶がある。

(企業の社長からは、「今度頭取になった奴は、タナボタでよかったじゃないか」なんていう人もいたけど)

そして、本部もバカで世間からの信頼を回復するバロメーターは一度解約された預金を取り返すことだ、なんて言い出して、信頼回復運動という名の預金獲得キャンペーンを実施しだした。

本部からは役員が「激励」に来ていましたけど、いかにも「現場視察をこなしている」という感じで、「ウザい早く帰れ」って心では思っていました。

90年代当時、預金獲得キャンペーンはボーナス時期にやっていたが、銀行全体ではすでに積極的に預金獲得はやっていなかったので、ノルマはそれほど厳しくなかったが、これはマジで預金獲得をやらされた。アホみたいに電話で預金勧誘をやりましたよ)

現場従業員には、「バカな経営者のおかげで、顧客に謝っているのに、さらに頭下げて預金とって来いって、この90年代に何を言ってんだよ」って厭戦気分が蔓延していました。

当然ボーナスにも響いて、嫌な役目を負わされて、収入減にもなると踏んだり蹴ったりでした。

私は当時未熟で(今でも変わりませんが)、嫌だと顔に出てしまうのですが、そういったときも、「こういう時こそ、やるんだ」といって頑張って仕事していた先輩上司の方もいた。

(尊敬すべき建設的な志の人なのですが、自分にはとてもまねできないし、これが原因ではないものの、私は結局銀行を退社した)

私のいた銀行は、不祥事の嵐が過ぎ去って、不良債権処理の最終局面で経営統合によってメガバンクになってしまったが、そんなことと、一サラリーマンの人生は関係なく続きました。

東芝関連者の方がこれを読んでいるケースは非常に少ないかもしれませんが、仮に転職するにしても、今のスキルや経験が重要なので(そんなものはない、というのなら戦略的に2から3年かけて作るという手がある)、やりきれない気持ちとは裏腹に、慎重にご自分の棚卸をして、残るか出るかを考えたほうがいいでしょう。

一方、今の職場に残って、やっていく方法もあると思います。

違いは、転職がプロアクティブに変化に臨むということで、残ることは変化への対応に対して受け身になりやすい、ということだと思います。自分の事業所が売却される、とか、リストラされるとかに耐えるか、あるいは、今まで育ててもらった?会社の再生に燃えるか、とか。

一方、自分の得意な分野を生かして、他の業界、企業で活躍の場を求める、というのは決して悪いことではありません。あなたの持つスキル経験を「正しい職場」で発揮するこはむしろ社会全体から見て建設的です。

世の中には、もっと必要とされる産業で、これから伸びる可能性がある企業がたくさんあります。そういった企業・職で部下を育成したり、これまでのノウハウを伝授することも十分社会的に意義があるはずです。

もちろん、家計を考えて、もっとも有利な選択を取る、という現実的な発想は何ら非難されることでもありません。家族を扶養する義務がありますから。

従業員レベルでは、今後の変化への対応の覚悟がいずれにせよ必要だと思います。


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