2017年2月25日土曜日

Dow Chemical 持ち株の第4Q決算に関する雑感 その6

BFNより

この株は、リーマンショック後の急落相場のど真ん中で、落ちてきたナイフを鷲掴みしたような銘柄です。Yield on Cost ベースだとなんと13.8%に達しています。

(平均購入株価$13.3、直近DPS1.84 直近の株価は$61. ドルベースですので、円ベースだとあと2割ほど利回りが上がると思う。下手に手出しせずに、配当マシーンという感じ)

当社の購入経緯などはこちらをご参照

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ただし、シクリカルで、株価の乱高下に耐え切れなかったり、他の連続増配株に切り替えたりで、持ち株の約半分は売却済みで(仮に売却しなかったら、フィリップモリスを軽く超える残高になっていた)、残りも$65で売却しようか、考えていたところ、まさかのデュポンとの「対等合併」が決まった、という感じ。

そのデュポンと合併した後は、3つの会社に分割されて、夫々がその道のトップカンパニーとして独立して上場企業になる、というダイナミックな経営戦略の大変換のさ中にある会社。
出所:佐賀新聞のWebニュース
出所;日刊工業新聞


これを聞いて、農薬会社が有望じゃないか、と思っていて、売却せずにホールドする方針に変更。素材カンパニーの株を売って、農薬を買い増ししようか、否かを検討中。

さて、業績のほうは好調です。化学会社は売上高を数量と単価でみるケースが多く、Dowの今回のブレイクダウンは、数量がアップで単価はフラットのようです。

単価が安定しているので、数量が伸びた、という感じ。

不況が伝えられていたブラジル経済ですが、他社の情報も合わせると、Green Shoots(景気回復の新芽)が出てきた、とテレカンで当社を含めたCEOは言っています。

ブラジルやアルゼンチンは農業大国ですので、農薬や遺伝子組み換え系の種子の巨大マーケットとなっています。前年同期比と比較して、農業系は数量・単価ともアップして、過去最高益だったようです。

また、欧州も米国もリーマンショックからやっと建設系の需要が回復しつつあるとのことで、建設関連の化学品が堅調とのこと。

そして、中国向けのIT等情報系の素材(半導体や基盤に吹き付ける薬品のようなもの)をはじめ2ケタ成長、と言っています。

また、サウジアラビアのアラムコという世界最大の石油会社との合弁で精油コンビナートをやっていますが、それがついに稼働。また、シェールガス/シェールオイルによる安い原材料を活用したエチレンクラッカーも今年立ち上がるなど、Chevron同様当社もリーマンショック後に投資した案件の刈り取り時期に差し掛かっています。

特にシェールガスブームだったころに、こぞってLNGDowの様なエチレンプラントを作る意志決定をした案件の稼働時期が2017~2018年にピークを迎えます。


2つ考え方があって、1つは景気に勢いがつく、という強気派、2つ目は供給過剰で価格競争になるという弱気派がいます。

Dowに限って言えば、全体需要は強気なんですが、強気すぎてエチレンの材料となるエタン(石油とガスと両方から取れますが、圧倒的に価格が安いガスからとるというのが、シェールガス革命のもう一方の恩恵)が十分に調達できるのか、という心配もあったようですが、会社側は大丈夫、とのことでした。

この辺(生産アップで化学・素材系の売上高もアップとみるか、そんなに需要は高まらないので、供給過剰で収益性が悪化するとみるか)は、トランプ様のご機嫌次第なのか、景気サイクルが普通に循環してしまって下り坂になるのか、なかなかむつかしそうな判断になると思いますが、Dowに興味がなくとも、頭の片隅に入れておかれるとよいでしょう。


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