2017年9月14日木曜日

P&Gなど アクティビストファンドの功罪



株式相場の上昇率が伸び悩むと、出てきます。リーマンショック前も2004年ごろから頻出していたような記憶があります。

アクティビストは株主権を根拠に、経営陣に「物申す」ことにより、株主価値を上げることを生業とした機関投資家とざっくりいえると思います。
P&Gに株主提案をしているネルソン ペルツ氏

結論から言えば、私は、アクティビスト投資家は少しずつ健全?な活動になってきて、経営陣によい緊張感を与えるため、有益な存在になりつつあると思っています。

日本では、「コーポレートガバナンスコード」がある(平たく言えば、投資家は金融庁に対して「私はグリーンメーラーとか胡散臭い投資家ではありません。」と届出をする。投資家はそれに則って国内で投資活動を行う)。

したがって、アクティビストの立場からは「有意義な提案・提言」をしているに過ぎない。


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例えば、日本の話だが、8月15日にストラテジックキャピタルが内田洋行(8057)に対して、株主提案を行っている。
株式会社内田洋行(東証一部:コード8057)への株主提案について

提案内容は

政策保有株式(持ち合い株)の売却(そのために定款変更)
配当金の増額

だが、持ち合い株の解消を提案する理由として、

以下抜粋
政策保有株式の目的が「安定的・長期的な取引関係の構築」等であるとしても、取引先の株式を保有していると何故に取引関係の構築等ができるのか、その因果関係が不明です。

これでは、株主になれば取引という利益が供与されるとの疑義が生じます。そもそも、取引先との関係構築等は、株式保有に頼るものではなく、当社の提供する役務等の品質向上によるべきです。

抜粋終わり

私は昔、コンサル時代に、ある事業会社の営業次長クラスの方に「株式の持ち合いがあるからH社(有名な自動車メーカー)から仕事が安定的にあるのですか?」と聞いてみたことがある。

次長曰はく「そんなことはありません。見積もりを出して、メリットを主張して、価格・品質・納期などが先方基準にそぐわないと、即アウトですよ。」と言っていました。

別の先に聞いても、「必ず数社競わせて、仕入れ先を決めます。購買に関して恣意的な決定をすれば、監査とかで厳しく問われますから」と言っていた。

当たり前のことですね。株の持ち合いによらずとも、ビジネス面でつながってほしいですね。言い換えると、そういったことがないと差別化できない、ということに解釈もできます。

ただし、資本提携などの例もあるので一概にすべてノーとも言い難い。

例えば、エネルギー・素材など原材料を長期安定的に仕入れるので、そのための敷金・保証金のようなイメージ。油田とかガス田の開発に出資して、開発後は一定量の買付権利を確保するとかいうのはグローバルスタンダードになっています。

話をプロクターアンドギャンブル社(P&G)に戻すと、アクティビストは会社を3つぐらいに分割して、それぞれが専門性を持って成長していくような提案に対し、会社側はこれまでも抜本的にブランドの選択と集約を行っており、これからその成果が発揮される。物流面、購買面そしてマーケティング面からみても、規模の効果は大きいし、会社分割のコストが大きすぎて、経済合理性に欠けるとして、提案に反対しています。

P&Gは当社の経営戦略に前向きな提案は歓迎する、ともコメントしていて、株主・経営陣とも大人の対応です。

P&Gは中間管理層を大幅リストラ、ブランド数も大幅削減、あまりもうかっていないあるいは成長性の乏しい、あるいは生活用品とは少し離れた事業の売却などを積極的に進めているが、業績は伸び悩んでいる(ただし利益率はかなり改善されている)。

P&Gの株主としては、成長路線に回帰するなら、現状でも分割でも構わないので、そろそろ結果がほしいなあ、と思っています。当然ホールド予定。

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