2017年9月18日月曜日

保有銘柄の定期点検 PayPal Holdings 2/2



続きです

PayPal Holdings(PYPL)の2回目。今回は主に財務関連です。


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株価指数等


配当していませんので、配当関連のKPIは無しですね。

高所恐怖症のバリュー投資家には、予想PER28.4倍は、目がくらんでしまいます。

しかし、PYPLを2年ほど保有してなんとなく他の銘柄も見ていて、分かったことは、成長株のPERで30倍は、フツーの企業の15~20倍ぐらいじゃないか、という風に感じています。

(PYPLは「成長株」と言っても、すでに時価総額が751億ドルで8兆円近くありますけど。)。

2015年からのEPSであり、5年ではなく3年ですね。まだ3年なので成長率は参考程度か。

EV/EBITDA倍率って、普通ひとけた台後半程度なんですが、高いですねえ。

PBRの5倍って、S&P500の平均3倍よりも大きいですね。

Economic MoatはNarrowです。Amazon Payがライバルになりそうな感じです。Apple Payは提携関係を結び(これが株価引き上げ要因でしたが)、連携を強めています。またStripeなど新興のライバルも多いようです。

競争関係では、Fintech銘柄のジャイアント企業ですが、まだまだこの分野は革新が続くので、油断できません。

業績推移


2012年~2014年はeBay時代のPro Forma(試算値)です。
売上高、営業利益他すべて15%~17%台の高成長になっています。ドル高なんてカンケーないようです。

MorningStarでは、今後も15%程度の成長(売上高が5年で倍増)を予測しています。一方、営業利益率は若干減少するか、よくて横ばい程度と考えられています。

これはVenmoの成長加速(マージンは低い)やVISA、MasterCard、Appleといた提携先との販促費などがかさむことを見越しています。

PYPL経営陣は、「ネットでの資金決済ならPYPL」というデファクトスタンダードを強固にする、つまりシェア優先の戦略を現時点では採用しているようです。

バランスシート面は強力です。Net Debt(純有利子負債=借入金―現金預金)がマイナスです。

シリコンバレー企業の常として、自社株買いが当たり前になっています(株価は高めだと思う)。ストックオプションほかの株式報酬を出すためでしょうか。

それでも株主資本は急拡大していますね。日本人的にはなぜか安堵してしまいます。一方、ROEが低いですね。今は15%の成長率があるので、ほとんど問題にならないでしょう。

IBMのように70%近いROEがあっても、業績がダメだと株価もダメですよね。

キャッシュフロー

資本的支出にはM&Aの買収資金等は入っていません。決済システムの構築費がメインだと思います。

素晴らしいのは、FCF Yield(FCF÷売上高)です。20%台はすごい。コカ・コーラで17%、メドトロニックス(医療機器ナンバーワン)で25%、などに比肩します。

経営戦略面

文中で触れましたが、関連多角化を目指すAmazon、Apple、Googleといった巨大企業が独自の決済サービスを開発していたり、Stripeのような競合他社やベンチャーからの挑戦、あるいはVISA、MasterCardといったカード会社の類似サービスなどFintech市場は成長期にあると同時に、競争も激しいです。

PYPLはとにかく、自社の仕組みがデファクトスタンダードになるように努めていると推測しています。
そのために、Apple、AMEX、VISA、MasterCardなどとは提携関係を結んでいます(あっちから見ても、開発費が助かる)。

しかし、まだまだ競争は続くと思います。一番のライバルになりそうなのが、利益度外視企業のAmazonです(Amazonがなんかダイエー中内商法に最近見えてきた)。

投資戦略
ホールド・ホールド・ホールドです。10年先には配当するかもしれませんね。

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