M&Aによる事業や子会社の売却というのは、特に上場企業の場合、オークションプロセスを経て行われることが一般的です。
それは、売り手企業の取締役の善管注意義務の一つで、ビジネスジャッジメントルールというものがあり、常に株主にとって(その時点での)ベストの選択を様々な角度で検討して、意思決定をする、というものです。
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売却プロセスでこれを当てはめると、株主にとってベストな選択(Best Interest for Shareholders)というのは、当然価格になります。
但し、高いだけでは必ずしも株主やステークホルダーに有利でない場合もあります。例えば、店舗の一部を同業の他社に売却すれば、売却後はその同業が自社にとって脅威が増すような場合もあります。
高い価格で売却されれば、売却事業に従事する従業員は、買収先に投資価格を回収するために無理なノルマを課される傾向が強いです。そういった声は従業員の口伝で売却先の経営陣の耳に入り、売却元企業の求心力が低下する可能性があります。
(話変わるが、パナソニックの買収。サンヨー電気ってどこ行った? 今儲かっているのは旧電工部門と旧サンヨーのバッテリーぐらい?? しかし、外部の人はそんなこと忘れている)
とは言っても、M&Aの決め手は価格が最大の売却ポイントであることには変わりません。
したがって、ふつう、売却プロセスというのは買い手や第三者から見れば、どのように進められているのかわからない(バレると売手に原則、不利になる)ことになります。
もっとも、売却プロセスそのものが「公平に」行われているか否かはわかりません。
売却プロセスを取り仕切るのは、M&Aアドバイザーと言われる人たちです。大きい案件の大半は証券会社の投資銀行部門が売り手に雇われます。フィナンシャルアドバイザー、FAと言われます。
FAの契約先は売却先企業になりますが、実質的には売却先企業の経営陣です。彼らの意向を踏んでプロセスを進めるのが実態です。
したがって、東芝のような産業革新機構が「遅刻」してもオークションプロセスに参加できたりします(なぜ政府が、本件の一大ステークホルダーになれる正当性があるのか、という大義名分が不透明ですけど)。
大手上場企業の場合は、マスコミと経営陣がかなり親密なケースも多く、情報リークも多いと聞きます。想定されるのは、経営陣がリークして、新聞が特ダネスクープ、その代り当該企業に何かあっても悪口はあまり書かない、みたいなことが多いようです。
したがって、今回の一連のプロセスが漏れまくったのは東芝の経営陣(あるいは企画系部門)からリークされている可能性が高いと推測します(銀行も怪しいが、今回銀行は正しい情報をつかんでいなかったようだ)。
プロセスの公平性・守秘性が担保され、公平性をもった売却プロセスであるべきか、と言われると、それは難しく、最終的に株主やステークホルダーがハッピーになればそれでいいのです。
しかし、正直者がバカを見る様な結果(真摯に買収プロセスに参加して、良い提案をしている企業)になると、結局参加者のインセンティブが落ちて、良い条件で売却できなくなる可能性もあるので(それでもM&Aブームは続くと思うが)、何らかのバランスが必要ではないかと思いました。
仮にこういった情報をリークしているのが、東芝の経営陣だとすれば、非常に残念です。リークすれば、会社に良い影響を与えることがありません(社員も気になって仕方がない)。
なぜリークするのか?
価格を釣り上げるため? 「2兆円」とか記事に乗ると参加者の目線がアップする可能性があります(ダウンするリスクもある)。
保身のため? 売却されたくない一派がプロセスを壊しにかかるケース(日立と三菱重工はこのパターンでは?)。
世間の様子を見るため? 記者に書かせて、世論を探るため(「外資に盗まれる」が典型)。
長々と書いてしまいましたが、要するにM&Aとは非常にドロドロとした人間関係の中にある仕事で、人間性に反してでも、己の利益を極限まで追求した汚い仕事である、ということが言いたかったのです。
学生さんや転職を考える若手サラリーマンの方は、ある意味「自分ファースト」で腹をくくった仕事ができるようなタイプじゃないと生きていくのが大変な世界であることを、こういた一連の報道から読み取られるといいでしょう。
やさしさや正義感といった「正しい価値観?」をプライベートな場面と、生きるか死ぬかの仕事の場で二重人格になって、乗り越える覚悟を持つ必要性があります。
FAや会社の企画部門の人はM&Aのプロセスに慣れている人が多いですが、意思決定権のある経営陣は不慣れで、彼らの意向に振り回されます。これが当たり前と思ってください。
「上司が馬鹿で、振り回される」といって普段の仕事でぶつぶつ言っている人は務まりません。与件です。
但し、高いだけでは必ずしも株主やステークホルダーに有利でない場合もあります。例えば、店舗の一部を同業の他社に売却すれば、売却後はその同業が自社にとって脅威が増すような場合もあります。
高い価格で売却されれば、売却事業に従事する従業員は、買収先に投資価格を回収するために無理なノルマを課される傾向が強いです。そういった声は従業員の口伝で売却先の経営陣の耳に入り、売却元企業の求心力が低下する可能性があります。
(話変わるが、パナソニックの買収。サンヨー電気ってどこ行った? 今儲かっているのは旧電工部門と旧サンヨーのバッテリーぐらい?? しかし、外部の人はそんなこと忘れている)
とは言っても、M&Aの決め手は価格が最大の売却ポイントであることには変わりません。
したがって、ふつう、売却プロセスというのは買い手や第三者から見れば、どのように進められているのかわからない(バレると売手に原則、不利になる)ことになります。
もっとも、売却プロセスそのものが「公平に」行われているか否かはわかりません。
売却プロセスを取り仕切るのは、M&Aアドバイザーと言われる人たちです。大きい案件の大半は証券会社の投資銀行部門が売り手に雇われます。フィナンシャルアドバイザー、FAと言われます。
FAの契約先は売却先企業になりますが、実質的には売却先企業の経営陣です。彼らの意向を踏んでプロセスを進めるのが実態です。
したがって、東芝のような産業革新機構が「遅刻」してもオークションプロセスに参加できたりします(なぜ政府が、本件の一大ステークホルダーになれる正当性があるのか、という大義名分が不透明ですけど)。
大手上場企業の場合は、マスコミと経営陣がかなり親密なケースも多く、情報リークも多いと聞きます。想定されるのは、経営陣がリークして、新聞が特ダネスクープ、その代り当該企業に何かあっても悪口はあまり書かない、みたいなことが多いようです。
したがって、今回の一連のプロセスが漏れまくったのは東芝の経営陣(あるいは企画系部門)からリークされている可能性が高いと推測します(銀行も怪しいが、今回銀行は正しい情報をつかんでいなかったようだ)。
プロセスの公平性・守秘性が担保され、公平性をもった売却プロセスであるべきか、と言われると、それは難しく、最終的に株主やステークホルダーがハッピーになればそれでいいのです。
しかし、正直者がバカを見る様な結果(真摯に買収プロセスに参加して、良い提案をしている企業)になると、結局参加者のインセンティブが落ちて、良い条件で売却できなくなる可能性もあるので(それでもM&Aブームは続くと思うが)、何らかのバランスが必要ではないかと思いました。
仮にこういった情報をリークしているのが、東芝の経営陣だとすれば、非常に残念です。リークすれば、会社に良い影響を与えることがありません(社員も気になって仕方がない)。
なぜリークするのか?
価格を釣り上げるため? 「2兆円」とか記事に乗ると参加者の目線がアップする可能性があります(ダウンするリスクもある)。
保身のため? 売却されたくない一派がプロセスを壊しにかかるケース(日立と三菱重工はこのパターンでは?)。
世間の様子を見るため? 記者に書かせて、世論を探るため(「外資に盗まれる」が典型)。
長々と書いてしまいましたが、要するにM&Aとは非常にドロドロとした人間関係の中にある仕事で、人間性に反してでも、己の利益を極限まで追求した汚い仕事である、ということが言いたかったのです。
学生さんや転職を考える若手サラリーマンの方は、ある意味「自分ファースト」で腹をくくった仕事ができるようなタイプじゃないと生きていくのが大変な世界であることを、こういた一連の報道から読み取られるといいでしょう。
やさしさや正義感といった「正しい価値観?」をプライベートな場面と、生きるか死ぬかの仕事の場で二重人格になって、乗り越える覚悟を持つ必要性があります。
FAや会社の企画部門の人はM&Aのプロセスに慣れている人が多いですが、意思決定権のある経営陣は不慣れで、彼らの意向に振り回されます。これが当たり前と思ってください。
「上司が馬鹿で、振り回される」といって普段の仕事でぶつぶつ言っている人は務まりません。与件です。
投資判断は、個人でお願いしますね。
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