さて、このシリーズのトリを取るのは、今年の楽天セミナーの「目玉商品?」である、JPモルガンチェースの佐々木氏です。
佐々木氏は、JPMの市場調査為替部長ということで、JPMのドル円為替のヘッドだったと思います。
JPモルガンチェース銀行はウォールストリートの金融機関で「東の横綱」格の存在です。
(中学時代に習った三段論法ですね)
ロイターのニュース記事をお読みの方にはおなじみのこの方です。常に人気記事のトップにランクされます。
- 佐々木氏はJPMのドル円に関するヘッド
- JPMはウオールストリートナンバーワン金融機関
- 佐々木氏の見解はウオールストリートの中心的な考え方
(中学時代に習った三段論法ですね)
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出所:楽天証券Webサイト |
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クレジットスプレッド(優良企業向け金利とそうでない企業向け金利の差)
今回は、為替に関しては佐々木氏の私見も入っていますが、経済見通し全般はJPMの物で、JPMのアナリストレポートらしきスライドを元に説明していました。
したがって、ウォール街の(少なくとも現時点における)見通しといっていいかもしれません。
ただし、個人的な偏見が混じっていますが、佐々木氏は日銀出身である点(三重野総裁時代だったかな。円高が国益と考えているDNAがある可能性)、JPM自身が結構コンサバである点などを勘案すると、ちょっと保守的な感があります。
彼は円安が行き過ぎている、という主張をロイターのコラムなどでずっとやってきたと思います。円高・円高といっていれば、いつか円高になります(為替レートは歴史的に循環していますから)。その逆もしかりですが。
それはさておき、今回のメッセージは
- 2016年の世界経済の成長は2015年並
- しかし、アメリカにリセッションの兆しで米国株はピーク
- 米利上げは+1%だが果たして?
- ドル円は110円
為替レートが相変わらず保守的なのはさておき(しかし今回、定量的な分析でしっかり円高と示唆していました)、アメリカ経済がリセッションに向かう可能性を示したのは意外でした。
2017年にリセッション入りする確率が50%、2018年は75%とJPMでは見ているようです。
米国の株式相場は、リセッション入りする0~13か月前にピークをつけるので、仮に2017年にリセッションとなれば株式相場は今がピークだというもの。
なぜか?
- そもそも利上げのタイミングが遅すぎた(異常気象とか中国混乱とかで12月になった)。
- 米企業収益が上がらない
というのが根拠だそうです。
ドル円110円は、
- 過去数回、ドル金利が上がると円高になっている(広瀬氏と同じ)
- 金利差による円安は織り込み済みである。これ以上米金利が「期待以上に」上がる可能性もない。むしろ「期待以下の利上げ」に終わる可能性がある(堀古氏や窪田氏と同意見)。
- 12月の雇用統計は非常に強かったが、金利も安くドルも安い。
- クロス円(ドルをクロスする通貨;ユーロ他)は更に円高になるリスク。
クレジットスプレッド(優良企業向け金利とそうでない企業向け金利の差)
新興国企業のドル建て借入の借り換えが2016年以降多額になるが、これらの債務のロールオーバーの条件がタイトになるリスク(金利引き上げ)。
米エネルギー企業に関しても同じリスクがある。
なお、クレジットスプレッドに関しては「今年の流行語大賞」になってもおかしくない、とも。
なお、クレジットスプレッドに関しては「今年の流行語大賞」になってもおかしくない、とも。
あとは、円の対外国通貨での上昇率などを比較していましたが、
- 2012年は「最弱通貨」だったのですが、その後ご存じのとおり円安になり、2015年はスイスフランや米ドル等3通貨以外には円高になっている。
- ドルが2年連続最強通貨になったのは過去にたった1度だけ。
- 実質実効レートではかなりの円安水準。
- 日本の経常黒字が大きくなる(円高時代に投資した対外資産のリターンによる所得収支の拡大)
- 人民元がドルペッグ的に高くなりすぎており、その逆流がある
などなど
くら~い話がメインでした。
個人的な感想
- ドル安傾向にある点は要注意。ドルヘッジの時期を早める必要性がある。
- 米企業収益の伸び悩みはエネルギーセクターに関してはその通り。それ以外はドル高が終われば、小康状態からプラスに向かう期待はまだ持てるはずなので、保守すぎる印象。
- 米国のリセッション入りは、佐々木氏の見方より、堀古氏のイールドカーブの方が理論的で過去の経験則的にも馴染みがある。
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