超有名なこの2名の講演。竹中氏はレギュラーと化しているが、伊藤氏は今回たぶん初めてではないか?
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2人とも経済学者で、主張はだいたい似ている。伊藤氏は安倍内閣の経済財政諮問会議の委員を務めている。
昨日書いた堀古氏の主張にややリスク要因を織り込んで、考えたほうが良い、というのが経済見通しの「ベースシナリオ」と考えてよいだろう。
つまり
減税と財政支出(インフラ投資)によって、米経済の成長が続くけど、レーガンの時は、財政赤字になって、さらに輸入が増えて貿易赤字が拡大する「双子の赤字」となってしまった。その結果プラザ合意で思いっきり政策変更になって、ドル安円高になった。
レーガン政権発足からプラザ合意まで4年かかったけど、今回はもっと早く政策転換するだろうから、いつまでも円安で浮かれていると痛い目に合う。
というもの。要するに同じ轍を踏みそうという予想。
さらに、
ポピュリズムの波が2017年EU、ドイツ・フランスでどうなるのかもリスク要因だ。ともに国家元首の選挙が控えていて、極端な主張をする候補が票を伸ばして、政権奪取などなってしまうと、かく乱要因だ
というもの。
最後に
保護主義の弊害が出た場合、経済のかく乱要因だと。TPPはまだ発効していないがNAFTA(北米自由貿易協定)がおかしくなれば、米経済も影響を受けるとのこと。確かに、米国の貿易相手国ナンバー1はカナダ、3はメキシコです。
ただし、
2人とも2017年に関していえばおおむね良好な見通しを持っているようでした。
そして、
そもそもアメリカの大統領は法律を決める権限はない。あるのは拒否権だけだ。決めるのは議会なので、トランプ氏が言っていることが実現できるかわからない(ただし、世論がバックアップすれば議会も追随せざるを得ないだろう、小池都知事と都議会のようなもの、と言っていました)。
アベノミクスに関していえば、伊藤氏は、労働力不足でも賃金上昇していないこと、企業収益が改善し内部留保が溜まっているのに投資が進んでいないこと、この2つが今後、賃上げと投資拡大で国内景気回復へのマグマが溜まっていると期待していました。
(しかし、相変わらず内部留保が溜まっていると、投資が出来ていないという発想になぜ至るのか、こっちが理解できない。マスコミ、政治家は簿記の2級を必須科目にでもしたらどうだ!! そもそも企業は結構投資しているんだけど、M&Aや海外への投資が多いだけで、それはそっちのほうがリターンが良いという経済合理性に基づく判断なんだから、国内への投資が魅力的であるという土壌を作る、それが政治でしょ、って思うんですけど)。
竹中氏は世界で吹き荒れる技術革新の波に乗り遅れないような規制緩和を敷くべきだ、と引き続き改革派主張。特にシェアリングエコノミーの波(ライドシェア:Uberとルームシェア:Airbnb)を規制している主要国は日本だけで、世界に取り残される、と危機意識を訴えていました。
竹中氏はこれまで、コンセッション(官営で運営されていた空港に運営権だけを民間に売却させる民営化)、経済特区の設置、医療特区(経済特区と併用のようなものだが、医学部の増設)など数々の規制緩和を政権「外」で実現させてきました。シェアリングエコノミーも実現するんでしょうかね。その辺の政治家より影響力が大きくなっていますね。
伊藤氏は日米欧中・新興国と世界経済の状況を万遍なく説明・解説していたのに対し、竹中氏は、「こうすべきだ」という政策論を主張されている点や安倍内閣に対しても批評を述べている点が大きく違っていました。
また講演の構成や進め方に関しては竹中氏は慣れている、さすがだなあ、と感心しました。
あまり意見主張を聞きたくない層やどちらかといえば既得権益でうまくいっている人にはマイルドな伊藤氏が、「あるべき論」や批評好きな人には竹中氏がウケそうな印象を持ちました。したがって敵を作りやすそう。
個人的には批評好きですね(笑)。
国内経済学者の中では、トップレベルの方の話が聞けたのは良かったんじゃないでしょうか。
投資判断は、個人でお願いしますね。
応援お願いします。
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