トランプ次期大統領は米国で事業を行っている大企業の海外への生産移転を相次いで牽制するコメントを発しています。
トランプ氏、米企業の国外移転警告 NAFTAは「災害」(日本経済新聞電子版2016/12/2)
ユナイテッドテクノロジーズ(UT:持ち株会社)の傘下であった、キヤリア社の工場のメキシコ移転を撤回させてしまった。
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フォードに対してもメキシコでの工場新規投資をけん制し、同社は建設を撤回してしまった。
米フォード メキシコでの新工場建設計画を撤回 (NHK 2017/1/4))
そして、トヨタにも。
トランプ氏介入、トヨタにも メキシコ投資に「あり得ない!」(日本経済新聞2017/1/6)
今のところ、トヨタは「理解を求める」あるいは「様子見」という態度のようです。
トヨタ、メキシコ工場はトランプ政策みて判断 ホンダも当面継続
3社とも日米を代表する製造業者(UTは売上高560億ドル、営業利益73億ドル ざっくり売上高6.4兆円、営業利益8,400億円で、事業内容は比較的三菱重工;売上高4兆円、営業利益3,000億円に似ている。ダウ平均構成企業で配当貴族企業だったはず)。
特に自動車は業界挙げてメキシコ国境に工場を作って、米国に輸入するプロジェクトが時間をかけて進行しており(これにより、トランプさんが毛嫌いしているメキシコからの違法移民の削減も期待されていた!!!)、部品メーカーやカーエアコンなどの納入事業者やFAメーカーなども大挙して工場の新設投資を決定したりしていた。
これら部品業者等もトヨタのみならず、フォードやGMといったメーカーにも納入できる可能性もあったので、好都合だったようだ。
このため、私の持ち株であるKinder Morganも天然ガスの輸出用パイプラインの大きな投資を決定した(工場増加、人口増加などでガス使用量増加。メキシコでは国有石油会社が弱体化していてガス開発投資資金が枯渇、シェールガスを輸入することになっている)。
トヨタとしては、「ついてこい」といって部品メーカーにも投資決定させているだろうから、フォードやUTのように「わかりました」とすぐには言えないのだろう。
トランプ氏はビジネスマンなので、まずハイボールを投げて、相手の出方を探り、落としどころを見つける交渉戦術だ、と言われていますが、その「ハイボール」を投げ返すのがトヨタとなると、「見せしめ」になってしまう可能性を懸念してしまいます。
トヨタとしてはのらりくらりと時間稼ぎをして、工場進出をしたいところでしょうが、様子見のようなので、トランプさんの見せしめになってしまうリスクを背負ったような懸念を覚えます。
その分米国内で減税をして、「米国で作ることがコスト安」ということが理解できないと(と言ってもすでにメキシコに投資した額が埋没コスト化してしまうが)、トランプさんも厳しいでしょう。
(出所:KPMG JAPANから)
リーマンショック後の投資額がすごいですね。
トランプさんも威勢がいいですが、かなりハイボールを投げているので、一度躓くとダメージも大きそうな感じがしますし(敵が多そう)、自分で自分のクリアすべきハードルを上げてしまっているような気がします。
とりあえずは、減税案を通すことに専念したほうがいい、と個人的に思います。
さて、今日は恒例の楽天証券の新春セミナーです。昨年のこのセミナーで、トランプさんを「いいビジネスマン」と言っていた、堀古英司氏がトランプ氏に関してどのようなコメントを発するか、吟味してまたブログで報告したいと思います。
いずれにせよ、株式相場では「トランプ旋風」が良い意味でも悪い意味でも、吹き荒れますなあ。「やんちゃ」な人だ。
投資判断は、個人でお願いしますね。
応援お願いします。
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