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ヤフーファイナンスより |
富士フイルムに限らないが、
化学が主業で、医薬・医療機器を「兼業」するスタイルが通っている化学メーカーのうち、生き残っているのは先進国では日本ぐらいだ。
欧米では化学メーカーが兼業していた医薬品事業はほぼ再編されてしまっている(独バイエルが少し例外かもしれない)。ちなみに、ダウ・ケミカルとデュポンの合併で農薬事業も再編されてしまう。
一方、日本では数々の化学メーカー(あるいは食品メーカー)が傘下に細かな医薬品事業や医療機器事業がある(東レ、帝人、旭化成、三菱ケミカル、住友化学、ヤクルト、明治HD他)。
化学・食品メーカーの技術が医薬に生きることは確かだ。ただし、1発目の薬や成分は当たっても、特許切れを迎えた「二の矢・三の矢」を射続けることができるか、医薬品・医療機器メーカーがここに苦労して、莫大な研究開発費を投下するために再編を繰り返している。また最近では病院側の再編も起こっており、病院の購買行動が合理化しているので、供給側も総合的な販売能力が必要とされている(特に米)。
ポイントは、こうした総合化学メーカーなどに、その体力・気力などの本気度があるのか?だ。事業部制経営だと、一事業部が突出すると、他の事業部から妬みや最悪は足の引っ張り合いに巻き込まれて、権力抗争になってしまうケースもある(三井造船と川崎重工の造船事業の合併とかで川重が社長を解任してしまった)。
今医薬品事業を手放すと、「連結経営」が行き詰ってしまう、というのが(特に「総合」)化学メーカーさんのホンネだろう(要するに連結営業利益が剝げ落ちる)。しかし、グローバルで見た場合、20年遅れているのは残念だ。
ダウとデュポンが合併したあと分社化するんだから、日本でも三井、三菱、住友の3化学が統合した後、各々の事業体に分社化する、ぐらいの劇薬があれば、なあ、などと空想めいたことを思ってしまった。
ただし、最近ではヘルスケア事業出身の社長がいる「総合化学」メーカー(例;帝人やマンションのくい打ち事件発生前の旭化成など)も出てきており、企業内での地位もアップしていることは事実だ。
しかし、個々の事業の中身は、「連結業績」を支えるにはそれなりに寄与しているが、成長をけん引しているわけでもなく、グローバルな見地で見ても「すごい」と思えるものも乏しい。
ただし、
三菱ケミカルの子会社である田辺三菱製薬の開発力は光っている(世界的ブロックバスター「レミケード」などは、名門の旧田辺製薬の開発品)が、巨大コングロマリットの中では埋もれてしまって、三菱ケミカルの株価にはほとんど寄与していない(もっとも「レミケード」も特許切れになっている)。米ジョンソンエンドジョンソンが自己免疫疾患薬や糖尿病治療薬で同社の創薬を高く評価していたり、スイスのノバルティスも同じ領域で同社の創薬した製品の共同開発を行っていたりする)。
田辺三菱が創薬したのは、糖尿病治療薬インボカーナ(カナグル)の誤りでした。訂正いたします。
田辺三菱が創薬したのは、糖尿病治療薬インボカーナ(カナグル)の誤りでした。訂正いたします。
住友化学の傘下にある、大日本住友製薬も将来楽しみなパイプラインがいくつかあるが、住友化学の株価にそんなに寄与しているとは思えない(例:サンバイオというベンチャーが開発している脳梗塞疾患を再生医療で治癒しようというプロジェクトの共同開発を行ったりしている)。
しかし、株式相場の評価はそんなことは織り込まれていない。総合化学メーカーは、TOPIX平均のPERでも、同化学セクターの平均PERよりも大きくディスカウントされて取引されている。
株式市場では残念ながら、このような高度なヘルスケア技術は「宝の持ち腐れ」となっている。
簡単に言えば、そんな感じ。しかし、それでもこういった企業の経営者さんは血眼になって、ヘルスケアといえばM&Aの応札に積極的に応じているのが現状だ。
サラリーマンの皆さんは(特に営業の方)、立派だけど評価されない仕事をやっていて、あまり立派じゃないけど、社長や上司がうるさく「やれ」、という仕事をやらなかったら、自分がどういう評価になるのか、容易に想像できますよね?
要領が悪いヤツ、って評価になりませんか? したがって、ふつうは理不尽な指示でも、黙って従っているのだと思います(それがサラリーマン稼業の負の側面)。
要領が悪いヤツ、って評価になりませんか? したがって、ふつうは理不尽な指示でも、黙って従っているのだと思います(それがサラリーマン稼業の負の側面)。
しかし、残念ながらそれを命令している経営者さんたちは、医療への貢献という立派だけれど株式市場からは評価されない仕事をやっている、選択と集中という「やれ」と言われていることをなかなかやらない これがコングロマリットディスカウントの実態だと思います。
もっとも、それで自分たちの役員報酬が減ったり、クビが飛んだりしない、という株主プレッシャーが弱いのも現状。
もっとも、それで自分たちの役員報酬が減ったり、クビが飛んだりしない、という株主プレッシャーが弱いのも現状。
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レミケードは、JNJが買収したセントコアが開発した薬剤です。田辺三菱は導入しただけです。
返信削除ご指摘ありがとうございます。
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