2016年12月23日金曜日

「日本買い 外資系M&Aの真実」 を読んで

著者・加藤有治氏は、郵政省、OECDへ出向、イエール大学MBA、モルガンスタンレー・メリルリンチ、GE、ペルミラ、そして現在はイーストン・インベストメント・キャピタルという投資ファンドを立ち上げて運営しています。


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モルスタ・メリル時代はM&Aアドバイザー、GE、ペルミラ時代は主に買収企業の当事者として、そのプロマネのような立場の方でした。さらに、GEは外資系事業会社として、ペルミラは外資系の投資ファンド(プライベートエクイティ)、という立場です。

つまり、外資系のM&Aでは、様々な立場から豊富な経験がある方です。現在も投資ファンドを率いています。

本の内容は
  • M&Aディールが成功するための要件(案件の発掘、バリューアップ、EXITなどを外資系の事業会社の観点と投資ファンドの観点で共通する点と相違点を解説)
  • 外資系の企業が日本のM&Aマーケットをどのようにとらえているか?
  • 外資系にとって、どのような日本企業が魅力的に映るのか?
  • 日本が誤解する外資M&A
  • 外資系企業で活躍するために

と言ったことが書かれています。

個人的な感想としては、

M&Aのプロセス自体は違和感がありません。
買いたい人に売却したほうが、かえって日本全体のためになるのに、「外資系に売却」という点で誤解する日本人は誤解している、という点は同意できます。

日本人株主が100%の企業を外資に売却しても、買収価格は普通シナジーを考慮していますので、日本人全体として、その企業が保有している技術やブランドを資金回収できます。

回収した資金でより、高度な技術へ投資することができれば、雇用の創出、付加価値の創出につながります。それは強いては日本の国益に役立ちます。

日本企業が外資に売却したがらないのは、メンツや経営陣の保身である、という主張は全くその通りではないか、と思いました。

加藤氏がおっしゃる、売却された代金はまた別の有力な事業への投資に向けることが、全体のエコシステムにとって有用です。

雇用が危ない、という点も海外の事例は示唆に富んでいます。雇用が危ないのは中間管理職以上で、特に経営層です。中堅から若手を積極的にリストラするとは私は聞いたことがありません。

マスコミが典型的に報道するようなイメージを払しょくし(ケースによっては、外資悪玉説を中央官庁が情報操作しているという説もある)、自らの目で、外資系企業を見てみましょう。そうすればマスコミの報道姿勢にも変化を与えることができます。


この本は、外資系企業でM&Aをやりたい人(もちろん日本企業でM&A実務をやりたい人でも十分参考になる)や彼らの考え方を理解したい人への参考にもなるでしょう。

マスコミや一般大衆に流れる情報と違う本質的な情報に触れる機会となるでしょう。


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