2016年11月8日火曜日

アッビイ(Abbvie:ABBV)の第三四半期決算の雑感

ABBVはかつて、アボットラボラトリーズの製薬部門だったのがスピンオフしてできた会社である。
当社の売上高はやや いびつ で、主力製品である「ヒュミラ」が全売上高の60%内外を占めている。したがって同薬の状況が株価に占める割合が非常に大きい。

スポンサーリンク



その「ヒュミラ」の米国での特許もあと2年ほどで切れるため、先行きが懸念されている。しかしながら、同薬はいわゆるバイオ薬であり、バイオ薬のジェネリックはバイオシミラーといって、生化学的には、普通の低分子薬のジェネリックと違って、臨床試験で同等性を証明しなければならない点や、実績がない等により医療現場では浸透がまだまだ進んでいない。

現在、「ヒュミラ」と同じ成分である、JNJの「レミケード」やアムジュンの「エンブレム」等はバイオシミラーが発売されており、ますますその動向が気になるところである。

一方、世界ナンバーワン売上高(2014年までは)だった「ヒュミラ」が稼ぐキャッシュも莫大で(売上高約1.5兆円のうち、95%以上粗利益と思ってよいと思う)、そのキャッシュを活用してガンガンM&Aを仕掛けている。

その最たる例が2015年のバイオベンチャーだったバイオファーマリックスで、約2兆円で買収している。その会社が開発した「インブルビカ」という商品も「ヒュミラ」ほどでもないが、今年余裕でブロックバスター(売上が年間10億ドルを超える薬)となりそうである。

「インブルビカ」は現在、白血病の治療薬として画期的な成果を上げており、慢性リンパ性白血病では第一選択薬になりそうである。第一選択薬となれば、医師は当該症状が患者に表れると、ほぼこの薬を処方することになるので、売上高の高位安定に寄与するはずだ。

また、リンパ腫等他の血液がんの治験でも良好な結果が出ており、適用拡大による売上高の増加が期待できる。

この2商品以外にもパイプラインには有望な新薬があり、経営陣は2020年ごろまで、EPSの成長率の年平均を15%と言っており、確かに現時点ではその勢いが十分に感じられる。

一方、弱気派の意見は

バイオシミラーの浸透により、「ヒュミラ」の売上高がリスクにさらされる。

「インブルビカ」の対抗馬になりそうな新薬の治験が進んでおり、経営陣の思うような売上高が期待できるか不透明

他の新薬も競争が激しい

「ベキラパック」(C型肝炎治療薬で、ギリアドの「ハーボニー」のセカンドチョイスのような薬)も「ハーボニー」の事実上の値下げや他社の同類薬で売り上げが伸び悩んでいる

というものがある。

さらに政治リスクとして、高額な薬に対する政府の圧力が顕在化しそうである(特にヒラリーが大統領になればなおさら)。

例えば、インスリンなどは大きく値下げを要求された。「ヒュミラ」もリュウマチなどの慢性疾患向けの薬で心配だ。

というのがある。

日本でも、バイオシミラーを浸透させて、薬価を引き下げさせようと躍起になっています(しかし、高額療養費制度などの制度面やバイオシミラーに対する現場の不信感などでなかなか進まない)。

時代の大きな流れはバイオシミラーですが、そのスピードに不透明感があります。

そういったこともあり、ABBVの株価は決算後急落してしまいました。

個人的には、非常に魅力的な株価になったと感じていますが、これは独り言です。


株価 56.04ドル、配当利回り4.5%、PER10.23倍(Yahoo! Finance USAより)

投資判断はご自分で

応援お願いします。
にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ
にほんブログ村
スポンサーリンク







0 件のコメント:

コメントを投稿