マクドナルドについては、後編も。
前編はこちら
今回はマックの施策のうち、豪州など一部の国で取り入れられている"Create Your Taste"と呼ばれる、セミオーダー的なマックのハンバーガーとはどんなものか、などもご紹介したいと思います。
テレカンでは話題になっていたのですが、イメージがわきませんでした。
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マクドナルドがダメだ、ダメだといわれているのは、アメリカ市場のことがメインです。
米国市場はMCDの営業利益の4割を占めるそうです。その次に英国、フランス、豪州、カナダ、ドイツで4割を占め、BRICKs他新興国は1割ちょっとのようです(日本は赤字なので入らない)。
英・豪・加はここ数年堅調な推移で、独は底入れ模様、仏がやや不振ということで、5か国全体では、堅調推移ということになっています。
日本と中国は、仕入れ業者の「事件」のせいだ、ということでアメリカでは片づけられているような雰囲気です(IR関係の資料を読む限り)。事実、中国市場は底打ちしたようなことを言っています。中国を含めた新興国でのSSS(Same Store Sales;既存店売上高)は現地通貨ベースで+8.9%だったと報告しています。
本当はアメリカと日本では、同じようなことが原因で不振だったような気がするんですけど。
米国での苦戦の、第1に競合激化が言われています。
2011年ごろは、日本でも有名なウエンディーズやバーガーキングの攻勢にあっている、と言われ(このころは朝食でも劣勢に立たされているとか言われていた)ていました。
2013年ごろから新興勢力である「パネラブレッド」、「チポトレメキシカングリル」、そして「シェイクシャック」の台頭で苦戦していると。
最近では「チャックフレイ」というチキンに特化したQSR(Quick Service Restaurant;ファストフードチェーン)がライバルだ、と言われるよう、アメリカでは新しいコンセプトの外食産業がどんどん進出しています。
これに対し、MCDは店舗従業員から生え抜きだった黒人のCEOを更迭し、英国法人社長を新CEOに据えて5月にTurnaround Planを発表しました。
主に、
- 地域別・市場別に組織を4ブロックに再編し、地域に合わせた運営ができるように権限委譲を進めること。
- 再フランチャイズ化を2018年までに、3500店舗進める(直営店舗のFC化)
- コストカットを進める
- オペレーションのSimplification(簡易化)を目指す。このためにキッチンの業務効率化、メニューの削減、ドライブスルーを2つのレジで行う、Digital Paymentを進める
- メニューの見直しや材料の見直し(プレミアム素材をバリュー出す、とか地域限定メニューなどを増やす。例えばマサチューセッツ州でロブスターを材料にしたサンドイッチがヒットしたらしい)
- 一方で、顧客の多様な要望に応えられるようなメニューのカスタマイズ化(Create Your Own Taste)。
- そして話題の米国内での、朝食メニューを全営業時間で販売する(マフィンなどは一日中食べられるメニューとする)
といった施策が発表されました。
そして、これらの施策が始まった段階で(朝食メニューのレギュラーメニュー化は10月に一部の米国店舗でスタートしたばかりですが)、比較的良い結果が出た、というのが今回の決算です。
プレミアム素材のバリューメニューの第一弾で、「バターミルクチキンサンドイッチ(バーガー)」がアメリカでスマッシュヒットをしたというearly small success があったのは良い兆候です。
(建て直し時に、ちょっとした成功経験が組織のモチベーションをさらに引き上げ、次のチャレンジに立ち向かう勇気を与えますね)
ただし、期待先行型でも見誤ってしまうので、留意点を言いますと、ウォルマート(WMT)株が2016年の業績予想を大幅に下方修正して、同社株が暴落するということがあったように、MCDにもオバマ政権で久しぶりに引き上げられた最低賃金の改定の逆風が確実に吹いています。
7月に導入した、とのことなので、第4四半期と2016年上半期はその影響をもろに受けます。
会社側は、賃金引き上げで、営業利益率が2%影響を受けるといっています。もちろん人間なので、給与が上がると、やる気が出て、業績にプラスになる可能性もありますが、これは単純に数学的な話です。
一方、原材料費は牛肉の高騰に悩まされていたようですが、現在これはこなせる、と言っています。中国の「爆買」(単に所得水準が上がっただけですけど)の影響が牛肉の高騰にも及んでいるようです。
その他の原材料費も沈静化しているようです。
したがって、今後、SSSは賃上げや高くなった牛肉代をこなして、営業利益率を維持するためには、SSSは+3%~4%(推測)が必要で、マージンを伸ばすにはさらに上が必要だ、と言っています。これは現状のMCDからみればややハードルが高そうです。
また、米国の場合、新興勢力とのシェア争いは今後激しくなることも予想されます。
「チャックフレイ」がなぜ競合になるのか、最初はわかりませんでしたが、最近のマックのメニューでヒットするのにチキン系のメニューが多かった(牛肉が高いからだと思う)のと、マックでは比較的チキンメニューに人気があるようです。これが原因かもしれません。
最後に、デジタル化とCrete Your Own Tasteのイメージがわきやすい面白いYou Tubeをご紹介しましょう。日本にも早く導入されるといいですね。
いつも参考になる記事をありがとうございます。そして今回も楽しく読ませていただきました。
返信削除MCDはノーチェックでしたが、バリュエーションを確認して購入検討してみようかな?でも、ファストフード業界である以上、仕方ないことですが次から次へと競合が現れますね。日本のほうがまだしも少ないのではないでしょうか。
自分もいくつか米国株持っていますが、英語で情報をある程度取れるようにならないとだめそうですね・・・
それにしても最後の動画はめちゃくちゃですね、あれあの後食べたんでしょうかね~
teaandeelさん、コメントありがとうございます。
削除なんとなくですが、みなマックに少し飽きたんじゃないかと思います。マック側が消費者の声をよく聞いて、変わっていけば急成長はむつかしいでしょうが、まずまずの成長が見込める銘柄だと思います。
ブランド力は折り紙付きなので、新興国でまだまだ店は出せると思います。
今後ともよろしく。Create Your Own Tasteはそのうち日本でも出るでしょうかね。