久しぶりに決算発表を読んだ。レポートラインが変更になり、分かりづらかった。
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戦略ビジネス(strategic imperatives)の売上高増加とレガシービジネスの売上高の減少のギャップがかなり改善してきた、というのが第一印象。つまり売上高減少が止まりつつある。
特にハードウエアは製品サイクルの端境期にあるため、それらを除くと実質的に増収と考えてもよさそう。
為替の影響がほぼフラット化しつつある点が第二印象。これまで円や新興国通貨などで大きく足を引っ張られていたのが、収まりつつある。他のグローバル企業の業績にも影響があるだろう(日本企業はこの反対ですけど)。
ただし、利益率(荒利率)が悪化している点が懸念材料。会社側はM&A等によりコストが嵩んでいると前向きな投資による一時的な悪化であると強調しているが、戦略ビジネスの売上高が増えていれば、マージンの改善を投資家は期待して当然(だからこそそこに投資するのだろう、という発想)。
「来期以降は投資が一巡して粗利が改善するのか」というアナリストの質問に、「投資は来期も継続する」(と言ったと思う)と回答していたので、来期以降のマージンが見通せない。
トップラインの伸びが期待できない状況がもうしばらく継続するので、マージンの改善を期待していたところだった(これまでのIBMは売上高が1~2%の低成長でも、マージンが2%~3%ほど改善し、販管費率も下がって、必殺自社株買いを加えてEPSが2ケタ成長という「方程式」であった。投資家はそのイメージが強いと思う)。
つまり、IBMの肝いりのstrategic imperativesはそれほど競争力があるのだろうか?という疑問が残った。
Watsonというコンピュータがいたるところで使われており、どこからどこまでWatsonで、Watsonによる売上高や利益率がいくらなのか、という点についてわかりづらかった。アナリストレポートなどがあれば復習する予定。
ヘルスケア、IOT、あと金融機関向けのインバウンドサービス(ネットで質問を受け付けるチャットのようなもの)など業界向けのものや、ヘルスケアでも、ガンや健康診断、新薬開発用など様々な用途向けのものの名前が並んでいた。
Watsonはフィリップモリスにおけるマルボロのようなブランド化する可能性があるかもしれない。何でもかんでもマルボロのブランドを付けてタバコの新発売をするPMのように分析コンピュータにはとりあえずWatsonという名前を付けて、IBMの商品ということを強調したいのかな(ちなみにWatsonとはIBMの昔の社長の名前で、この人が3つの会社をIBMにまとめ上げて今日のIBMの土台を作った。彼らにとってみれば創業者に近い)。
IBMの強みは、顧客のビジネスに深入りして、比較的カスタマイズ化されたITシステムを構築することであるが(ざっくりいえばSierに近いイメージ)、Amazonやマイクロソフトのようにどちらかと言えばパッケージ化されたクラウドより利益率が落ちそう、という点が気がかりだ(IT業界ではパッケージ化の方が常に利益率が高いのであるが)。
金融、医療、公共団体など比較的守秘性やナレッジ・業務が専門的で複雑なものやインフラ・設備重視のビジネスに対してはIBMに分がありそう?(けど国防省だったか?クラウド導入時にアマゾンに入札で負けていた)。
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