ムーディーズは皆さんよくご存じの会社だと思いますが、マグロウヒル(MHFI)と聞いて何の会社かすぐにわかる人はどれぐらいいらっしゃるでしょう?
MHFIはスタンダード&プアーズの持ち株会社になります。ムーディーズは社名と格付けブランドが同一なので分かりやすいのですが、マグロウヒル(持ち株会社ですが)は社名とブランドがスッと一致しません。
しかし、ムーディーズと並んでアメリカ2大格付け会社(Rating Agency)として知られています。
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これらの会社は、おおざっぱに言えば、監査法人と同じで、「お墨付き」を与えるのがビジネスモデルです。利用者からみれば、印籠のようですね。
ネスレやP&Gは、一応製品を製造して、運んで、店頭に並べて、といったコストがかかりますが、S&Pはそのようなコストは必要としません。同じブランドビジネスでも、さらにコストが安い(すなわちCFが潤沢になりやすい)という収益特性になります。
財務分析から始めます。ただし、この5年間は当社も「激動」の5年間だったので、わかりづらいかもしれませんが。
42年連続で増配継続中です。配当性向からみても、当面心配なさそうですね。
ただし、増配ペースはゆっくりとしているようです。一方、株価はそれなりに評価されています。したがって、配当利回り的にはそんなに魅力的とは言えないかも。
ビジネスは安定していますが、PLは安定しているとは言えない動きですね。
ただし、これにはわけがあって、現在当社は「激動の時期」を潜り抜けている途中だと思われます。もう2年程度で新しい会社のポートフォリオ、フォーメーションが出来上がるようなイメージを持っています。
そもそも、「印籠」を信じて大損をこいてしまった、リーマンショックのあと、投資家が格付け会社を見る目は非常に厳しくなっていきました。
当社は、もともと出版会社として設立された会社だったので、マグロウヒル社には、S&Pとマグロウヒル出版という2つの会社がぶら下がっていました(ほかに放送事業もあった)。
当然、投資家はマグロウヒルは格付けの会社であり、出版業他はインターネット全盛時代に時代遅れであり、分社をすべしと主張していました。
会社側は、そういった声が合理的であるため、要求を受け入れて、格付け部門や金融関係部門を残して、他の事業を全部売却してしまいました(まだこれから売却を予定していると思われる事業がある)。
一方、金融情報関連事業は強化のための買収も行っています。当社も他の米国企業同様買収を繰り返し、成長してきた会社のようです。
従いまして、売上高・利益とも成長しているのかどうかわからないような数値になっています。
投資家の意向に沿った構造改革を行った結果は株価に如実に表れています(あ~、買っとけばよかった)。
5年前なら3倍以上になっていますね。
2011年に放送事業を売却。2012年に教育事業(出版が含まれる)をアポログローバルマネジメントに売却、2014年に建築部門(建築系のデータ収集・分析などを行う)を売却しています。
一方、2015年にSNLという金融、化学、不動産、資源・金属等のデータ収集会社を買収し、S&P部門に併設しています。
したがって、会社側はAjusted の財務諸表を作成して、これで評価してくれ、と主張しています。
これは、これまで売却した事業を外して売上高を引き直したものと思われます。
そして、それらの事業の利益です。
投資家はこっちのEPSで株価を評価していそうですね(出なければ赤字ですから)。
それもこれもS&Pの印籠が強力だからでしょう。その2に続く。
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