2015年12月23日水曜日

ヘルスケアリートへの投資を考える

この前、某メガバンク系のヘルスケアリートの説明会に行った。
ヘルスケアリートとは、その名の通り、REITというハコに医療・介護施設をぶちこんで、そこの家賃から収益をもらって、配当可能利益を投資家に還元するスタイルのものです。
普通のリートと仕組みは同じです。投資対象が特化されているだけです。




ただし、普通のリートは、例えば商業ビルだとテナントが何社か入居していて、部屋数も複数あるため、常に満室ではありませんし、賃貸借契約も個別条件で違いが出てきます。
商業施設の場合は、一括して、例えばイオンとかが借り受けしますが、賃料条件は見直しされる可能性があります。

一方、特に介護施設(老人ホーム)では、ほとんどのケースが特定の運営会社が10~20年一括賃借で長期固定家賃の契約となっています(一応契約には、経済条件が変わった時とか5年後に相互の合意の下、賃料水準を見直すことができるようにはなっていると思うが)。

何が言いたいのかといいますと、ヘルスケアリートでは受取家賃が固定であるため、投資家への分配金のブレもほとんどない、ということです。これが投資家にはメリットではないかと。私は期ごとに変化する分配金が嫌でリートを売却した経緯があったので。

また、老人ホームは将来、特に首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)で圧倒的な不足が予想されており、老人ホームオペレーター(ベネッセとか)はたくさん作らなければならないが、建築費の負担が重い、という状況なのでヘルスケアリートはその解決策になるツールです(もっとも個別の老人ホームは地主のような人が土地建物代金のリスクを取っているケースの方が多いと思うが)。

しかし、今回の説明会を聞いて、「ちょっと待てよ」とも思ってしまいました。元々リートは投資家と物件供給側(スポンサー)との利益相反が課題となっていましたが、本件でもその課題は残ったまま、というより「パワーアップしてるんじゃない?」と感じざるを得なかった。

説明していた方は、大阪の某都市銀行ご出身の方で、柔らかい物腰で丁寧に説明されていました。
このリートの運営法人の代表者は某メガバンクのリートを取り扱っている審査部のご出身だそうで、そのメガバンクも運営法人に出資しているそうです。
したがって、「うちのリートはメガバンクが株主なので信用力が高い」ということが言いたかったようです。

しかし、あまりにも当該メガバンク色を打ち出すので(パンフレットの色もその銀行のカラー、グリーン、あ、バレた)ちょっと辟易としてしまいました。

聞いているうちに、「そのメガバンクの言いなりなんじゃないの?」と思ってしまいました。
(そんなに銀行って、スイスイとカネを貸さないよ。銀行にメリットがあって初めて貸すんだから)

また、ポートフォリオに組み込んでいる個別の老人ホームを見てびっくり。最近損保会社が某居酒屋チェーンから買収した老人ホームで、事件があった物件と、つい先日同じ損保会社が買収を発表した最大手老人ホーム会社で転落事故とか虐待事故があった物件が入っているではありませんか!!!

当該物件の稼働率(入居率と違う点は入居していても、簡易入院とか家族の元に帰っているとか不在の日があると、稼働率は落ちる。不在の日には介護保険が付かない)は70%台と非常に低い。
もちろん、家賃は、日本第2位のその損保会社が(実質的には)払うことになるので、とりっぱぐれがないのですが、全資産のうちかなり高い割合で当該物件を買い取っており(鑑定評価的には妥当らしいが)、中心ポートフォリオのような感じ。

どういういきさつで買ったのか知りませんが、会社側は「ダウンサイドリスクがない」点をPRしていましたが、投資家としては、「投資家のカネで、初めっからそんなブラック物件を買わないでほしい。あんたたちもまだREIT運営の初心者なんだろ?」と感じてしまいました。

他人のカネで資産を買う、という発想より、供給者側の発想で物件をぶちこんでいる、という姿勢があまりにも結果で分かってしまうので、ちょっと投資を見合わせてしまいました。

例えば、旧某居酒屋チェーン系の老人ホームのうち、事故物件だったとしても、「事故物件だからこそ安く買えた。稼働率が回復すると受取家賃も増加するので、投資家への分配金のアップサイドもある」とかいう契約内容だったら、理解可能だ。

しかし、ダウンサイドプロテクト一辺倒じゃあ、銀行や損保会社から押し付けられているとしか思えないよなあ。

もちろん、リートというものは、大なり小なりスポンサーの言いなりの物件を「摑まされている」ようなものですけど。


ヘルスケアリートの初期段階なので、こういったリスクを取らないと案件を回してもらえないのでしょうかねえ。
応援お願いします。


にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ
スポンサーリンク








0 件のコメント:

コメントを投稿