2017年5月30日火曜日

ジェネリック薬品国内トップメーカー、沢井製薬への現時点での投資

ご質問をいただいています。

Unknownさん
こちらの株まだ持っていなくて欲しいのですが、今ならいくらで買うのが望ましいと思われますか??(2017/5/27現在6190円です。)

なんともお答えしにくい質問です。


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同じ銘柄でも、その銘柄に何をどれぐらい期待するのか、で投資スタンスが変わってきますし、投資スタンスが変われば、エントリー価格にも微妙に影響するでしょうし、そもそも投資価格なんて安いことに越したことはない、という考えもあるので。

PER15倍を安いという人と高いという人、配当利回りを優先して考える人、PEGレシオを優先する人、PBRを見て判断する人、EV/EBITDAを見て判断する人等など。

29日終値で見ると、

沢井製薬
株価  6,190円
PER  12.38倍 (予想ベース)
PBR  1.64倍
EV/EBITDA 6.7倍
配当利回り 2.1%

私は2014年に6,000円を少し切る価格で購入しました。その後一時8,000円台を超えましたが、ジェネリック薬の薬価改定の頻度を上げるとか(又は価格体系を製薬会社に不利なように見直す)、ジェネリック薬の浸透スピードが想定よりスローダウンするとかがあり、当社の利益率もダウンしてしまって、株価は6,000円台前半まで下落してしまいました。

厚労省の医療保険費の効率化プレッシャーがきつく(オブジーボの件はあるものの、画期的な新薬には大きな出費を決断するものの、既存品については値下げ要求がキツイ)、業界動向は良くありません。

また、ここ数年連続で増配していましたが、来期は据え置きと発表しています。

しかしながら、
アメリカのGE薬メーカーUpsher Smith LaboratoriesUSL 1155買収ことが決まっています。

上記株価指標は同社の業績を織り込んでいないと個人的に思います。
買収資金は借入金が大半の模様です。下記はドル=110円による概算値。
一方、BS面では、借入金が膨らみます。幸い、現時点では純有利子負債額はマイナスの模様です(現預金―有利子負債額、つまり現預金>借入金)。

仮に1155億円全額借入金で調達した場合、
Net Debt / EBITDA倍率(純有利子負債額/営業利益+減価償却費+暖簾償却費);つまり、年間キャッシュフロー何年分で借入金が返済できるか、という借入金返済能力を測る指標は 

純有利子負債が約1100億円、EBITDAは合算後約2.3倍程度?(沢井300+USL170)で許容範囲内と思われます。

しかし、USLの今期予想は主力品が競争にさらされるようでかなり厳しいようです。2018年以降は当社の業績回復と沢井とのシナジー(沢井の製品を米国で販売)等により、業績が拡大すると考えているようです。

まとめると

マイナス点

  1. 厚労省のGE薬品に対する圧力は更に増加することはあっても、減ることはない。
  2. 結構な額の借入金を調達することで、財務バランスが崩れる可能性
  3. 買収先の企業の業績見通しがどうなるのか

プラス点

  1. 米国進出の業績が織り込まれていないため、割安に見える
  2. 国内GE事業の事業基盤そのものは盤石

勝手な投資判断
アグレッシブに行くなら、今の水準は割安だと思います(米国業績を織り込んでいない)。

慎重に行くなら、米国業績をもう少し見通すべき(つまり、5000円台などまだ安くなるのを待つ)。どうせ国内製薬メーカーに対する投資家の見方はイマイチなので、株価はこれ以上それほど上がらない(と勝手に思っている)。
配当の成長は、経営者も米国企業の業績を見通し、借入金の返済がある程度進むまでは慎重かもしれません。

個人的に、沢井製薬の社長は入り婿さんですが、経営管理はコンサバで優秀じゃないかと思っています。したがって、大博打を打つ、とも思えないんですけどねえ(売上高1000億円を超えたばかりの企業が、LBOと言っても、1100億円を借り入れるのは一見博打に見える)。

最終的な投資判断は、個人責任でお願いしますね。
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