2017年3月25日土曜日

Chevron(CVX)のアナリストミーティング2017年3月

毎年3月上旬にやっています。日本の大企業が行う「事業方針説明会」に似ているような気がします。
西豪州Gorgon LNGプラントの全貌
原油価格が大暴落して、石油会社各社は業績・資金繰りに四苦八苦しています。また、豊富な埋蔵量もあって供給過剰が言われています。したがって、石油株に妙味がない、と考える人が増えているようです。

確かに、そういった見方も否定しません。しかし、石油・天然ガスは人類が生活するうえでまだまだ必要不可欠で安価な資源です。Chevronも時代の変化に合わせてロックフェラーの時代から生き延びています。

中長期の長い目で見ていけば、まだまだ投資妙味があると思っています(皆さんが上記のように考えるのなら余計に)。

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さて、メインメッセージは以下に集約されます。

2017年に営業CF+投資CFは > 配当金支払額 となる
ただし、2017年はCFの中に計画されている資産売却代金が含まれている。

2018年以降は、営業CF+投資CF > 配当金総額
資産売却代金に依存しなくとも、配当金支払額をカバーできる

このメッセージの前提となる背景は、2015年、2016年と原油価格の大幅下落を受け、
営業CF+投資CF < 配当金支払額 となっていた点が投資家から悲観視され、連続増配記録も途絶えるのではないか、という懸念が絶え間なく渦巻いていました。

しかし、以下のポジティブな側面を強調しています

営業CFは改善する。その理由は
ここ数年の原油価格の下落相場の中、
  • ①下請けサービス業者へのコストを約3割削減した、
  • CVX自身も大幅に従業員をリストラした、
  • ③資産の大幅減損を計上した(本質的な削減ではないですが)、
  • ④そしてここが大事なのですが、リーマンショック前後から取り組んでいた大型プロジェクト(Major Capital Project)が竣工し、CFを生み出すようになって来た

投資CFは削減される
  • 上記④に記載した大型プロジェクト(主に西豪州のLNGプロジェクト、ゴーゴンとウイートストーン)が終わって、これ以上大型のプロジェクトへの投資は計画していないこと、
  • 今計画しているのは、すでに開発している鉱区の近隣であり、スクラッチで開発するほどコストがかからないこと(レガシー資産と言っていました。具体的に、テキサスのパーミアンのシェールオイル、カザフスタンの巨大油田、そしてすでに立ち上がったゴーゴン)

キャッシュフローマージンも改善される
  • 比較的利益率の低い資産を売却している、上記の通り減損が進んだなど

そして、2020年まで、原油価格が1バレル$50なら上記シナリオ通りで、価格が上昇すればするほどアップサイドがある、と言っています。

将来の原油価格に関しては、なかなか肌感覚がわからない点です。CVXも決して予言めいたことは言っていないのですが、50は持続できないレベルで安い、と毎年繰り返して言っています。

その理由も毎年繰り返して言っていますが

  • 埋蔵量は毎年放っておいても3%~4%減る(バケツから水を汲んできて、新たに水を入れなければ水は減る一方)。
  • したがって、設備投資をして、新規油田・ガス田を開発するか、既存油田の拡張工事を行う。
  • 後者は比較的低いコストでできるが、前者はそれなりに投資が必要だが、$50だと簡単に採算ラインに載らないので、投資意欲が衰える。
  • 一方、原油の需要は世界経済の成長率の約1/2程度で増加している。

したがって、今のままだと数年内に必ず供給不足になる。したがって、原油価格は上昇する。

シェールオイルが脅威だというが、現状シェールオイルは全需要の5%程度に過ぎない。それ以外のほうがよほど重要である。

世界で現在大雑把に97百万バレル/日が市場で、毎年1百万バレル/日の需要が増加している。シェールの生産量は5百万バレル/日にずぎない。

こんな感じです。

私のCVXに対する投資テーマは以下の通りです。
  • 長期投資なら石油株は持っておいたほうがいい、というジム・クレイマーの助言
  • CVXはアジア太平洋経済の成長を取り込むには絶好のポジション(西豪州のLNGプロジェクトに期待している)
  • 連続増配株、ロックフェラー銘柄、米国企業としての財務戦略重視経営、堅実経営、政治力もある
  • 経営陣の配当に関する非常に強いメッセージ・コミットメントがある

CEO John Watson
Our financial priorities are clear and consistent. Our number one priority is to maintain and grow the dividend as the pattern of earnings and cash flow permits. We increased the annual per share cash payout in 2016 for the 29th consecutive year. Producing oil and gas is a depleting resource business. Over time, we must invest in attractive energy projects to provide the earnings and cash flow to pay and increase the dividend.

CFO Pat Yarrington
And we do exactly what we say we’re going to do. And because we’ve had a hierarchy of dividends first, investments second, balance sheet third, share repurchases fourth and the fact that we try to balance those over time, we have a very -- I think they have a very good understanding of what our going forward plan is.

そして、今、その期待していたLNGプロジェクトがまさしくマネタイズされようとしています。


(Gorgon LNGのプロジェクト全貌のビデオ。英語はありません)

原油相場と業績に関する見通しについて

Volume grows and margin expands. This chart compares our 2016 upstream cash margin with expected 2017 and 2020 cash margins. At $50 flat Brent, the cash margin improves $2 per barrel this year due to lower operating cost barrels coming on line, lower margin barrels being divested and ongoing cost efficiencies. By 2020, the margins are expected to increase another $2 to $3 per barrel. As prices rise, we obviously do even better. For example, at $70 per barrel, which is consistent with the consensus analyst forecast, the after tax cash margin is expected to grow by more than $7 to $8 per barrel from the flat $50 case in 2020.
原油価格が$50(北海ブレントベース)のままでも、新規プロジェクトがもたらす増産効果と、これまでの効率化政策のおかげでマージンが改善する、と言っています。原油価格が上がれば、マージンはアップサイドになると。

例えば、$70になれば1バレル当たりのキャッシュマージン(税引き後の採掘・生産事業の利益率)は$7~$8の改善見通しであると。
(注:WTIではなく、Brentです。現在まだ$50をキープしています)

Enbridgeと迷っていますが、配当利回りが4%台になれば、今年は久しぶりに買い増しを検討しています。


ご参考
Chevronに関する過去の記事

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