カナダのカルガリーに本社があるパイプライン大手、Enbridge(ENB)の第4四半期決算です。同社はアメリカのパイプライン会社であるSpectra Energyとの合併が決まっており、ENBとしては最後の決算になります。
パイプライン会社ですので、地図でどんな感じか見るのが早いでしょう。
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上記のうち、黄色と赤のパイプラインがENBで、青がSPCとなっています。
ENBは主に石油製品、SPCは天然ガスの運搬がメインの企業で、カナダとアメリカ、石油と天然ガス、と地理的にも取扱製品でも抜群の補完関係にあり、珍しく米国の株式市場でも評価の高い(Valuationはリーズナブルだったこともある)合併となっています。
合併は、ENB57%、Spectra43%とENBの吸収合併となっています。
ENBはMorningStarでWide Moatが付く優良企業です。何が濠なのかと言いますと、カナダエドモントン:Edmontonから米国シカゴに向かうMain Lineと呼んでるパイプラインが、カナダのオイルサンド(エドモントンの北が産地)をアメリカ五大湖工業地帯に運ぶ唯一のものだったということと、
さらにシカゴからメキシコ湾にパイプラインが伸びているため、メキシコ湾のアメリカ石油化学コンビナートにも運ぶことができるようになった、など非常に有利な地理的条件を得ていたことです。
(対抗馬として、Trans Canada社が計画しているKey Stone XL Pipe Lineというのがあります。これもカナダのエドモントンからモンタナ州を経由してメキシコ湾に抜けるものだったのですが、オバマ政権がモンタナの自然を汚染するといって許認可せずに、政治論争になっていました。トランプさんは許可すると選挙で言っていました)
さて、2016年度4Qの決算は市場予想を下回ってしまいました。(Adjusted EBIT市場CD1.3B、実績同1.2BこれはMain Lineを流れるビチュメン(オイルサンドの合成石油のこと)の数量が年々増加していきます。しかし、その他事業での利益が予想外に減少したことなどが影響した模様です。
ENBの「クラウン・ジュエル」(その企業が保有する最も価値がある資産)であるMain Lineを通る石油製品の数量とキャパシティです。現在Line3と言っているパイプライン(パイプラインが何本も並行して走っている)を拡張工事を予定して、計画通りにいけば2019年以降は一段と通行量が増えることを示唆しています。
(ただし、Line3は米国のミネソタ州での許可がやや停滞している)
今後は同社の開通が予定されている他のパイプラインや、最近力を入れている再生可能エネルギー(欧州で風力は発電、北米では太陽光発電などに投資している)あるいはSpectraの天然ガス事業など成長余力があるので、ENBは合併後も以下の様な配当を予定しているようです。
私は2012年ごろに投資を開始して以来、毎年2ケタ増の増配を受けています。持ち株の中で最も増配率が安定的に高い銘柄かもしれません。
カナダは確か、配当税率が15%でちょっとダメージがありますが、それでも今時年率10~12%をコミットするのはなかなかのものです(注:CADベース)。
カナダのオイルサンドが米国のテキサスなどの湾岸地域に普及するか、という点はアメリカのシェールガス革命と結びついています。
つまり、現在、米企業では(私の持ち株でもDOWやCVXが該当)安価なシェールガスから抽出できるエタン等を用いて、エチレンプラントや製油所などを建設中で、これらの工場が稼働すれば、その工場の燃料に用いる原油としてオイルサンドから抽出した重油が使われる見込みです(トランプさんが気が狂ってオイルサンドに重い関税をかけない限り)。
今回の合併で、Kinder Morganを抜いて、北米No1のパイプライン会社になったENBです。株価のほうはMorningStar社によると、おおむねFair Valueのようです。
トロントとNYSEに上場しています。ふつうに買うとNYSE(米ドル建て)で取引すると思います。
Price 41.33(USD)
PER 20.67
Yiueld 3.75%
Fair Value 43(MorningStar社)
私の投資方針としては、CVXかENBのいずれかをできれば買い増ししたいなあ、と考えています。
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