2016年3月20日日曜日

配当貴族銘柄 AT&T(T) 32年連続増配 #34 S&P Dividend Aristocrats その2


前回、「経営戦略的なこと」などと言ってしまいましたが、AT&Tの成長戦略はM&Aを軸としていることは間違いありません。


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NTT同様、固定電話回線収入の減少を携帯通信やブロードバンドなどで補完・拡大してきましたが、アメリカ国内の携帯通信事業も成熟化しています。

そこで、2011年に同業他社であるドイツテレコムUSATモバイルUSA)に買収提案を行いましたが、米国の通信当局や司法省から、事業者の数が減ることは利用者の利便性を損なう、という大義名分を盾に謝絶されてしまいました。

民主党政権なので、M&Aで「シナジー」という名のもとに失業者が増えると困る、という風潮があったとされています。

AT&T側は、M&Aが成功するとインドにあるコールセンターを米国に引き戻して5000人の雇用を創出するとまで言っていた記憶がありますね。

(こういった背景があったにもかかわらず、同じドイツテレコムUSAに買収を挑んだ、日本の某社さんの買収提案の結果は最初から見えていたようなものでした

これで、コアビジネスである米国内の携帯通信事業の拡大の手が塞がってしまったAT&Tは米国外の携帯事業の拡大を考えだします。

当時、ベライゾンの携帯子会社はベライゾンと英国のボーダフォンの合弁会社でした(ベライゾン55%、ボーダフォン45%)。ベライゾンが残り45%の株を買い取って、ボーダフォンはアメリカ事業から追い出されました。


そのボーダフォンを買収するかも? といううわさが流れましたが、交渉でダメになった模様です。



それで仕方なく???、衛星通信放送会社のDirecTVの買収に踏み切りました。
AT&Tには自社でIPTVを展開(ネット、TVIP電話を同時提供)しているが、これのコストが高いらしく(特にテレビコンテンツの放映権料の支払いが高いらしい)、U-VerseというIPTVの契約者をDirecTVに寄せて、コンテンツ調達料や間接部門費の削減を図りたいそうだ。

また、DirecTVはメキシコとブラジルにもかなりの契約者を持っているので、これを足掛かりとして、同国の携帯通信事業に進出したいようだ。

また、AT&Tの契約者にDirec TVへの加入を勧めたり、DirecTVの契約者にAT&Tへの加入を勧めるなどをすることも行い始めた。

(こういった一方のお客さんに、もう一方の商品・サービスを販売することを「クロスセリング」といって、M&Aのシナジー創出の常とう手段となっている。この場合、例えばAT&T契約者にDirecTVに加入する際、料金を安くするなどで、全体の営業コストを抑えるなどが可能。

海外事業はメキシコ市場に参入するため、メキシコの下位携帯通信事業会社を買収している。

これらのシナジーで中期的にEPSMiddle Single Digit(たぶん3~6%)の成長が可能と言っている。したがって、配当も中期的には3%~4%の年間増配率は達成できるようなイメージを持っている。

さらに、もう少し長期的な話になるが、車からの携帯通信回線を使った情報のやり取りがいずれ本格化してきます。このために自動車会社各社をAT&Tは取り囲んでいます。



しかし、いつものMorningStar社では、DirecTV買収やメキシコ通信会社の買収は評価が低い。アメリカ国内の携帯事業の地盤をもっと固めるべきだ、と言っている。
米国内の携帯事業は成熟化しており、今後は各社の契約者獲得競争が激しくなるので、サービスの質をさらに高めるべきだ、と言っています。

AT&Tはベライゾンと並んで、LTE通信網をほぼ全米に敷いており、「通信の質」は確保できていると考えています。
また、契約形態も日本のように(日本が真似ているんだと思いますが)、家族で何ギガで料金いくら、みたいな形態にしているので、解約率が低下して、販促コストが抑えられているそうです。

Tモバイルやスプリントが頑張っても、安売りになびく顧客だけであり、通信会社の競争力の目安とされている料金後納の契約者(ポストペイド:反対はプリペイド)のシェアは簡単に崩れません。

私見
なんだかんだ言っても、配当利回り5%で、配当成長率が3%以上確保できそうだったら、長期投資を考えれば、持っておいて安心の一ポートフォリオじゃないかと思います。
株価の推移は正直、面白くも何ともありませんが、Dripのおかげか、それなりの株数が増えています(利回り通り、約4年で20%ほど株数が増えている)。

最近、国債利回りの益々の低下とドル高で、株価がやや押し上げられているような気もしますけど。

結局、確実に計算できるポートフォリオになっています。野球でいえば2番バッターのような感じかな?

もっともこれからも同じかどうかはわかりませんけどね。

今回は、とりとめもなく、自分の頭の整理をしたような記事になってしまいました。

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