2016年3月27日日曜日

配当貴族銘柄 メドトロニックMedtronic Plc(MDT)37年連続増配 #35 S&P Dividend Aristocrats その2

医療機器メーカーの種類
医療機器メーカーと言っても、ざっくり言って2種類あります。一つは画像診断系、もう一つは治療系。大手の医療機器メーカーは基本的に前者であることが多いです。


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日本でも東芝(今後はキヤノン)、日立、富士フイルム、オリンパスなどは前者になります。単価の高いX線系(あるいはMRIなど電磁波系)の生産がメインですがコア技術は自社の別製品であり、医療機器は技術的な多角化事業の一環という感じ。

GE、フィリップス、シーメンスも日立などと同じイメージです。

画像診断なので、実際患者の病気を治療するわけではありません。したがってリスクは比較的低いです。

一方、メドトロニック、アボットラボラトリーズ、ボストンサイエンティフィック、日本のテルモなどの治療系は患者の体の中に機器・器具を入れ込んで、カテーテルのような病原を治癒するためのプロダクトを作っています(整形のための人口骨や人工臓器のような人間の体を再現するものも最近は多い)。したがって、仮に機器・器具がうまく作動しなかった場合、患者から損害賠償を請求されるリスクがあります。

大雑把に言って、画像診断系はローリスクローリターン、治療系はハイリスク・ハイリターンな収益構造になっています。メドトロニックは、もちろんシェアが高いプロダクツが多いという点を考慮しますが、営業利益率が20%台はザラです。

(もちろん、浜松ホトニクスのような画像診断のキモに当たる光電子増幅管などを生産する会社は同じぐらい儲けていますが)


当社の製品ポートフォリオは以下の通りです。


  • Cardiac Vascular 心臓血管系(おおむね世界シェア1位の製品群)
  • Minimally Invasive 低侵襲手術用品 (これも1位;手術ではなく静脈などからカテーテルを差し込んで、幹部を治癒するための器具)
  • Restorative Therapies  回復・リハビリ向けの器具? (これも1位)
  • Diabetes  糖尿病 主にインスリンポンプのことです。


売上高の約55%がアメリカで年率6%の成長、アメリカ以外の先進国(日本を含む)で33%の売上高、年率3%の成長率、新興国が残り12%で年率12%の成長率となっています。

中国での成長が非常に期待されていて、約$2.2Bの売上高があり、2ケタ成長を会社側も予想いしているようです。したがってそのうち、全売上高の1割が中国になるかもしれません。

これらのポートフォリオのうち、カテーテルの技術革新が進んでいるようです。現在、心筋梗塞などで血管狭窄が発生した場合、カテーテルは狭窄した血管を膨らませる役割しかなく、いったん膨らんだ血管を血の通りが良いままの太さにキープするためにはステントというパイプのようなものを埋め込んで血管の形を整える、という治療がメインとなっています(平成天皇やクリントン夫妻もステント治療を行ったといわれている)。

しかし、カテーテルだけで血管の形を整えることができるような製品を末梢神経の血管狭窄用に開発した模様です。

こういった分野は非常に高い技術力や競争力を持っています(普及するとテルモやボストン辺りは収益的に打撃を受けそう)

また、競争力が強い多種な製品群は、病院との交渉でお互い非常に有利になります。病院側も一括購入を希望しており(複数の病院が一定の製品を一括購入してコストを削減させたいと考えている)、売り手側も少数の手間で大量の製品を販売することで、競争力をつけよう、という動きがあります。

したがって、医薬品・医療機器業界ではM&Aが盛んになっています(アメリカでは病院でも再編が起こっている)。

メドトロニックは、この流れをリードしている存在で、病院購買担当にフォーカスした営業戦略(しいてはM&A戦略)をとっているとのことです。この辺の強さがEconomic Moatwideであると評価されている根拠になっています。

最後に配当へのコミットは強いです

増配率も2桁を維持しています。配当性向も2020年までに40%に引き上げるといっています。こういうグラフをIR資料に入れてもらえると、投資家としては、少しは安心・信頼が出来そうですね。

意見
  • 配当利回りが現時点で約2%と物足りないが、株価が下落した局面で買っておきたい銘柄の一つだと思います。
  • わたしも、ずっとウオッチリストに掲載している先です。
  • アイルランドの低い税率のメリットが出てくるのはこれからなので、業績のアップサイドもこれからです。
  • CEOは数年前、GEヘルスケアからヘッドハントされた人であり、GE流の経営が行われているようです(ナンバーワン・ナンバーツー戦略とか)。頼もしい。
  • 今後も注目したい銘柄です。
  • ただし、医療裁判などもしばし起こっているようであり、手放しでいい会社とまで言い切れないようですので、ご留意を(最もそういった場合、Special Itemsとか言って、Adjusted EPSベースで業績を示したりして有耶無耶にしてしまう傾向が米企業にはある)。

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