2016年3月31日木曜日

M&Aの買収価格の算定やプレミアムは難しい

M&Aの買収価格が発表されると、利益の何倍で買ったのか(通常、海外ではEV/EBITDA倍率:企業価値÷償却前引当利益・ざっくり営業利益+減価償却費等非現金支出額)で高いとか安いとかを評価される。
(企業価値=時価総額+純有利子負債残高であり、EBITDAは通常企業のざっくりとしたCFを表している。 CFの何年分でその会社を評価しているかの指標)

被買収先が上場企業の場合はPERで評価されることも多い。


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実際には買収先の買収後の統合戦略によっても見いだせるシナジーの額が違ったりするので、何倍だと高いとか安いとかいう絶対的な目安もない。しかし、その時の相場で類似企業との比較感や、類似他社のM&A事例などを参考に言われることが多い。

ただ、誰しも「高値掴み」と呼ばれるのは嫌なものだ。

特に最近は、買収後に思ったような利益が上げられなかった場合、減損という特別損失を計上しなければならず、一気に最終赤字に陥るケースも散見される。赤字を出すと、経営者責任問題に発展しやすい。

ただし、「勝てば官軍」であるのが世の常で、やってみなけらばわからないから面白い(面白いって、外野的な発想だが、事実何が吉と出るか難しい)。

しかし、ギリアドサイエンシスが2011年にファーマセットを買収した価格は110億ドルで、ファーマセット社は未だ一つの医薬品の承認も受けたことのないベンチャーでした。
2011年当時は、「いくらベンチャーでも高すぎる」という声が多かったように記憶している。

しかし、今ではC型肝炎治療薬「ソバルディ/ハーボ二ー」で一躍有名になった。同薬は201312月に米国でFDA承認されたのちに販売となり、2014年には102億ドルほど売れたそうだ。1年で投資元金がおおむね回収できている。

日本の武田薬品工業も、2008年にアメリカのバイオベンチャーだったミレニアムファーマを約8800億円で買収して、やっぱり「高すぎる」といわれた。

しかし、もし、このM&Aがなければ今の武田薬品のポートフォリオはボロボロであり、悲惨な状況となっていたこと、今武田はがん治療薬が研究開発のコアである、といっているが、がん治療薬の基礎的な基盤はすべてこのM&Aで手に入れたものとなっている。
(逆に武田の強みがあった糖尿病治療薬からは今後撤退すると言っているぐらい)

もっと昔だが、ブリジストンがアメリカの同業であったファイアストンを買収した時にも「高い」といわれたが、30年ぐらいたったのか? 今では同社の世界戦略の重要な子会社として機能している。

さらに、日本たばこ産業が投資ファンドのKKR(当時「野蛮人」といわれていた)が保有していたナビスコ社からたばこ事業を買収(今のキャメル・ウインストンなどJT海外事業の基礎基盤)したとき、確か買収総額が1兆円でかなり騒がれたが、今ではJTのドル箱になっている(最近「ナチュラル・アメリカン・スピリッツ」を買収した時も高い・高いと言われた)。

一方、第一三共のランバクシー買収や、NTTドコモのAT&Tワイヤレスなどへの投資はM&Aの失敗投資の代名詞とも言われています。


買収前に買収後の運営方針をしっかり固めて、しっかり実行していく、そういったことができる経営陣か否か、を見極めるしか投資家にはなさそうですね。

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