NTT(9432)は15日決算発表を行いました。
2016年3期の一株当たり配当予想(DPS)を年200円としました。
これで5期連続増配予定です。
NTT決算資料から |
ちなみに、ライバルKDDIに負けじと? NTTも6月30日付で1株を2株に株式分割することを発表。
分割調整後のDPSは年100円となります。
15年3期の配当は180円(分割調整前)。16年3期は200円ですので、増配率は+11%です。
配当性向は、15年3期の実績EPS(一株当たり当期利益)が473.7円ですので、
473.7円÷180円=約38%
16年3期の予想DPS÷予想EPSで勘案すると、200÷595=33.6%となります。
15日終値に対して、16年3期予想DPSに対する配当利回りは、2.4%です。
感想
2ケタ増配はGood Jobです。
KDDIの時にも申し上げましたが、配当性向30%台は通信会社としては、まだまだ低くて、増配余地を残しているのでポジティブだと思います(50~60%でも十分やっていけるはず)。
ROEがまだまだ低く、「にっくき」総務省保有株の売却可能性も高いので、自社株買い意欲が旺盛です。
(総務省は筆頭株主のくせに、NTTに不利な規制ばかりかけていて、完全にNTTからするとうっとうしいはずです。たとえば、KDDIには固定通信と移動通信のいわゆるバンドルサービスを認めて、NTTに当初認めなかったのは、NTTの独占的地位が原因だから、というもの。しかしながら、株主のくせに投資会社の業績の足かせになるルールを決めているという極めて矛盾した関係となっている)
肝心の売上高&利益の伸びは、NTTがグループで行っている海外クラウドビジネスに利益貢献の可能性が出てきたこと、マイナンバー制度導入によりNTTデータにも追い風が吹き始めていること、NTTドコモもそろそろ業績底打ち可能性が出てきたこと、NTT本体も固定と携帯のバンドルサービス解禁により、下げ止まり感が出たことと人員削減がさらに進みそうなこと、LTE投資も終わって、大きな設備投資の予定もないこと(これは業績よりもFCFに好インパクト)、などにより、ポジティブな傾向があります。
総じて、悪くはない事業環境にあると思います。
それらを反映した、次期中期計画では、2018年3期にEPSを700円以上にすると発表しました。2015年3期のEPSが約474円なので、3年で47.7%の増加を目指しています。
EPS700円に35%をかけると、245円となり、DPSもその付近まで増配の余地が残っていそうです。
NTT IR資料から |
巨像NTTという観点から見れば、まあまあおいしいような気がします。ただし、15年3期までの中計はドコモが失速して、未達成ですので要注意ですね。
株価は8274円なので、474円は17.4倍、700円だと11.8倍となりますが、来期会社予想EPS595円に対し13.9倍となっているので、フェアバリューでしょうかね。配当利回り2.4%は低いなあ(注:単なる個人的なヤマ勘です)。ベライゾンは4.5%弱、AT&Tは5.4%ぐらいありますからね。
海外事業が業績貢献する可能性が出てきた、という点は、「魅惑の変身」というべき事項ですが、円高局面になれば、「NTTが円高で業績下方修正」なんて一昔前では考えられないような事態が発生するのでしょうかね。
15年3期の営業利益は10,846億円でした。このうち海外で840億円ぐらい営業利益を計上したようです。
これを18年3期に$1.5B(1800億円)にする、とコミットしています(計画はドルベースのみですが)。
NTTの過去の営業利益推移とEPSの推移は
営業利益(億円) EPS
11/3期 12,229 336.67円
12/3期 12,019 432.44円
13/3期 12,942 509.21円
14/3期 10,846 473.69円
そして今期が
16/3期 12,000 595.00円
です。営業利益はずっと横ばい。しかし、自社株買いなどで、EPSは成長しています。海外事業は増益の計画です。
会社側の目標経営指標はEPSです。法人税減税バンザイ、ですね。
リスク要因はNTTドコモがまだコケる可能性があることでしょうか。しかし国内携帯市場はソフトバンクが「投資ごっこ」やスプリントに苦戦している間にドコモが立て直すのではないかと期待しています。
私の投資方針は当然ホールド継続です。
(注:上記数値のうち株価指標は特段のコメントがない限り株式分割前で記載しています)
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