2015年6月6日土曜日

株式投資とタバコ産業 プレーンパッケージ問題 JPモルガンレポートより





このブログの読者の方なら、私が「ヘビースモーカー」であることはご存じだと思います。もちろん、物理的なタバコを喫煙しているのではなく、投資対象としてヘビーにたばこ産業にBetしているという意味ですが。

タバコ産業にBetする意味は、当然、配当がいいから。「配当がいい」という意味は、配当利回り、一株当たり配当の増配成長率の両方が高いから。多くのたばこ企業は連続増配株として有名。



201412月末現在のPFのうち、
2位:フィリップモリスインターナショナル 8.1
3位:アルトリアグループ         6.5
13位:日本たばこ産業           4.3

3銘柄を保有し、その合計が18.9%、ざっくり2割がタバコ銘柄となっています(最近の株価でPM1位に返り咲いている)。

したがって、この業界にも慎重かつ楽観的な興味があります。

JPモルガンのアナリストレポート「グローバルたばこ産業」(5/13付)をざっと読んだ。

マネックス証券に口座を保有する人なら誰でも読めるはずです。私自身は同社で口座を保有していませんが、子供名義の口座があり(親と同じような日本株を運用中)、それを通じて入手(同社は未成年者の口座開設に、親権者の同意と管理があれば許可してくれた)。

このレポートの対象銘柄は、主としてPMJT、そしてブリティッシュアメリカンタバコ(BAT)です。

レポートの主な内容としては、①ドル高は峠を越え(注:また利上げ観測で勢いがついていますね)、2016年の業績はドル高の影響も和らぐこと、②失業率も改善して消費量の落ち込みに下げ止まりが見えること、③引き続き価格統率力が強いので、業績は改善が見込めそうだ、④たばこ産業は長期的な株価リターンがいいので仕込み時では、というもの。

但し、バリュエーションの観点から、BATJTPMの順で推奨する、といった感じ。

タバコというのは、世界中から「健康の敵」とされており、各種規制を仕掛けられている(たとえば、未成年者にタバコ喫煙を誘惑するといって、広告宣伝を大幅に規制した。かつてF1レースと言えば、たばこ産業で成り立っていたが今ではすっかり)。おかげで先進国の喫煙率は長期的に下落している。

一方では、各国はタバコに紐つきの税金を課しており、たばこが売れると財政が潤う構造にもなっている(ただし、喫煙者が減って医療費が減るインパクトと、たばこ税による財政インパクトを計算すると前者が勝そうです)。

まあ、いろんなことがこのレポートに記載されていて、全てを書くのは無理なので、論点を絞ります。





2年ほど前だったか、オーストラリアで、たばこにプレーンパッケージが導入されて、同国でタバコの売れ行きが鈍化した、ということがあった。

プレーンパッケージとは、たばこの箱にいかなるメーカーのブランドにも同じように、「タバコの吸いすぎはXXXな病気の原因となる恐れがあります」といった警告文言が書かれ、結構どぎつい写真が掲載され、デザインを統一して販売するというもの。(たぶん、私の解釈)

 たばこ産業は、商標権の侵害(ブランドロゴなどが消えるので)だとして訴訟を起こしたが、豪州の最高裁で却下されてしまいました。

この結果、安いたばこが売れるようになって、高目の価格帯のたばこの売れ行きが鈍化してしまいました。

これに気をよくした「嫌煙家」たちが英国やアイルランドでも同様な法律を制定して、施行する動きがあります。強いては、フランス他EU各国に広がる様子があり、これがたばこ産業に脅威をもたらすのではないか、というのが投資家としては気がかりな点で、私もずっと気にしていました。

しかし、JPモルガンの見解は比較的、私が思っているより楽観的な感じです(もっとも「楽観」と取られないよう慎重な言い回しは随所に見られますが)。

豪州は元々タバコが高く、多少値段が下がっても、利益率に影響は大きくない

元々度重なるたばこ税の引き上げがあったので、ブランドに関係なく低価格帯を買う動きがあった

などである。つまり、プレーンパッケージ以外の要因も重なっているので、評価が難しいというもの。

もちろん、たばこ産業最大のEconomic Moatであるブランドを阻害するような規制なので、これが当たり前になると、長期的な収益性に脅威になる可能性を否定しているわけでもないが、過去にもさまざまな規制、訴訟、脅威があったものの、その都度長期的にはうやむやになっている、という事実がある。

つい最近の話でも、EU諸国で公共の場ではすべて禁煙にする、というルールが導入されたが、それが直接的なタバコの消費減に結びついているのか、よくわからない。

電子タバコが登場すると、あっという間に普通のたばこにとって代わる、とかいう話もあったが、それほど急成長はしていない、などなど。

(ちなみに、こちらのモルガンスタンレーの評価もJPMと同じような感じです)
度重なる広告規制を乗り越え成長続けるたばこ企業

私が懸念するのは、ちょっとだけブランドロゴを許容する代わりに、ロゴ以外のデザインは統一する、とかいうもの。

しかし、米国などでは、今でも箱の1/3は注意文言で埋め尽くされているが、売れ行きは自然減程度で推移しているので、そういう問題じゃない、というような気もします。

たばこ会社は、各種規制が科学的にたばこの消費減に影響をもたらす根拠がなく、何より、商標権を侵害しており、これは国家権力による表現の自由の侵害だ、として大反対しています(たばこ会社の主張の方に説得力があるような気が、漠然としますが、私の場合、ポジショントークになってしまいます)。

プレーンパッケージ問題は今後も注視していきたいです。
なんとなくですが、アンチタバコの人々は、本当にタバコが全面規制されたり、彼らの運動が成功してしまうと、それ以上仕事がなくなってしまうんだけど、わかっていらっしゃるのかな???
あっ、もちろん投資判断は各人でやってくださいね。

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