2015年6月17日水曜日

トヨタの種類株式発行の件、いまさら「安定株主」? 個人株主が「安定株主」? 雑感






トヨタの種類株式が話題を呼んでいます。ここでは、そのスキームや有利不利といった投資商品の内容を解説するつもりはありません。

トヨタは、安定株主獲得のために増資した、安定株主と言えば個人だから個人向けに発行した、などと言われているので、何となく違和感があったからです。

ネットでざっと見た感じ、種類株の投資商品としての解説記事ばっかりだったので、余計に違和感を覚えた(そういうサイトしか見ていない私にも問題があったかもしれない)。

(楽天証券の株式市場解説の記事です)

楽天証券の窪田氏の解説では、経営の重要意思決定の場面では、個人の議決権も重要だと大塚家具の例を出して述べています。


そもそも増資する必要性ってあったの?

ホンマかいな?
そもそもなぜ増資したのか、意味が分かりません。お金あるんじゃないのかな?
社債の発行ができたんじゃないか?
一般的に社債の方が資本コストが低いので、既存株主にフレンドリーなはずです。

一方では、トヨタは自社株買いをやっていますよね?最新の四季報でも「3000億円上限に自己株買い」と記載されていますし、未償却の自社株が7.9%も残っています
R&Dが大事なら、自社株買いをストップすればいいじゃん?)
(日経新聞では、自社株買いを最大6000億円と設定し、金庫株も3億株を超える部分を償却すると報道されていました。反対するなら売れってメッセージか?)

トヨタは確か、かつて持ち合いを自ら解消していったはずで、持ち合い解消のために自社株買いをする必然性も少ないと思いました。

社債でも個人向け社債が発行される場合、機関投資家向けに消化が良くない場合などが多いと聞きます(つまりプロには人気がないから、個人で「消化」)。

トヨタともあろう大企業様が増資しても消化されないリスクがあるのかわかりませんが、ここ数年、自動車株は不人気銘柄の代名詞のようなところがあって、そっちで何か引っかからなかったのか、勘繰ってしまいます。
最新四季報によると、トヨタ株は163期予想PER11.2倍、PBR1.59となっています。

私も一応、フォードモーターを保有していますので、自動車株の不人気さをいやというほど、思い知らされていますから(予想PER8倍ですよ!)、新株を発行するとなると大変だなあ、という感じがしました。
 
普通、増資する場合って、チョロっとニュースになる程度で、そんなに目立たないと思います(トヨタだから余計に目立ったのかもしれませんが)。
それがマスコミ、証券会社そろって、「よいしょ」って感じ。





やっぱり勘ぐってしまう
(自ら持ち合い解消したので)いまさらなんで「安定株主」が必要なのか、腑に落ちないし(外国人投資家に反対されそうなことばかり議決したいからじゃないのか?と勘繰ってしまう)、安定株主=個人って言われても、個人株主を便利屋に使うなよ、って言いたくなりますし、5年程度が「安定株主」ってのもおかしな話ですし、だったらいっそのことウォーレン・バフェットにでも優先株を発行すればいいじゃない?とも思ってしまいますし(バフェットは拒否するでしょうね)、今回の件は発行する側の事情ってのが気になりますね。

投資家から見れば選択肢の幅が広がった、と言えると思いますが、ちょっと個人投資家をLook downしているような気もしました。

「世界のトヨタ」だったら、変化球でなく、配当を増やすとか、ガンガン自社株買いをするとか、正々堂々と直球勝負してほしかったですね。

念のため付け加えると、楽天証券では、トヨタの種類株式の発行は取り扱っていないそうです。だから窪田氏は中立的な意見、というメッセージを文中に送っている模様です。

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2 件のコメント:

  1. いつも興味深く拝見しています。トヨタのAA型種類株の営業に早速、野村証券の担当者から説明がありました。なんで世界のトヨタがこんなの発売するの?このブログに書いてある通りだと思います。ただ、個人投資家としては100株だけ乗っかろうかと考えています。値決めは株価に1.26から1.30を乗じた価格になるそうです。だいたい100株で100万円超といったところ。5年間の平均配当が1.5%。5年後には①買値での売却②普通株への転換③そのまま保有し年2.5%の配当。定期預金(転換社債)と考えれば悪くないような…
    野村の担当者も日本の国債より金利は良いし、格付けも上なんですと・・・。
    アベノミクス当初のような株価に勢いがなくなっているのではと焦りを感じ始めている「弱気な私」にはちょうどよい投資対象なのかなあ。私の雑感でした。

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    1. >いつも興味深く拝見しています
      ありがとうございます。
      確かに、日本にある個人金融資産を「貯蓄から投資」に振り向けるキッカケを国策的にトヨタ自動車で実施した、と考えると、「なぜトヨタが」という疑問に対する答えになるかもしれませんね。
      5年の平均配当が1.5%だと、アベノミクスが成功したら、年平均2%のインフレに負けてしまいそうです(ただし、2%平均インフレが実現すると、トヨタ株は相当値上がりしていると思いますが)。
      今後ともよろしくお願いします。

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