さて、6回目の今回は私の持ち株でもあるシェブロン:CVXをご紹介。いやあ、この原油安ですっかり負け組に転落してしまいました。
原油相場の先行きについては、依然、1~2年程度で60ドル~70ドルのレンジに戻ると思っていますが(注:一段のドル高になればこの限りでない)、CVXのような石油会社にとってはつらいですね。
では、いつもの様に配当貴族テンプレート分析から
CVXはエクソン・モービル(米:XOM)、シェル(英欄)、BP(英)、トタル(仏)とともに石油スーパーメジャーと呼ばれている石油会社です。
CVXやXOMのようなスーパーメジャーはIntegrated Oil Company(統合石油会社)というカテゴリーに属します。つまり石油・天然ガスの掘削・生産のみならず精油・販売まで垂直モデルで事業を行っています。
統合石油会社の業績は、ざっくりと売上高=石油・天然ガスの生産量×単価の図式を念頭に入れておけばいいと思います。但し、生産量は単価にも左右されるところがミソで、精油・販売(ガソリンスタンドを含む)もあるので、やや複雑になります。
今のような油価環境では掘削・生産事業(Upstreamと言っています)は全く不振ですが、精油・販売事業(Downstreamと言っています)では需要者(ガソリン消費者、石油化学会社他)からのニーズが増えるため、生産量も増加し、利益も増えます。
Upstreamの不振をある程度Downstreamが打ち消してくれる収益構造になります。
また、日本のゼネコンとまで言いませんが、石油メジャーのような会社の生産現場には必ず下請けが実際には石油・天然ガスの生産活動に従事していますので、彼らに「Cost Down」を要求することで、一定のマージンを確保しています。何でも平均すれば35%ほどコストカットができるようです。
しかしながら、さすがに油価が1年で半値ににもなってしまうと、どこまで耐えうるか、というのが問題になってきます(油価が半値になっても、需要が倍増するわけではありませんので)。
CVXの業績は油価が100ドル前後で横ばいだったころは、やっぱり横ばいでした。しかし、新興国のスローダウンとドル高が始まったころから少し伸び悩みが始まって、今期は結構きつい状態になっています。
特に、FCF(営業CF-投資CF)がマイナスになっている点が論点になっています。CVX側はFCFがプラスに転換するのは2017年だといっています。向こう2年・FCFがマイナスになることを意味します。
したがって、本当に増配できるのか、という疑問から配当をカットしなければならないのではないか、という疑問までいろいろ言われているところです。
(注:日本の会計的に言えば、配当性向は38.1%なので何ら問題ない、と考えがちですが、実際の資金繰りは、FCFから借り入れの返済や配当がおこなわれることになる点を言っています。米国ではキャッシュフローが決算の電話会議で毎回どの企業でも話題になっています。この辺は日本企業の決算発表と違う点で、かなり実務的だと思います)
では、なぜFCFが赤字になるのか、という点ですが、CVXは2008年~2011年ごろにかけて投資意思決定した大型プロジェクトが2015年~2017年にかけて竣工、生産開始、収益化になる見通しのものがいくつかあります。
巨艦CVXが社運(というのはやや大げさかもしれないが)をかけて建設しているプロジェクトの設備投資資金が圧迫しているのです。
ここ数年は300億ドル(3.6兆円)以上の投資を毎年行っているのですからね。
一方、2017年にはこれらのプロジェクトが収益化するので、全体の営業CFが改善し、投資CFも一段落するので、FCFが黒字化する、と経営陣は説明しています。
さて、そんなCVXの増配がストップするのか? 続きは次回。
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