2015年8月18日火曜日

高配当株の選び方2 EPSが読みやすい企業とは


前回の復習

  • 配当性向が高く、PERが低い企業に高配当の可能性がある。
  • 但し、それは一株当期利益(EPS)が安定的・読みやすい企業でなければならない、という前提がある。
今回の要点

  • EPSを安定化させるためには、当期利益を減らさない、または、発行済み株式総数を減らすことが重要。株数はなかなか減らすことが難しい。
  • したがって、当期利益、中でも営業利益が安定している企業が望ましい。
  • トヨタ自動車とNTTドコモでどちらが長期で安定した高配当利回りが享受できるかを実際に見てみる。





EPS(一株当たり当期利益)=当期利益(税引き後) ÷ 発行済み株式総数
EPS=Earnings per Shareの略

で表されます。EPSを減らさないためには、当期利益を減らさない、あるいは発行済み株式総数を減らすことが重要です。

先に発行済み株式総数を減らすには、自社株買いが必要になります。ただし、1年で自社株買いで株を市場から買い戻すには、よほど手元資金に余裕があれば別ですが、せいぜい総株数の3%~5%ぐらいまででしょう。アメリカ企業では現在の低金利を利用して、社債や借入金を活用してガンガン自社株買いを行っていますが、日本ではなかなか抵抗感が強いようです。
(また、会計上の配当可能利益額;利益剰余金の範囲内までしか自社株買いができない。アメリカではフィリップモリスなど自社株買いで自己資本がマイナスになっている企業すらある)

ということで、当期利益が読みやすい企業がEPSの読みやすい企業、すなわち、配当金が安定している企業(少なくとも大きな減配になりにくい企業)、という事になります。

当期利益が読みやすい、ということは、営業利益も安定していることが多いです。
営業利益を安定させるためには、さまざまな外部要因に左右されにくい事業特性、経営戦略が必要になります。

リーマンショックは100年に1回の出来事なのかもしれませんが、たとえリーマンショックでも、営業利益は他の企業と比較して安定していた企業があることも事実です。


トヨタとNTTドコモのファンダメンタルズ比較

株価情報

(注:NTTドコモは予想配当利回り。トヨタは来期の配当予想の発表がないため、実績利回り)

トヨタ自動車とNTTドコモの営業利益と一株配当金の推移です。トヨタ自動車はリーマンショックの時、赤字に転落しました。その後アベノミクスの波に乗って、ついにリーマンショック前の業績まで戻ってきました。
配当金の方も、リーマンショック前はDPS140円ありましたが、リーマンショックで一気に45円まで下がり、今度は一気に過去最高の165円まで上げてきています。ちなみに2015年は200円だったようです。

NTTドコモはリーマンショックよりもむしろ、iPhone対応が遅れたことにより、シェアを奪われた結果、業績を落としてしまった、という感じです。
配当の方は、毎期連続とまで言いませんが、着実に増配傾向にあります。

トヨタとNTTドコモの株価推移
まずはトヨタ自動車の過去10年間の株価チャート
ドコモ過去10年株価チャート
トヨタ株は8000円から3000円に一気に急降下していますね。
NTTドコモの最近の株高はヒカリの卸売りやコストカットにより減益に歯止めがかかりそうなことや市場全体のPERが伸びていることによるものだと思います。

通信会社の様に、いったん契約を締結すると、毎月確実に通信料金が引き落とされる関係上、売上高・利益も安定してきます。一方、携帯電話は広く国民に浸透しているという点やソフトバンクやKDDIの攻勢に押されているという前提から株価はあまり買われていませんでした。

このような状況になれば、DPSが高めで株価が低めの高配当株の要件が満たされるといえましょう。

トヨタの様に、配当利回りがNTTドコモと同じでも、明日の業績は世界経済と政府・日銀の金融政策次第、という事になれば、なかなか中長期で保有するという前提で投資しづらいと思います。


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