2015年8月30日日曜日

25年以上連続増配をする配当貴族銘柄の紹介 S&P500 Dividend Aristocrats #8 Sherwin-Williams (SHW) 37年連続増配 その2

前回の概要
  1. SHWは建築塗料(ペンキ)の製造販売会社。アメリカでシェア3割超。
  2. 景気回復とともに売上高・利益とも順調に推移。それに伴い、Solidな増配率、自社株買いなどで株主還元も積極的な37年連続増配中の配当貴族企業。
  3. 財務的に見れば、当面連続増配は継続できそうな感じ。
  4. 株価の方はしっかり評価されている。もう少し落ちてくれば、押し目買いもあり得るか。


今回の概要
  1. アメリカの住宅市場の回復やグローバル展開を進めることで、まだ成長の余地がある。
  2. 日本企業と比較して利益率が安定している。 







塗料の業界環境
市場規模

126億ドル(15兆円)の市場規模で、4割が建築塗料となっています。自動車は多分OEM Product Finishersの一部だと思います。
Special Purposeは多分、工場の金属部分のさび止めとか特殊コーティングではないでしょうか。
これを見ると建築用がコモディティ用途であまりもうからないように思うんですけどねえ?

主要プレーヤー
上位10社で57%のシェアなので、まだまだ再編余地があるのではないでしょうか?All Othersには7500社もあるようです。トップのPPGはアメリカ企業で、やはり配当貴族銘柄です。2位のAkzoはオランダのメーカーだったと思います。日本ペイントは4から5番手グループの中に関西ペイントと共に入っています(注:日本ペイントの資料では、同社は世界4位と言及されています)。

成長戦略
国内のOrganic Growthと海外です。

国内は、住宅市場の回復余地が残っています。新築が建たなくとも、中古住宅の売買でペンキを塗り替えて売ったり、買った後にペンキを塗ったりしますので需要があります。

また、リフォームの時DIYで塗ったりしますし、人口増加が予想される高齢者の場合はペンキ屋さんに頼んで塗ってもらうそうで、そっちの方が儲かるようです。最近ではDIYよりも職人に依頼する方が多いようです(つまり粗利率がよくなる)。

更に、個人向け住宅以外にも用途はありますので、国内成長の余地はあるといえるでしょう。
アメリカの塗料の使用量は未だリーマン前を回復していないようです。
すべての資料をお見せできないのが残念ですが、SHWIR資料は非常に詳しく業界環境を掲載していますので、わかりやすいです。

海外戦略はおもに中南米とアジアになりますが、なんとなくご理解いただけそうなので割愛します。
ただ、2015年は売上高成長率が79%だったガイダンスをドル高の影響もあって35%に下方修正していますので、将来的にも5%前後の売上高の増加をOrganic Baseで見込んでいればいいのではないでしょうか。

他社比較
最後に他社との比較を掲載してみましょう。

金額単位は億円です。米国企業(PPGSHW)は1ドルを面倒なので120円で換算しました。
利益率(EBITDA%)に関しては、日本ペイントがちょっと抜けていますが、それほど大きな違いはないといってよいと思います(現時点では)。

日本ペイントは残念ながらリーマンショック時には減配がありました(大きなものではなかったが)。
一方、PERでは日本ペイントが最も高いことになっています、一応日経平均とS&P500PERの水準は同レベルだと思いますが)。

日本で今話題沸騰中の、ROEは圧倒的にSHWが優れています(63.4%ってのが異常の様に見えますが、彼らはしっかり財務管理が出来ているので、問題ないと思います)。日本ペイントは前年度は9.6%だったようです(特殊要因控除後)。

SHWの良い点を見るとともに、日本企業の今後の「株主還元期待」がたかがROE8%では、話にならないという点もご理解いただけるのではないでしょうか?(日本ペイントも十分健闘していると思いますが)。

利益率は互角、という点について。
SHW
リーマンショック後、8.9%まで落ち込みましたが、おおむね10%台前後をキープしています。

日本ペイント
日本企業の中では優秀な数値だと思いますが、やはりリーマンショックや円高などで営業利益率は左右される宿命を負わされているようです。

最後にこれを見ると、圧倒されますね。
ただ、SHWとしても、リーマンショック後は年間$0.02ぐらいしか増配できていない時期(20082010年)もあったので、連続増配といってもきわどかったのですが、できるときはドカンと引き上げる、けど絶対減配しない、という意思が伝わりますね。

以前少し触れましたが、

これから頑張りますといっている日本企業への「ポテンシャル採用」か、過去30年以上も頑張って株主にしっかり報いてきた実績が十分なアメリカ企業の「実績者採用」か、ポートフォリオの核とすべき銘柄はやっぱり実績十分な銘柄で固めたいと思いますね。

(注:日本ペイントはたまたま比較対象として取り上げただけで、同社は今回調べると、結構いい会社だという印象を持っていますので、あしからず。ただ、長期ホールドというのは向いていないという感じと、同社の中期計画を読むと、今は投資フェーズなので、株主還元はあんまり、という説明だったので、自分の投資候補には向かなかった)

8回目はこんな感じでした。

応援お願いします。
にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ








0 件のコメント:

コメントを投稿