黒田電気に対する株主提案で、臨時株主総会を開催し、自らを含めた4人を社外取締役候補に、という要求と配当性向を100%にしろ、そしてM&Aでもっと成長していけ、という要求のようです。
背景には業界再編を進めて、日本の電子部品商社を世界で伍して戦える規模にすることに大義名分を持っているそうです(世界トップレベルは売上高1兆円クラスに対し、黒田電気は3000億円)。
東洋経済の今週号(表紙が中国に関するものなので、見落としがちだったが)に村上世彰氏の娘さんの村上絢氏へのインタビューが記載されていました。
更に、「年金情報」(機関投資家が読みそうな雑誌)にも「村上ファンド」VS「黒田電気」として、両社にインタビューを試みて、その意見の食い違いが記載されています。
これら両雑誌の記事を読んだだけの感想では、相変わらずだなあ、という印象です。
ただし、村上側は投資資金の大半が「自己資金」だそうです(ファンドは投資家から資金を募って、その金で投資するのですが、今回は自腹だそうです。それだけ儲かっていたんですねえ。ウン十億円?)。
したがって、提案の本気度が違う、というアピールに。
村上世彰氏は、黒田電気経営陣に「半導体商社再編」を提案したそうなのですが、黒田電気側に「当社では半導体はほとんど扱っていません」と言われたそうで、事業内容をよく理解していなかったらしい(提案の本気度が。。。)。
配当性向に関しても、去年まで20%のものを50%に引き上げると経営陣側は直近になって言っているので、100%でなくともよいような気がします(村上側は大きなM&Aや魅力的な投資案件があれば、配当しなくてもいいとも言っているようです)。経営陣としては、業績が悪くなった時に配当を引き下げるのが嫌なのでしょう(投資家も嫌です)。
社外取締役に関しては、村上世彰氏が「前科」がある人なので、会社側は困惑しているようです(取引先も気にしているらしい)。
M&Aについては、黒田電気側は要するに身の丈に合ったシナジーある案件をやっていくといっているようです(過去5年で60億円ほど実行し、追加投資を含めると160億円ぐらい行ったと言及)。
業界再編ってのは、確かに日の丸的発想では必要だと思いますが、本当の株主なら、株主の利益を第一に考え、無理なM&Aはどっちかと言えば株主価値を損ねるリスクもあるってことを理解してほしいなあ。
会社側は、Organic Growthに補完的なM&Aという路線で、配当性向50%メドに安定的に行うといっていて、業績は好調である。
株価やバリュエーションは同業他社比ではやや高くなったが、これは村上さんのおかげ?
黒田電気株
2562円、PER13.8倍、配当利回り3.67%
よく見ると、比較的安定的順調な業績なので村上さんがカタリストとなって、我々のような投資家が黒田電気株を見直す、という機会になったかもしれません。
そういう意味では、感謝しなければなりませんが、もうちょっとうまくやってくれないと、「やっぱり村上さんの提案はなあ」と言われてしまいかねません。
取締役も4人ではなく、世彰氏を除き2名程度にするとかやり方はあるでしょうね。
黒田側も、0名ではなく、村上側の出資比率(約17%)を考慮して、1名から2名程度なら受け入れる用意があるようなメッセージを出してもよかったかもしれません。
提案内容がちょっとラディカルなので、どうしても経営側は引いてしまうのはよくわかる。
提案内容をソフトにする代わりに、取締役を1・2名入れるような感じにあらかじめ持っていけば村上側がもっと優位に戦うこともできたかもしれません(明日結果が出るのでしょうが)。
アメリカの例を何度か見ていますが(P&Gのアックマン、Dow Chemicalのダニエル・ローブ等)、スジがしっかり通っていて、経営陣も容認できそうな提案になっていましたね。実際P&Gは自社株買いの金額を増額し、Dowの場合は、取締役2名の提案を受け入れていましたね、ただしこれはDow側の取締役も2名追加するというものでしたが)。
さてどうなりますでしょうか(村上側が勝利すれば、この記事は恥ずかしいので削除します)
ただし、総会で勝っても負けても、株価が上がれば村上さんは実態は勝利だと思います(実際株価は上がっている)。しかし、村上絢さんは今後もこういった投資活動を続けたいのなら、「村上待望論」が出るような提案でなければ、コーポレートガバナンスを日本に根付かせるという、自らの大義名分は貫けることが難しいような気もしました(余計なお世話ですが)。
応援お願いします。
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