2015年8月19日水曜日

高配当株、好配当株の選び方 その3(ラスト) やっぱりアメリカの配当貴族銘柄がお勧め

前回までのまとめ
  • 高配当株は、配当性向が高く、PERが低い企業がねらい目。
  • 但し、EPSが安定的であることが大前提。EPSが安定するためには、営業利益が安定する必要性がある。
  • トヨタ自動車とNTTドコモはどちらも配当利回りが約2.5%であるが、配当金を確実に獲得して長期保有したいならNTTドコモの方がより安定的なパフォーマンスが得られる。株価急落時に耐える根性?があればトヨタ自動車を長期保有しても報われる可能性もある。





今回の内容
  • 実際に業種別に利益が安定している業種を見てみる。
  • 利益が安定している業種の中で、PERが低く放置されているもので、中期計画などで株主還元策を打ち出した企業などは理想的。
  • もちろん、営業利益が不安定な業種の中で、稀に営業利益が安定している個別企業を発見する場合もある。そのような企業でもPERが低く、配当性向が高い場合はねらい目となるが、ボトムアップアプローチを徹底する必要性がある。
  • やはり、安定感・実績から言えば、配当貴族銘柄が優れている。

以下は、プロネクサス(7893)の岡東氏の論文「日本企業の業績は回復したのか」の資料から用いています。
業種別の営業利益額で推移をみると、石油・石炭、電気・ガス(原発事故が原因だと思います)、証券・金融(証券はわかるが、金融は持ち合い株とかも要因ですね)、空運(JALの破たん)などが目立ちます。

これらは極端ですが、よく見ると海運、卸売(商社でしょうか)、保険、不動産辺りも結構なボラティリティがあります。

製造業でも、食料品、医薬品は安定的と言えましょう。
情報・通信は一貫して成長していますね

医薬品、食料品はPERが高目に出る傾向が多く(それでも2012年辺りは低かったが)、現時点ではなかなか手が出せそうにないかもしれません。

情報・通信は一見成長産業(実際に営業利益が成長していますね)に見えますが、中身は千差万別で、インターネット関連の企業(特にWeb Siteで儲けるタイプ)は成長率も高く、PERも高目に出ます。
しかし、通信会社、ITサービス会社などはPERが低目に出ることがよくあります。成長性が低いと思われているからと内容がよくわからない、同族系で規模が小さいなどが理由です。
SierITゼネコンのような感じなので、しばし不採算案件をつかまされることもあり、利幅も薄く、配当もそれほど期待できませんが、ソフトウエア関係の企業は、ライセンス収入や保守収入など安定的なCFがあるため、利益額も安定的です。

結局、利益が安定している事業とは、
  • あまり投資にお金をかけずとも利益が稼げる(ここで大体の製造業がアウト)事業→ブランド、特許等を保有。医薬品、ソフトウエア、日用品、ユニクロ・ティファニーなどのファッション商品等。
  • ネットワーク効果等ですでにその企業の製品・サービスを利用することが業界のデファクトスタンダード化している企業 → 日本証券取引所、USS(中古車オークション)、プラネット他。
  • いわゆるストックビジネスモデル → 通信会社、ガス・電気などの契約。
  • ニッチな業界・領域で圧倒的シェアを確保している企業 → 日進工具、リオン(補聴器)
等が考えられます。

つまり、競争力がある優良企業。株式市場で名前が売れているか否かは業種が注目されているか否か。

ただ、日本企業の場合、「安定した配当」(連続でなくとも持続的な長期にわたる増配)という実績に乏しい企業が多いと思います。

日本企業もROE経営やコーポレートガバナンスコードなど株主重視の経営姿勢がより一層高まってきていますので、今後、「日本版配当貴族企業」が出てくる可能性もありますし、そういった企業に投資するのも一つの方法です。
実際私もKDDIJTなどに投資しています(花王は売ってしまったが)。

また、日本空調サービス(4658)を始め、これに該当する企業を発掘中です。

ただし、実績として、アメリカ株のS&P500に指定される大企業の中で、配当貴族と呼ばれる連続して25年以上増配している企業群への投資がこういった投資に向いているといわざるを得ません。

あなたは自分のポートフォリオというチームを作る監督だと仮定します(予算権限を兼ね備えている前提)。日本株の高配当・好配当銘柄を採用するのは、実績が十分ではないが「これは」という企業への『ポテンシャル採用』になると思います。

一方、アメリカの配当貴族銘柄を採用する場合は『実績採用』という事になると思います。
どちらを選ぶかは、最後は予算権限を兼ねた監督たるあなたの方針次第です。
(ポテンシャル採用が外れても、採用責任は問われませんね。ただし、自分の投資目的が一歩後退してしまいますが)

配当貴族銘柄の中で、配当利回り4%ちょっとの企業が「高配当」に該当するといえるでしょう。2.5%以上あれば「好配当」と言ってよいと思います。
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