さて、25年以上で連続増配を更新している配当貴族シリーズの紹介も早いもので区切りの10社目となりました。
今回は、皆さんおなじみのAFLAC Inc.(AFL;アフラックまたはアメリカンファミリー生命)です。日本では一応生命保険(実際終身保険も取り扱っている)会社ですが、米国では生保を更に分類して補助保険といった呼ばれ方をしています。このニッチな分野でガッツり儲けるというのが当社のスタイルです。
今では、がん保険、学資保険、終身保険などすっかりおなじみになり、日本人の6人に1人はアフラックの保険に加入しているといわれています(注:保険証券が確か2000万契約あるということからそのようなことが言われています)。私の妻もがん保険に入っています。
この銘柄は私も確か2009年?〜2013年ぐらいまで保有していました。初めて当社の株を買った時、まだ女優の松坂慶子さんがTVコマーシャルに出ていた様な気がします。
さて、前置きが長くなりましたが、そんなアフラックの財務テンプレート分析はこちら。
32年連続増配、1983年から増配中です。日本のバブル前からですね。PER9倍と株価は割安圏内にありそうです。配当利回りは2.7%、これは配当性向が依然23%台と低目だからだと思います。しかし、EPSの成長率7%並みの増配しか行っていませんね。
かつては年平均15から20%の増配を行う会社だったのですが、増配率の勢いが落ちて、経営陣もEPS成長率並みの増配を行いたい、と発言していて、配当利回りも2013年当時はもう少し低かったので売ったんですね。
肝心の業績ですが、これはバイアスがかかってしまいます。
当社は売上高の70%超が日本で残りが米国という日本での事業に偏重している珍しい会社です。
全くの私見ですが、当社はアメリカの企業の中で、最も日本を理解している企業と言ってよいと思っています。CNBCが東日本大震災の際、東京の様子を探るのに、当社のCEO(もちろんアメリカ人)に質問していました。
(確か2012年ごろは75%を超えていたと思います。円安でUSの比率が高くなっています)
2012年ごろが業績のピークでその後下がり気味ですが、これも円安の逆風下という「特殊要因」である点に留意してください。利益率はむしろ改善していますね(なんでだろ)。
CAPEXが空欄なのは、参照元のMorningStarさんのデータが空欄だったからです。全くなにも投資していない、ということはありえないのでゼロではないと思いますが、保険会社なので、IT以外は大きな投資は必要としないと思います。
自社株買いもマイルドな程度です。ただし、ROEが20%内外できちんと管理されているので、Economic MoatもNarrowがついています(15%以上がコンスタントにあると、Moatがあるのではないか、とMorningStar社では思っているらしい)。
このように保守的なCF管理の理由の一つに、日本の規制があります。ソルベンシーマージン比率(保険会社の経営の健全性を測る指標の1つで、保険金の支払余力を意味しています。 支払余力とは、大災害や景気低迷などの通常の予測を超える事態が起こった場合の、保険金の支払能力のことです)に対して敏感になっています。
日本では、過去の金融不況期にいくつも金融機関が経営破たんしたおかげで、不況になると、金融機関の安全性をクローズアップする習慣??がすっかり定着してしまいました。
その際、「危ない生保」を見分ける第一指標としてソルベンシーマージン比率が挙げられています。この比率が低いと、一般論として、「危ない生保」の烙印を押されてしまいます。さらに財閥とか特定の企業Gの背景がない外資系生保なので、いざというときに困ります(大手外資生保だと、さっさと日本から撤退するところもありますが、ご覧の様に日本が完全に主戦場になっていますから)。
したがって、営業的にもこの比率を一定以上維持したい、と経営陣は言っていました。
ソルベンシーマージン比率
2014年度
1 メディケア生命 4076.4%
2 アクサダイレクト生命 3190.2%
3 東京海上日動あんしん生命 3122.2%
4 損保ジャパン日本興亜ひまわり生命 1676.3%
5 三井住友海上あいおい生命 1429.9%
6 AIG富士生命 1188.7%
7 富国生命 1169.3%
8 明治安田生命 1041.0%
9 太陽生命 993.9%
10 第一生命 913.2%
11 アフラック 898.0%
12 三井生命 812.4%
13 オリックス生命 746.4%
14 朝日生命 667.7%
こんな感じですね。
あとは、当社はリーマンショック前、資産運用部門(保険会社は保険収入-支払保険料および経費の資金を資産運用している)では、日本国債以外では、内外の銀行の劣後債や企業の社債に投資していました。
しかし、リーマンショックでご存じの様に世界中の銀行で経営危機になったことがありました。
当社でもイタリアやギリシャの銀行の劣後債、優先株に投資していたので、2011、2012年ごろは結構評価損、処分損を吐きだしていました。
こういった不良債権処理もあったので、株主還元は今一つだったと思います。
したがって、株価もPERもずっと低かった。そんなAFLの定性的な分析はその2で紹介したいと思います。
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