2015年9月20日日曜日

配当貴族銘柄の紹介#11 Sysco Corp(SYY;シスコ) 45年連続増配 その2

前回
シスコは米国最大手の食品卸で45年連続増配中の配当貴族企業。
売上高は4%~5%で安定的に伸びているものの、インフレの価格転嫁が進まず、利益率が厳しい状態。
それに伴い、配当支払い余力も少し厳しい状態。直近5年の増配率は3%台にとどまる。
「物言う株主」が7%も当社株を保有しており、コストカットへのプレッシャーが強くなっている。

今回
最近のコモディティ価格の高騰や取引先のレストラン業界の伸び悩みの影響を受け、利益率は悪化しているものの、コストカットが奏功すれば、従来通りの巡航速度で再成長の余地がありそう。

その場合、事業内容もわかりやすく、米国内「内需型」で、比較的安全パイな銘柄かもしれない。








売上高内容
食品卸という事ですが、アメリカの場合、食品スーパーはウォルマート、ターゲットなど巨大化しており、卸の必要性がないのかもしれません。特にウォルマートはサプライチェーンが最大の強みですから。

それが理由でしょうか、当社の主要販売先は外食産業となっているようです。その次に医療・学校・政府系の機関、3番目にホテル関係のようです。この3セグメントで約9割の売上高を占めています。

取扱品目は生鮮・加工・冷凍食品から医療清掃用具の類まで扱っているようです。これは顧客内シェアを高めようとしているからだと思います。

市場規模とシェア
当社の調査では、$255B(約31兆円)が市場規模で、当社の売上高$48Bはおおよそ19%弱です。しかしながら、2位の業者とは2倍以上の売上高の差があるようで、業界では巨人の模様です。

その証拠に、13年末にUS FOODという会社に合併提案をしたのですが、独禁法当局が「ダメ」といって、156月に買収提案を取り下げてしまいました。

(民主党政権下では、シェアの大きい企業のM&Aの審査が厳しい傾向がありますね。情報通信ではAT&TSprintもダメでしたね)

ただ、日本同様、地域に特化して強い卸業者なども存在するようで、非常に分散化された業界の様です。

成長戦略・差別化戦略
正直、特別に何かが優れている、とも思えないのですが、要するに顧客の課題解決に最善を尽くすために、知恵や投資をして、それ以外は生産性を高めることで利益成長していくってことじゃないでしょうか? その前提として、人が大事と言っていますので、日本企業と大きく変わらないような気がします。

ただ2位以下を圧倒するスケールメリットは強みでしょう。

財務戦略
上昇するコモディティ価格、対面の外食産業やレジャー産業はもう一つ回復が遅いなど当社の環境は決して良いとは言えず、その1のテンプレート分析でも示した通り、営業利益率は半減しています。その影響で売上高は上昇しているものの、減益の状況です。

そのため、①社内のコストカットを徹底して進める、②購買力を付ける、③ITの導入など省力化を進める、などを対策として実行しています。

また、ご存じのとおり、当社最大の悩みであったコモディティ価格は大きく下落しており、あら利率の改善が進んでいるようです。

したがって、これらを勘案すれば、2016年度(6月決算)は、2015年より改善が期待できるかもしれません。
売上高4%~5%の成長とそれより少し多めのEPS(一株あたり利益)とDPS(一株当たり配当金)の成長を期待するというのが基本路線でしょうか?

日本企業との比較(参考)
シスコの利益率がスランプと言っても、日本企業のそれよりは全然儲かっていますね。

配当性向は連続増配を行っているため、ギリギリに近い線がありますが、その1で言及した通り、FCFに対する総配当支払い額にまだ余裕がありそうなので、ちょっとぐらいの配当余力は残っていると思います。

株価動向
株価は大幅な減益決算を受けた後、アクティビストの保有が発覚してさらに上昇し、最近では大型合併が破談し、買収予定だった資金で自社株買いを行う、と言って再上昇しています。
したがって、株価はコストカットをある程度織り込んだ水準ではないでしょうか?

配当貴族銘柄の「誉れ」のこの1
1970年からと言っていますので、オイルショックを乗り切っていますので、今回も原油価格も暴落したので、乗り切ってくれそうな期待はできそうですね。

感想
現状の株価はある程度ターンアラウンドを織り込んだ株価の様になっていて、マクドナルド(MCD)を思わせます。

業績が平時に戻れば、年期待増配率6%~8%程度の内需型の安定銘柄として保有できそうです。

事業内容は特に難しくもなく、業種柄内需型と言えるので、新興国懸念でリスクヘッジしたい、という向きには安全パイが(平時に戻れば)期待できそうな気がします。

内需型で連続増配と言えば、情報通信(ベライゾンやAT&T)、公益株(電力会社等)が想定されますが、分散させたい場合は面白い銘柄かもしれません。あんまり難しくなさそうな業務内容ですしね。
応援お願いします。
にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ






0 件のコメント:

コメントを投稿